先行研究メモ02
先行研究を読んだときのメモ。
個別の指導計画に関する研究
文献情報
小栗 貴弘(2017)「個別の指導計画」を用いた発達障害のある幼児の理解と支援 - 支援案と支援ツールの作成 -.作新学院大学女子短期大学部研究紀要,1,61-67.
・文部科学省(2016)によれば、個別の指導計画の作成率は46%(幼稚園)、93%(小学校)、84%(中学校)となっている。(文部科学省 (2016) 「平成 27 年度特別支援教育体制整備状況調査結果につ い て ( 別 紙 1) 」(http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/04/07/1383638_02.pdf,2017.11.15).
・個別の指導計画を立案できるレベルの専門性のある幼稚園教諭が少ない。
・アクティブラーニングを通じて、保育の養成課程段階から個別の指導計画の作成体験をすることが大切。
・聴覚花瓶のあるこどもがボーリング遊びを楽しめるために、試行錯誤を繰り返した結果、トイレットペーパーのしんを使うことが最も音的刺激が少ないことを発見した学生グループ。
文献情報
小笠原 明子・前田 泰弘・匝瑳 岳美(2020)幼児にたいする個別指導計画作成の現状と意義.こども学研究,2, 51-66.
・生活年齢ではなく、発達年齢に着目して指導計画を立案することが大事。
・3歳未満までは、個別指導計画が立案されるが、3歳児以上クラスでは個別ではなく、学級単位の指導計画になっている。
・個別の指導計画作成のために保護者と面談をすることで保護者の精神的負担が軽減されることもある。
・いつから教えるかに着目されることは多いが、「いつまでに教えるか」を意識して指導計画を考えることが少ない。
・フィンランドでは幼児期からこどもの強味の把握に力を入れており、それをはぐくむための仕組みがある。
・ヴィゴツキーのいう学習の最適期を考慮するとき、最適期の下限だけではなく上限を意識すること。
・個別の指導計画の作成を目的とした保護者面談のときには、保護者のニーズを一方的に聞くだけにならないように、保育の専門家としてこれまでの経験をふまえて中・長期的な視点で保護者とこどもの発達について対話をすることが大事。
・今後の課題として、諸外国の動向などもふまえて、適切な個別の指導計画が立案されるような仕組みづくりが指摘できる。
文献情報
阿部敬信・木舩憲幸・阪木啓二・沖本悠生・井上佳奈(2018)乳幼児教育における特別支援教育の推進 ―特別支援教育から,インクルーシブ教育システムの構築へ向けて―. 人間科学,1,38–48.
・幼稚園および高等学校における個別の指導計画の作成率は年々増加傾向にあるが、依然として小学校・中学校に比べると低い水準のままである。
・個別に実態把握を行うことが個別の指導計画作成にあたっては重要である。
・集団の中で教育、保育を行うこと。「個別的」な視点を強調されがちな個別指導計画だが、実際には、「集団の中での個の成長をいかに促すか」が重要。
・個別月案を作り、毎月、ケースカンファレンスを行うことで、保育士自身の専門性向上に寄与している。自分以外の保育士からの助言、外部専門家から助言を受ける機会が重要。
教師研究
飛坂洋子・勝二博亮・田原敬(2022)知的障害特別支援学校の教科指導における学習指導要領の活用とその課題-若手教員と指導教員への聞き取り調査からー. 特殊教育学研究, 60, 3, 147-157.
・実態把握がきちんと行われずに教育がおこなわれている。
・特別支援教育における実態把握の難しさは私的されている。
・学習指導要領の開設が膨大で活用されにくくなっている。
・参加者は、若手教員6名。(採用1年目)
・若手教員の指導教員4名も参加者とした。教員歴25年以上のベテラン教員。
・20分程度の半構造化面接を実施。
・分析方法はKHコーダーによる定量テキスト分析を行った。
・若手教員にとってこどもの実態把握が難しい。
・同じクラスの中に多様な発達年齢のこどもがいるため、そういったこどもの実態把握をすること、実態に応じた指導は難しい。
・ベテラン教員にとっては、学習指導要領がわかりやすい。新人教員にとっては、段階設定と実態を結びつける指導を行うことが難しい。
・ベテラン教員にとって、アセスメントの結果と学習指導要領の目標が一致していると根拠をもって指導にあたれる。
特別支援教育体制に関連する研究
宮本直美・今枝史雄(2020)幼稚園における特別支援教育の体制整備状況に関する研究-公立・私立園への調査・分析を通して-大阪教育大学紀要 総合教育科学第69巻,77-92..
本研究では,大阪府南部の公立・私立幼稚園への調査を通して,公立・私立幼稚園の園内および園外の特別支援教育体
制整備状況の差異を明らかにし,幼稚園全体の特別支援教育体制整備を推進する方策を提起することを目的とした。
調査の結果,「園内委員会」の設置,「特別支援教育コーディネーター」の指名,「個別の指導計画」および「個別の教育
支援計画」の作成,「巡回相談」の活用,「特別支援教育に関する園内研修」の実施の項目で,いずれも公立園の方が有意
に高かったため,公立園は私立園と比較して,特別支援教育の体制整備を推進している様子が伺えた。しかし,障害のあ
る幼児の「実態把握」と「特別支援教育に関する園外研修」の参加は,有意差が見られなかった。そのため,私立園にお
いても公立園と同様に障害のある幼児への支援に関して,幼児の実態を把握した上での個別の教育支援計画や個別の指導
計画の作成,教職員の研修の必要性等,特別教育支援体制の整備等に対する推進の必要性を認識していることが明らかに
なった。幼稚園が特別支援教育体制整備を推進するためには,園内体制では「組織的な対応の推進」を,園外との連携に
おける体制では「公私立の連携による研修会の開催」「特別支援学校のセンター的機能の活用」を行うことが示唆された。
今後の公立・私立幼稚園における特別支援教育の体制整備については,①公立・私立園のネットワークの構築,②体制
整備の評価・改善,③特別な教育的支援を必要とする幼児に対する就学に向けた一貫した支援の検証について,併せて行っ
ていく必要がある。25m三輪
英国の教育に関する研究
日英教育学会(2017)英国の教育. 東信堂 東京都
・1993年の通級による指導以外は分離教育だった日本。
・2007年の特別支援教育制度はイギリスの教育を参考にしている。
・虐待やいじめ、宗教や生活習慣におけるマイノリティ、母国語がことなるこどもなども諸外国では特別支援教育の対象になっていることも多い。
・1981年教育法によって、世界ではじめて障害児教育に関する記載がされた。
・ウォーノック報告が世界的に注目を集めたのは、障害のカテゴリを撤廃し、特別な教育のニーズという概念が提唱されたからだ。
・多角的に教育的ニーズをとらえるために、個人要因だけではなく、環境要因も含めて評価する必要がある。
加茂純子(2017)英国の視覚喪失アドバイザー4日間の講習に参加して. 日本ロービジョン学会誌, 17, 64-66.
参加費は750ポンド。
12名の参加者。
4日間のコース。
1.私の目の状態と登録の過程を理解する
2.だれか話す人がいる
3.私は自分、自分の健康、自分の家族をせわすることができる
4.必要なベネフィット、情報とサポートをうけることができる
5.自分のもっている視覚を最大限活用できる
6.テクノロジーを最大限活用して情報にアクセスできる
7.外出しあちこち歩くことができる
8.コミュニケートするツールと技術とじしんをもっている
9.教育
と生涯教育への平等なアクセスがある
10.仕事とボランティアもすることができる
質的研究関連
文献情報
荒木田美香子・豊増佳子・仲野宏子(2022)質的研究における質的データ分析ソフトウエアの活用状況の実態.日本看護研究学会雑誌,45, 2, 201-212.
メモ
・CAQDASの使用が増えている。特に、医学・看護分野。
・Nvivoの使用が最も多い。
分析ツールの活用により、より客観的、分析の効率化、可視化、図表化などが用意になり、論文作成もしやすい。
・ソフトウェアの会社が開催しているセミナーに参加しておくと使用手順がわかりやりやすい。
・Nvivoは、大学院生のときにトライしようと思って挫折した記憶が・・・。あの頃とは違い、画面共有をしながら学習することもできそうなので、今後、活用できる可能性を検討する。
文献情報
安藤(武田)瑞穂・熊谷恵子(2022)ADHDを中心とした発達障害者に対する心理社会的アプローチの研究-読書療法がコーチングを補完する要素の質的検討-. 特殊教育学研究, 60, 3, 133-144.
参加者:7名の成人の発達障碍者
分析方法:KJ法をもちいて2名で分類。分析結果を2名が確認した。
メモ
・尺度と質的データの組み合わせた論文。
・カテゴリを図にして関係性を整理している。
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