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短歌

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簡易的歌集としてまとめておきました。
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#私の作品紹介

たとえばさ私もいつか死ぬわけでポテトチップス塩がおいしい

塩分大事 初出:「かばん」2021.2月号

いつどこのタイミングから勘違いしてたてめえを被害者だとか

対岸の火事。

小手先の泣ける話に同期して東尋坊の背中も押した?

飛び降り自殺をはかる方が多い場所、として知られてしまってもいる、福井県の名所東尋坊ですが…

このような世界に生まれ生きてますこのようなとか二度と言うなよ

こんな世界とか言われると、ちょっとイラッとしませんか 僕はします あれどこにイラッとして…

もう一度君を失うような気がしてみただけだ合葬日和

数日前に、納骨所に預けていた猫たちが合葬されました。 もうあの骨壷を単独で見ることも触る…

ケーキ屋に並んでアンディ・ウィリアムス ホリデーにまだ早い平日

ケーキが食べたくなってケーキ屋へ BGMがもうクリスマス。 歌ってるのはシナトラなのかアンデ…

牛タンのカレーを惰性で喰らう朝猫のハムストリングはやわらか

肉がどうにも食べにくい日もある 基本は好きな食べ物だったのですが

散らばった1箱分の紙タバコ拾う指から夜が染み入る

よく考えたら直前の投稿と繋がっているかのようですが、中身は全然関係がありません。 直前投…

半分の月を探して彷徨える喫煙具店の女主人と

昨日は綺麗な半月でした

人生は全て予定だそのことをわりと忘れて今日も生きてる

先のことなんて本当に 本当に 本当に 本当にわからないのに なんで勝手に予想したり怒ったり嘆…

明日が来ることを願って僕たちは明日の分まで牛乳を買う

短歌初出:「かばん」2020.10月号 #今日の短歌

今日の死を決するの安心は留魂録の八章参照

コンニチのシをケッするのアンジンはリュウコンロクのハッショウサンショウ 今日は夏至でした…

作られたタンパク質を飲む僕の生存証明保証書を読む

プロテインは飲みづらく 日常の些事は疎ましく それでも命は続いていく、という話

もう二度と会わない人を追い抜いた生命線は案外長い

「29歳問題」とよく言っているのだけれど、僕が好きな(大切なことなので強調しておくが尊敬はしていない)吉田松陰は、満29歳で死んでいる。 僕の好きな今生きている人たちが、29歳から30歳になるとき、僕はいつもそのことを考える。 今元気に生きている人たちが、楽しく、元気に、過ごしてくれますように。 短歌初出:「かばん」2021,6月号