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日々是好日 / 刹那的ではない時間を生きる

「日々是好日」という映画をみた。

樹木希林さん演じる茶道の師範の元へ、大学生だった のりこ と従姉妹の みちこが通い出すことになる。

そのあとは、週に一度のお稽古の様子が淡々と描写されていく。

初めての稽古、その次の稽古、お点前の練習、季節の行事、お庭の様子、掛け軸やお椀の絵などなどが、淡々と描写されていく。

せっかちな女子大生のあれやこれやの質問に、「頭で考えない」「からだで覚える」と諭す先生。・・・だけど、そんなことも含めて、若い人にお茶を教えるのが楽しそうな先生。

お稽古の様子にクロスオーバーする形で、のりこと、みちこというふたりの女性の人生が重なり合い、

そしてまた人生を映し出すように、水の音、季節を模したお菓子、海の景色などが描写されてて、

淡々と描写されている中に、全く刹那的ではない、2年、5年、10年、20年、30年といった時間軸の中でストーリーがすすむ中で、

揺れ動き移ろいでいくものと、浮かび上がる大切な想いが見えてきて、

「自分の人生」を重ねる隙間がたくさんある静かな映画だった。

思わず、掛け軸を見ながら、だーーーーーーっと涙してしまったり、

先生の優しさが沁みて、またまただーーーーーっと涙してしまったり、

「すごく劇的なドラマ」ではないのに、ともすれば、一般的なごくごく普通のありふれたドラマの中に、琴線が振れまくって、さいっこーーーの映画でした!!

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「道」というものは、本当に素晴らしいなぁ。

茶道、華道、書道

あとは、盆栽とか、能や狂言、落語、日本的なものではなくても、クラシックバレエも同じではないのかな。

「形から入るもの」

「形や所作に、心を添わせていくもの」

年が経つにつれて、形と心がひとつになり、「人生と重なっていくもの」

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2019〜2020の年末年始に、京都のあちこちを旅していました。

この度、一番感銘を受けたのが「仁和寺」のお庭でした。

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華道 御室流の総本山であるお寺さん。

前に、ナムフォトの企画で「宇宙と繋がるいけばな・写真教室」というのをやったことがあって、御室流師範のヘメンディンガー綾さんを先生に迎えて、

季節のお花を生けたあとに、それを写真でシューティングするという企画だったのですが、、、

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まぁ、その、いけばなの世界が、とっても素晴らしくて、めちゃくちゃいい時間を過ごさせてもらったのでした。

花弁、葉っぱ、茎の曲線、顔つきをじっくりと味わって、

彼ら・彼女たちの声なき声を聴きながら、

さらに、器から広がる空間に、

「宇宙」を表現する「体・相・用」の3つの要素を生けていくのですが、、、

その時間が、生けたあとにできあがる、ひとつのワールドが、

同じ花材を使っていながら、ひとりひとりが全く違う世界を生み出すことも含めて、本当に素晴らしいなぁと思って、

生け花は、またいつか腰を据えて取り組みたいことの一つなんだけど、

そんな素晴らしい華道の総本山って、一体どんなとこなのよーーー!?

と思っていたわけです。

そしたら、、、、その総本山のお寺のお庭は、「初めてみる」類の美しさがありました。


木々が、その一本、一本の中に、宇宙を宿していて、輝いていた。

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というのも、木々の一本一本が、本当に丁寧に、丁寧に整えられていて、

一本一本が、愛おしい個性の持ち主として愛されていて、

お寺のお庭に、星が、ひとつ、またひとつ(この場合は、一本の木ですが)輝き、全体が星座のような様子を呈していたのでごじゃりますーーーー!

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「お庭全体」で、「ひとつの景色」をつくるように整えられているのが日本庭園の一般形だとしたら、

仁和寺の木々は、ぽつん、ぽつん、ぽつんと、

独立した「ひとつの星」のような、凛と美しい佇まいなんです。


お庭の真ん中に立っていると、

「星と星の間」にいるように感じられて、

「宇宙空間にいるってこんな感じかな?」なーんて、想像してみたり。

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一本の美しい木として育つまでに、どれだけの年月が経っているんだろう?

どれだけの手をかけられているんだろう?

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庭師の方は、どれだけ大きな目で、一本の木を、なおかつお庭全体を眺めて、判断して、剪定して、整えていったんだろう・・・?

(ハサミを入れるのは、すごく勇気と意志のいる行為。生け花と違って、お庭の寿命はさらに長いわけだから、本当に偉業だなって思う。)

その、丁寧に、丁寧に重ねられらた時間が、どーーーーーん!

と、迫ってきて、涙してしまったのでした。


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わたしは、刹那的ではない、「重ねられる時間」の中で成るものに、とても強い憧れがある。とても美しさを感じる。(年をとった証拠かな・・)


少しずつ変化していくこと、

ひとつひとつは、似ている様で、実は全く違った様子をしていること。

そういうものに触れると、すごく高まる。


現実世界では、どうしても、刹那的な動体に注目が集まる。

それはマインドフルネスの「イマ」とはちょっと違う様相をしている。

結論や結果こそが90%みたいな世界じゃない?

蓮の花が、泥水の中で根をはる時間は見向きもせず、水面に美しく咲いた、その瞬間のみを愛でる。

・・・なんか、そういう印象だ。

根をはる時間も、同じように愛でていたい。

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長い時間軸のなかで、自分を愛そう。

比較的長い時間を重ねて、変化するもの、育つもの、そういうものを自分の真ん中にして、お仕事をしていこう。

お花見の予定を立てよう。


長々と綴りましたが、3点にまとまりました。 ちゃんちゃん。

(でも、長々と綴ったことに意味があるんだよ〜)




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