気が付いたら〜982〜
ネロ「顔と気配と気を分からなくしたのは甘かったようだね。次からは他も何しないと。心当たりある?」
苅里「あくまで私の意見だけど混沌や眷属を使ったんだと思う。アキ兄さん達4人は混沌が使えるし、ソル兄様達はカラスが眷属だから。もしくは同じ一族を追うってことは出来るかな?」
ネロ「ああ、それは出来るね。同じ血を持つ一族とかなら可能だよ。カラスには分からないようにしてたんだけど…。混沌はもしかしたら混沌を使えるもの同士とか別の方かもね。まあ似たようなものだけど。苅里よく頑張ったね」
ネロに抱きしめられて力が抜ける。
苅里「兄さん達が暴走しなくて良かった…。ネロありがとう」
ネロ「どういたしまして。俺もそれが起きなくて良かったと思うよ。血、もらってもいい?」
苅里「うん、肉も食べていいから。本当に来てくれてありがとう」
苅里の言葉を受け取ってネロは苅里に噛み付いた。
ブチッ、ブチッ!
苅里を抱きしめたまま食べているが足元がふらつきそうになっていたのでベットに寝かせてそのまま食べる。
ネロ「もっと…」
そう呟いて苅里の服を引っ張って腕にも噛み付いて夢中で食べて腹の方も食べる。
苅里「(そんなに力を使って探してくれたってことだよね…?)」
混在界全てを探していたとすれば相当な体力などを使ったのだろう。あれだけの短時間で見つけてくれたのだからネロを止めるつもりもない。
無事な手でネロの頭を撫でて意識があるギリギリまで撫で続けた。
ネロ「はぁ、はぁ…。これだけ食べられて止めないなんて…」
もう全体の7割ほどを食べたのに苅里は一切止めずにしていた。大量に食べられて意識を失った時の手を握ってキスをする。
ネロは基本領域と分身を出しっぱなしにしても魔力も何も消費しないので体に対する負担なんて全くないのだが今回苅里を見つけ出すために滅多に使うことのない方法で見つけ出したので体力と魔力を消費したのだ。相手がどれだけ隠しても印さえ持っていれば対象者を見つけられるのでこれは印をかける側の人間にしか分からない。苅里はもしかしたらと思ったが様子からして知らないらしい。それは滅多に使うことがないのでネロは苅里と城に戻って来てから力が抜けて飢えが襲って来たと言うことだった。それで食べれば苅里の血肉の色、匂い、味、食感で全部ストッパーが外れてこんなことになってしまった。元々止めるつもりもなかったんだろう、止めずに自分の頭を撫で続けて大丈夫と言われているような気分になった。
ネロ「苅里ありがとう。回復はちゃんとするからね」
ゆっくりと回復をして、破った服を処分してシーツで巻いてあげた。胸が見えたがその気はないのでそのままネロは苅里を抱きしめて眠った。
苅里「…ネロ、これは?」
目を開けて肩がスースーしたので自分の姿を見たらシーツに包まれていた。
ネロ「服破っちゃたから処分して、新しい服着せようかとも思ったんだけど着せる自信がなかったからシーツを巻いた。白いドレス着てるみたいで綺麗だけどね」
苅里「胸見た?」
ネロ「見たけど何もしてないよ。すぐにシーツで巻いたから。不満?」
苅里「不満とかじゃないけど…。まあいいや、今何時?」
ネロ「夜6時半。今服着てもすぐに洗濯に出すちゃうからそれ錬金術で服にしちゃってよ。と言うかしていい?」
苅里「どうぞ。変なのにしないでね?」
ネロは頷いてそのシーツに少し分身の梅を乗せて服にしていく。
所々梅の花が咲いているノースリーブのワンピースになった。
苅里「真っ白なワンピースよりもこっちの方が可愛いね。結構良いかも。」
ネロ「そう?なら良かった。メイドごめんね。お願いして良いかな?」
メイド「良いよ。その服気に入ったなら洗濯して日常使いの服に入れようか?」
ネロ「まあ素材もいいしね。そうしようか。今度布とか花を買って錬金術で服を作ろうかな?それも面白い気がして来た。よし、そうしよう」
メイド「私もやってみたい!主いい?」
ネロ「一緒にいろんなの作ろうか。失敗しても分解すれば元通りだし」
苅里「服作りするんかい…。まあいっか。もうリビングに行ってもいいの?」
メイド「うん。それも伝えに来たから。もう準備出来てるよ」
メイドはそのまま部屋に残ってネロとリビングに行って夕食を食べた。
ネロ「苅里の好きな花も使ってワンピースにして行こうか。後で花屋ね。」
メイド「じゃあ先に行って買ってくる!私も買いたい花があるから」
ネロ「なら宜しく。苅里どう?」
苅里「布を見ることってあまりなかったけど結構沢山あって面白いね。同じ白でも光沢があったり少し固い素材で出来ていたり…。シルク買うの?」
ネロ「うん、これでスカーフも作ったら首が痒いとかないでしょ?苅里前に合わなくて掻いてたし。シルクなら大丈夫じゃん?」
苅里「よく覚えてるね…」
ネロ「身に着ける素材は俺結構気にする方なんだ。だからデザインとか色々考えて利用する店が全部世界が違うんだ。納得?」
苅里「うん。今まで大変そうだなって思ってたけどそう言う理由なら納得かも。私着物だったら色々と考えるんだけどそれ以外は全くダメだし…」
ネロ「それが今ではメイド達の楽しみになってるんだ。そのままでいていいよ」
苅里「うん、ありがとう」
店員達「(仲の良いご夫婦ですね…)」
そんな会話や様子をそっとみていた店員達は内心思っていた。
ネロ「それにパーティーで呼ばれたらそれ用に作ったりとかも出来るし面白そう(笑)今回は苅里だけの参加だから心配だけど…」
苅里「私だけだったら断れないから仕方がないよ…。服装はなんでも良いってあったから着物にするよ」
ネロ「じゃあさ、無地の着物を1着買って柄は俺が錬金術でやって良い?」
苅里「それも面白そうだね。じゃあ後で着物屋さんにも行かないと。生地買って来たら?私ここでみて待ってるから」
ネロ「分かった。すぐに終わらせてくるから」
そう言って布や生地を店員に頼んで会計をしていく。
店員「仲が宜しいですね」
ネロ「あはは、ありがとう。やっぱり見えてた?」
店員「はい、仲睦まじいお姿で」
ネロ「ありがとう。嬉しいよ」
そんな軽い会話をして会計が終わると影に入れて2人で次の着物屋に行って着物を買えば城に戻った。
メイド「…なるほど。着物に柄をつけるんだね。そうしたら分身の梅の花も入れるんでしょ?何かあってもそこから出て来れるし。」
苅里「そんな事して大丈夫なの?」
ネロ「別に分身を連れて行っちゃいけないなんてルールはないからね。ちりばめる感じで入れておくから気にしなくて良いよ」
そう言って梅の花を出して今日買った着物に錬金術で入れていく。梅の花が入って無地だった着物に命が宿るようで見ていて退屈はしなかった。
梅と相性の良さそうな花屋で買った花も入れてそれを見る。
ネロ「うん、良い出来。誰とも被ったりとか絶対にないね」
メイド「主は色彩とかデザインに関してはかなり良いからね」
苅里「確かにそれは言えてる。趣味が良いもんね」
ネロ「2人ともそんなに言わないでよ。照れるじゃん」
メイド・苅里「本当のことだしね〜」
ネロはちょっと耳を赤くして恥ずかしそうにしていた。