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電気通信大学UECコミュニケーションミュージアム(東京都調布市・調布駅)

調布駅から北へと歩いてすぐ、そびえたつビル群が電気通信大学の校舎である。名前だけだと私立のようにも見えるこの大学もまた国がやっている大学である。東京工業大学に続く二つ目の理系メインの国立大学。こちらにあるのがUECコミュニケーションミュージアム。この未確認飛行物体みたいな名前はUNIQUE & EXCITING CAMPUSの略称になっている。

ミュージアムは校舎のだいぶ奥の方にある。途中に点在する自転車置き場にチャイルドシートを付けた自転車も多く停まっているのが理系の大学によく見られる特徴な気がする。文系の大学ではあまり見かけなかったので何か傾向があるのだろうか。撮影は許可制で、大学から提供されているという形式になる。展示エリアは1階と2階に全部で7つもある。それぞれの展示室内にある展示品の数が半端じゃないほどある上、それぞれ理系工学の分野でも異なったジャンルの展示内容となっている。

入口から既に理系大学の風格

第一展示室では無線通信に関しての展示になる。通信初期の火花放電を利用した機器や戦時に使われた軍用無線機のほか、海上で使用される無線機、テレビ局で使用されていた送信機などを中心とした大型の通信機器が所狭しと並んでいる。巨大な受信アンテナなどとにかく巨大。通信局といえば名前が挙げられる長崎無線局の送信機もある。

機器の宝庫

第二展示室はコンピュータ・オーディオ・ビデオに関する機器を紹介している。ここで注目したいのはエジソンが作ったエジソン蝋管蓄音機をはじめとした歴代の蓄音機。こちらは動画でそれぞれの音を聴くことができる。意外と鮮明で、100年ほど前の技術でありながらしっかりと聴き取れるのはすごい。歴代のコンピュータやゲーム機器もある。とにかく古い機器が多く、コンピュータ好きにはたまらないかもしれない。

HPで実際の音を聴ける

第三展示室は通信機に焦点をあてた展示。国税庁や日本債券信用銀行の頭取を務めた安川七郎氏のコレクション寄贈品が展示されている。世界初のダイバーシティ方式(安定した受信を得るための受信方式)を実装した受信機であるHallicrafters DD-1という世界で唯一ここだけに残されている受信機に注目。もちろん通信に関しての知識があれば興奮すること請け合い。

知識があれば宝の山

第四展示室は通信の中でも天体に関すること。大学内に設置されていた気象衛星「ひまわり」の受信装置や、船舶用のFAX受信装置、気象庁に設置されていたFAX受信機やデータ処理装置を紹介している。気象庁に務めていた作家の新田次郎の紹介もしれっとされている。歴史小説家として有名な氏が気象庁にいたとは意外すぎる。

新田次郎ってペンネームなのかよ

第五展示室では大学の歴史として、設立当初にどんな授業風景でどんな機器をつかっていたのか、という再現展示になる。電気通信実技をおこなったり、モールス符号を聞いて筆記・タイプライターで印字したり、真空管試験機なる説明板を見てもよくわからないテストなどなど理系の極みである。なぜか東京で最も古い電柱も残されている。

東京で一番古い電柱

第六展示室は電子とエレクトロニクスということで、電子や荷電粒子の歴史を説明しながら、無数にある真空管、トランジスタ、半導体部品などがひしめいている。なんと特別展示品として世界唯一の水銀蒸気入り三極真空管であるリーベン管が紹介されている。これは素晴らしい(わからない)。現在は世界に10本くらいしか残っていないらしい。それは素晴らしい(なんとなくわかる)。

わからないわかるわからない

ちなみに第二展示室からは2階の展示になっており、2階の廊下ではアマチュア無線のコレクションが棚にひしめいている。展示室と同レベルの展示品の数々に圧倒されてしまう。1階に再び下りての第七展示室は休室中だったものの、日本初の核磁気共鳴装置を展示しているという。現在のMRIに欠かせない原型を発明したのも電気通信大学によるもの。

アマチュア無線コレクション

現在は機能していないいわゆる機械遺産的な展示になるけれども、その歴史的価値を知ることはもちろんのこと、展示品によっては動画で稼働している様子を見ることもできるので知識がない人はもちろんのこと、知識をある程度もっている人であれば興味が絶えず長時間すごせることは間違いない。トイレは洋式とウォシュレット式がある。

PCにカートリッジが挿してある なんだこれ


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