他人の目でしか見えない自分のメイク

鏡を使わずに触覚をたよりに行うのが弱視の私のメイクの日常。
人前で話す機会も多いので、ある程度は自分でできるよう練習を積んだつもり。

でもね、やっぱり、難しい。

触覚でメイクをするとき、一番難しいのが自分自身でメイクの濃淡等を確認できないこと。

意外に思われるかもしれないが触覚だけを頼りにできちゃうマスカラや口紅は意外と簡単。

難しいのはチークやアイシャドウだ。色弱で色の見分けがつかない私は、とりあえず、アイホール全体にぬるのは一番左の上のやつ、眼の際にぬるのが左の下のやつみたいに場所を覚えて、それを人差し指のはらにつけて目じり側からグラデーションになるようにパウダーを落としていく。同じ回数をパレットの上で人差し指のはらにとれば、再現性は高い・・・はずなのだが。

ある日、私のチークを見た人が
「ちょっと、それ、濃いんじゃない?」
という。そこで別の人に
「今日のチーク濃いですか?」
と尋ねると
「ちょうどいいぐらいだよ~」
と返ってくる。

自分でチークを確認できない私はどちらの意見を取り入れるべきか悩む。

前者は男性からの意見、後者は化粧品メーカーの方からの意見。

色々な人とこの話題をしているうちに、男性やナチュラルメイクを好む女性と普段からフルメイクをしている女性とではメイクに対する「濃い」の基準が随分違うということ。

つまり、私たち視覚障がい者が自分のメイクを見てもらうときには、相手がどういう立場の人なのかを理解して意見を求めると安定的なフィードバックが得られるということ・・・かな。

このことを知らなかったころは
「今日、化粧濃いね」
と言われただけで落ち込んでしまい、今すぐメイクを全部落としてしまいたい気分になっていた。

自分で自分のメイクが確認できない私。
だからこそ、周囲の人には私のメイクがおかしいときには素直におかしいと指摘してほしいのだ。
その指摘こそが私にとってメイクを確認する唯一の鏡なのだから。

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