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気が付いたら〜979〜

優「敵にも味方にもなりたくないだと?馬鹿げている」
レグとメグが話せば優が吐き出すようにいった。
優「中立で居続ける事なんて出来ないぞ。最後にはどっちかにならなきゃいけないんだ」
メグ「もし敵になったら?」
優「無理にでもこっちに来させて2度と逃さない。もう居なくなるのはごめんだ」
優にとって苅里がいきなり居なくなるのは何よりも嫌なのだ。しかも相手は苅里を手放すつもりはないようでスグルとは一番敵対しているように兄としてなんとなく感じるのだ。
レグ「…どんなことをしても後悔だけはしないでくれ。俺たちから言えるのはそれだけだ。だが力は貸す。必要になったらいつでもな」
優「分かった。」
メグ「それで、スグルは?部屋から出てこない?」
優は頷く。何を考えているのかは分からないが食べる時以外は出てこない。目にクマはできていないので睡眠はきちんと取っているようだが時々気配が消えているので領域や他の世界にも出ているのだろうと優は思っていた。
羽美達3人は落ち込むより別のことに集中すると言って戦闘能力の向上や勉強を行っていた。今では優のしている仕事の半分は3人がしていた。

スグル「苅里、昔一緒にいようって言ったよな?お前が裏切るならこっちもそれ相応のことを行わせてもらう。戻ってこないならお前の生を奪ってやる。分身出てこい。お前、1体じゃ足りないからもっと作ってやる」
領域の地下でキリトとハルトの知らない分身を出す。スグルと苅里しか知らず、前は1体だけだったが今はもっと増やす事にした。どの数まで増やすかはスグルにしか分からない。

ネロ「…苅里?どうかした?」
苅里「ううん、なんでもない。ちょっと過剰に反応しただけ」
ネロはそっか、と言って苅里をベットの上で抱きしめ直す。
苅里「(スグル…?)」
一瞬スグルの分身が見えた気がしたのだ。キリトもハルトも知らないあの分身が複数いたように感じたのだ。なぜそう感じたのかは分からないが一瞬悪寒を感じた。
苅里「(そんなわけないよね…?)」
幻覚でも見えたんだろうと思って頭の隅に追いやって目を閉じた。
メイド「2人ともベット直すから退いて!仕事の邪魔〜!」
使用人「使うなら書斎とか日中使う方の部屋にしろだって」
ネロ「メイドの邪魔しちゃいけないから出ようか。滝のほうに行こうよ」
苅里「またしつこかったら尾を引っ張ってやるんだから」
ネロ「やってみれば?逆に俺の体で巻いてやるから」
苅里は嫌そうにして部屋を出て距離をとって滝に足を入れていた。
ネロ「苅里も龍の姿になってよ」
苅里「後でね。今はこう言う気分なの」
そういえば構え構えと言って苅里の顔を鼻で弄ってくる。鼻を掻いてやればフンフンと言って機嫌が良くなる。そのまま顎をかけばグルグルと言って目を細めて苅里をパクリと口で掴んで滝のほうにポイッと投げられてギリギリ結界を出して滝の中に入る事を免れる。
苅里「あ、危なかった…。後でなるって言ったじゃん!」
ネロ「早くなって!結界壊しちゃうよ?」
苅里「まだ滝に来て5分なのに…。もう少し待ってよ」
そういえば無理!と言って結界ごと苅里を咥えて器用に結界だけ壊して滝の中の奥に入れられる。
ゴボゴボと空気を出して苦しくて龍になればネロがニヤッと笑ってそのまま巻きついてくる。
その状態で地面に上げられてギュウギュウと絞められる。
苅里よりも大きいその体に巻き付かれて苅里は抵抗しても出られない。
ガリガリ。
ネロが苅里の首を牙で掻けば苅里はビクッとなって次第に抵抗をしなくなってグルグルと甘える声が出る。
ネロ「俺で遊んだらもっと下の所をしてあげる。お腹辺りが一番気持ちが良いんだって」
それは嫌だと言いたいがずっと首をやられているので返事が出来ずに結局されるがままの状態の苅里だった。
眷属「ネロ苅里扱うの上手いな」
眷属「あれだけ大きい体ならされるがままだろうな」
眷属「苅里振り回されっぱなしだな、龍の姿のネロには」
眷属達はちょっと興味が湧いて見にくればそれに遭遇してそれぞれの感想を言っていた。
眷属「あれなら子供もできるのもそう遠くないんじゃないか?あの2人の子供ならきっと強い一族が出来るぞ」
眷属「仮にラウガの血が入ってもさした問題でもないしな。鴉になったり翼がある事くらい可愛いものだ。」
ネロ「(子供かぁ…)眷属達見世物じゃないよ。戻りなよ」
そう言って戻らせる。苅里の耳にはそんなことが入らなかったらしく呼吸困難に陥りそうになっていた。
ネロ「(子供出来たらラウガの血は龍の血でねじ伏せて消しても良いんだけどね。力関係からしてこっちが圧倒的だし。苅里が子供欲しくなかったらこのままでも良いんだけど)」
そう思いながらさっきからネロは無意識に首よりも下もやっていて苅里は辛そうな声を出して意識がなくなった。
ネロ「あ、やっちゃった…。力も強くしてたし刺激強かったかも。」
雌の龍なら腹の次に気持ちが良いと言う場所を通常よりもかなり強くやってしまったようで苅里の許容を越えたらしい。息が荒いまま気を失ってネロは謝罪して周囲から隠すように苅里の体を包んで目を閉じた。
2時間後に目が覚めてネロは苅里を起こす。
ネロ「ごめんなさい。最後は無意識でやってた」
苅里「あんなの初めてだったよ…。もう許容超えた。何か考えてたの?」
苅里はもう気にしなくて良いと言ってネロの顔に自分の顔をスリスリと擦り付ける。
ネロ「うん、眷属達が2人の子供なら強いだろうって。もしラウガの血が入っても鴉になるくらい、翼があるくらい可愛いものだって言ってたんだ。…苅里って子供欲しい?」
苅里「私はどっちでも良いよ。ネロの返答による」
もう出産経験なんて何度もしてるのでネロの意見を聞く。
ネロ「じつは俺もどっちでも良いんだ。あくまで今の段階の返事だけどね。俺達って自然じゃん?でも生まれてくる子供も自然を持つわけじゃない。自然じゃないならどう考えても俺達は子供を看取る側になるんだよ。だから、それが悲しいようならわざわざ子供を授からなくても良いのかなって。まあすることはするけど♪」
苅里「はいはい…。でも私の子ども今全員生きてるからなぁ…。あんまり考えた事なかった。でも子供いた方が賑やかで良いよ?成長を見るのも楽しいし。ある程度成長したら自分でしたいことするから育児が出来る間って結構充実してて良いよ」
ネロ「へ〜そうなんだ。それなら確かに感じたいなぁ。うん、もうちょっと考えて見る。…心配しなくてもいきなり襲ったりしないよ。そこらへんはしっかり話すから」
苅里「なら良かった。マイペースなやつが結構いたので」
ネロ「そりゃお疲れ様です。」
苅里「まあネロならまだマシな方だね。でもさっきはのは本当に辛かった…」
ネロ「う…ごめんなさい」
ネロは本当に申し訳なさそうに言って苅里を離して人の姿に戻る。
ストン。
苅里「た、立てない…?なんで?」
ネロ「あ〜腰が抜けたんだね。俺が抱っこするから。…やっぱり刺激強かったか」
苅里「そう言うこと言わなくて良いから早くして!」
苅里に叱られながらネロは苅里を抱っこして城に戻って行った。