快慶の傑作! 八幡神の神像に会いに行こう
東京国立博物館、トーハクで開催されていた『神護寺展』
空海様に関係するものが沢山出ている❤と聞いてうきうきと訪れたのですが、びっくりするものがありました。
それは、八幡神の画像。
八幡神とは、全国に4万4千を超すお社があるという(ウィキ調べ)八幡宮のことです。
奈良にも八幡さんは沢山あります。
その中でも、東大寺の守護神である「手向山八幡宮」は、創建当時から東大寺をお守りしてきたという由緒ある場所で、大分県の宇佐八幡宮から神様がやってこられました。神さまがお越しになった時にくぐられた門『転害門』は今も国宝として残っています。
この手向山八幡宮の御神体は「神像」でした。
しかも、僧侶の姿を取っているという『僧形八幡神』なのです。
さらにこのお像は、あの運慶快慶でおなじみの仏師、快慶によって作られました。
運慶と快慶って、兄弟弟子なんです。
運慶は、慶派と呼ばれた仏師集団の棟梁の息子。
快慶は師匠を同じくする兄弟弟子です。
ふたりはともに慶派工房の中心的存在でしたから、技量もそれぞれに卓越したものをもっていました。
そして同じ鎌倉時代の風を受けて育ったふたり。
作風はとても良く似ています。でも、明らかに違うのです。
個人的に快慶の作る仏像は、とても端正できりりとした、正統派な美があるなあと思っているのですが、皆様いかがでしょうか。
そして、この快慶が作った八幡神の神像は、『神護寺展』にて出陳されていた「八幡神の画像」を元に作っていたのです。
ずっと、参考にした画があるとは聞いていたのですが、それが出ていて驚きました。そして狂喜乱舞しました。
こ、これか~!!
さらに驚愕したのが
「は、八幡神の神像とそっくり…」
もちろん、この画を参考に作ったのですから、似てるのです。
似せているのです。
でも、画と立体像って違うではないですか。
同じにしようと思っても、できないのでは?
それがもう完璧に完璧なのです。
そして、神像としての威厳やオーラは、快慶の像の方が勝ってやいないか…
あらためて快慶という仏師の優れた技術に感動しました。
八幡神の神像は、鎌倉時代らしい「写実的」な像です。
骨格は壮健な男子という感じで広く胸を張り、威厳を醸し出しつつも、ゆったりと組まれた足。頬は張りがあって弾力が見え、いきいきとしたツヤがあります。
目尻や口元にもシワが刻まれているものの、赤く朱がさした唇は生気がみなぎり、まるで生きているようです。
神像ですから、生身の人間のように作ってはいけない。でも姿は人の形である。この人の形をとりながら「神威」を醸し出す像を作るなんて、ちょっと想像を絶する凄さです。
この快慶作の八幡神の神像が10月に公開されます。
この日は、大仏殿の復興に尽力した公慶上人の功績を偲ぶ法会があり、公慶上人のお坐像も公開されます。
これらを拝観に行くツアーをやりますので、ぜひご一緒に東大寺へお参りしませんか。
【街歩き】秘仏ご公開! あなたがいなければ今はなかった~公慶上人と御神像・八幡神に会いに行く~ | ただうち香織の奈良ガイド (uruwashinara.com)