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国際こども図書館(東京都台東区・上野駅)

国際こども図書館は国がやっている国立国会図書館の分館という形で児童書を中心にした図書館として開放されている施設である。受付で入館手続きを徹底している国会図書館と違い誰でも気軽に入ることができる。分館でありながら建物としてはこちらの方が古く、特徴的な外観や大階段など、かつては帝国図書館として使われていた遺構が今でも残されているため館内を見て回るだけでも楽しい。3階にある本のミュージアムにおいて帝国図書館からの歴史を辿る企画展を実施しており、普段は撮影できないミュージアム内も今回は撮影できるという大盤振る舞いである。

国際こども図書館は1906年に帝国図書館として建てられたものを活用している。今回の企画展である「東洋一の夢」とは、この帝国図書館が設立する目的となった「東洋一の図書館」の足跡を追う形で展開される展覧会となっている。もともと帝国図書館は明治時代に日本初の近代的図書館として湯島聖堂内に開設されたものを前身としている。その後に本格的な国立図書館として1906年に現在の地に建てられ、震災などで都内各地の図書館が崩壊するとその利用者を吸収する形で大規模な増築が行われ、1929年に現在の本館のサイズまで造られている。

国際こども図書館といえば大階段

戦後になって帝国図書館から国立図書館と改称され、永田町にできた国立国会図書館が国立図書館の本館となるとその分館としての役割を持って利用されてきた。現在のように児童書を専門とした図書館とされたのは1990年代になってから。全面的に改修され、2015年にはアーチ棟が完成してさらに多くの収蔵品を持つこととなった。これまでの棟はレンガ棟と呼ばれるようになっている。レンガ棟を設計したのは久留正道・真水英夫・岡田時太郎で安藤忠雄によってレンガ棟の面影を残す形で改修された。

外から眺める

本のミュージアムはかつて普通閲覧室として使われていた部屋になり、当時の写真をもとにして復元されたシャンデリアや、当時から残されているケヤキ材の扉(真鍮製のプレートには「おす登あく(押すと開く)」と刻まれている言葉が特徴的)や巨大な窓、漆喰の柱などの意匠を観るだけでも興味深い。また中央にある2本の展示棟が特徴的で、片方では帝国図書館にゆかりのある文学者として夏目漱石、芥川龍之介、江戸川乱歩、宮沢賢治、といった人物の紹介が、もう片方ではシャンデリアを見上げるための空間として提供されている。

2本ある展示等の左側

なおこちらの建物は見どころが多いことからリーフレットや建物内のパネルなどにも建物の紹介がされているものが多い他、図書館には珍しく一部が撮影できるというのも特徴的。3階には本のミュージアムの他に広いホールがあり、そこの窓からは外に出られるようになっており外壁のメダリオンも間近に見ることができる。トイレはウォシュレット式。しっかりと子供用トイレ(洋式)もあるという、さすがこども図書館である。

おすとあくよ


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