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羨望のまなざし
いつものように息子の友達を家まで送り届けたとき、久しぶりに息子の同級生のお母さんに声をかけられた。彼女は彼女が働くホームセンターで私の姿をよく見かけるらしいのだが、当然、遠目で声をかけられなければ私は気づかない。私は息子が小学校にあがるときに、学年の保護者の前で自分が弱視難聴であるということを伝えていたし、私に声をかけるときにはこうしてほしいということも伝えていた。だから、いらぬ誤解も生じず、彼女はいつも私に声をかけるときには、
「●●くんのお母さん、こんにちは。●●の母です」
と声をかけてくれる。3人の子どもをもつ彼女はいつも子どもたちの世話で忙しくしているが明るく元気なお母さんだ。
そんな彼女が心配そうな声で
「転校するって本当ですか?」
と尋ねてきた。どうやら、息子が学校で我が家のドリームプランを披露したらしい。しかし、小学生の子どもたちは今すぐ転校すると勘違いしてしまったようだ。転校する予定はないと伝えると彼女が安堵する。そして、彼女はこう続けた。
「いつも息子から聞いているんですよ。●●くんちのお母さんは格好いいんだって。」
私はその子を家に送りにいったり、家でおやつをあげたり、ときにはテレビに近すぎると叱ったりそんなことしかしていないのに、どこをどうみてそう思ったのか不思議でならない。
彼女がいうには、我が息子が学校の中でうちのお母さんはすごいんだぞ!という話をしているのだとか。いつも憎まれ口、減らず口の息子がそんなふうに友達に学校で言っているということを知って嬉しくなってしまった。
保育園のころ、障害のある母は保育士さんたちにかわいそう扱いされていた。笑。助産師さんいは障害を理由に育児ができないのではと疑われ、誰がこの子を育てるのかと言われたこともあった。
そんな私が息子や息子の友達から格好いい、そう思われていることが嬉しく、いつまでもそう思われる存在でありたいと思った。
彼女は私に羨望のまなざしを向けてくれる、そんな存在に自分がなるとは思っていなかったので少しむずがゆい出来事だった。
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