見出し画像

気が付いたら〜936〜

苅里「う〜ん、全く喉の渇きが取れない…」
優「ああ、それ来るな。このままソル達のところに行け。多分日付が変わるといきなり酷くなるぞ」
苅里「分かった。」
優に言われてソル達のところに言って話せばそれは飢餓が来てると言ってソル達以外は明日から数日休暇となった。
ソル「初めてで多いのは5日なんだよね。苅里なんか体に違和感ある?」
苅里「なんか少しずつどっちかの姿に戻りそう…」
ギル「今回は稽古場で様子見だね。初めては辛いけどそれを乗り越えれば良いから。」
苅里は頷いて人を数人食べたら夜はそのまま稽古場にいて何重にも結界をかけて念の為主結の反転も出した。
苅里「強力な睡眠薬も持ったし、兄様達にも渡したから大丈夫だと良いな…」
苅里は腕の鱗を見ながらそっちに戻りそうになるが耐える。
ドクン…
苅里「う…」
苅里は嫌な心臓の音を聞けば一気に優の言ったように酷くなって突然姿が変わる。
ガリガリ!
ソル「合体してるね。龍の体にラウガの翼が生えてる」
ギル「苅里の場合こうなるんだね。にしても…」
ウル「うん、初めて完全に龍になった姿見たけどデカいよ…」
トキ「稽古場で正解だった…。それに本人が何重にも結界も貼って守結の反転も使ってるから出られないようだね。」
4人の兄は苅里の龍の姿の大きさに呆然となった。稽古場でなかったら城の部屋がいくつも壊れていただろう。本人はグルグルと言って翼で姿を隠して耐えていた。
ソル「苅里耐えてね…」
結界の方は何も異常がないようで心配しながらも4人は部屋に戻って行った。
そのまま2日目、3日目、と続いていき、5日目になるがまだ治る気配が無かった。
トキ「もう6日目に入るけど長くない…」
ウル「初めててこれ以上長引くとかほとんど無いんだけど…」
ヒュッ…ガン!
尻尾を使って結界に何度もぶつけて来る。
ピシ…
ソル「ギル、スグルと優を呼んで!今僅かに結界にヒビが入った音した!」
ギル「分かった!」
ギルが飛んでいってその間にも守結の反転を壊そうと何度も攻撃をして来る。
スグル「…こうなるのか。」
優「守結の反転にヒビが入っているな。出て来たら殺すつもりでやるしかない。スグル、加減するなよ」
スグル「…分かった。苅里、済まないな」
スグルも優も苅里の姿に驚きながらもソル達とその時を待つ。
ビシッ!ビシッ!
ソル「破れるよ!」
バリン!
苅里はそのまま咆哮を上げて攻撃を仕掛けて来た。
スグル「氷雷波、苅里を攻撃しろ」
優「黒炎波、相手を殺せ」
そう言って攻撃をするがラウガの翼で全部弾いて届かない。
優「ッチ。厄介だな」
ソル「2人は攻撃し続けて。俺とギルは翼をなんとかするよ」
ギル「分かった」
ウル「俺とトキはあの尻尾を抑えるよ。あれで攻撃されたら稽古場なんて壊れるよ!」
トキ「了解!」
6人がかりで苅里を抑えて行って、時間は経過する。
2時間後。
ソルは苅里から預かっていた強力な睡眠薬を隙を見て口に入れればなんとか飲み込んで20分後にようやく苅里は眠りに入った。
優「やっとか…。」
6人は苅里1人相手するだけでかなり疲れて所々怪我をしていた。
スグル「今6日目か?長いな」
トキ「苅里強すぎ…ソルを抑える方が全然可愛く見える」
ソル「そりゃこの姿の苅里を抑えるより俺を抑えたほうがいいだろうね…」
スグル「今の苅里を回復出来ないしな。大分怪我を負わせた」
ウル「抑えるためだから仕方がないよ…」
睡眠薬を飲ませて寝てから優がさらに鎖で暴れないようにして6人で結界を貼り直したのだ。
正直言ってこれで大丈夫かという不安もあるが交代で仮眠をとって様子を見るしか無かった。
結局苅里の飢餓が終わったのは10日目だった。睡眠薬は本当に強力だったようで10日目になるまで一切起きなかった。
苅里「…やっと終わった?記憶ない…」
ソル「6日目であの睡眠飲ませたから…。初めてで10日間とか長いよ…」
優「今回復するからそのままでいろ」
そう言われて龍の姿でじっとして翼だけ消した。
苅里「優ありがとう。大分迷惑かけたみたいでごめん…」
ウル「飢餓はそれが普通だから気にしなくていいよ。それにしても龍の姿だと大きいね」
苅里「兄様達が小人に見える(笑)」
トキ「まあそう見えるのも仕方がないね。」
苅里は鼻を使ってトキにスリスリとやっていた。
トキ「くすぐったいよ。体痛くない?」
苅里「ちょっと痛い。稽古場ではあんまり動けないから」
ギル「稽古場じゃ無かったらもっと手こずってたかも…」
優達「確かに。」
苅里「もう戻っていい?」
ソル「え〜もうちょっと見たい!」
優「俺も見たいな。でも体が痛いのもな…」
苅里「それなら近くに湖とかある場所に飛ばしてよ。大きい滝のある場所でもいいよ。」
スグル「そうしたら先に行って周囲に結界を貼っておくか。兄貴、あの場所ならいいんじゃないか?」
優「あそこか。分かった、先に行って結界を貼っててくれ」
ソル「もしかして魔界の人が立ち入らないあの場所?」
優「ああ、昔お前達と偶然見つけた場所だ。あそこなら結界を貼って過ごして問題ない」
スグルから準備が出来たとテレパシーが入ってソル達は苅里を連れて行く。
苅里「大きい湖だね…」
優「ここなら広さが十分だ。…入りたいのか?」
苅里「この姿になるとね。やっと体を伸ばせる…」
そう言ってするすると湖に入って行った。
キト「母さん、言われた通り人持って来たよ。こっちに置いておくね」
苅里「キトありがとうね」
スグル「その姿で食べるのか?」
苅里「まあね。」
苅里はさっきまで生きていたであろう妖怪を口に加えると…
ゴクン!
優「丸呑み…」
そのまま5人食べて苅里は落ち着いたようで地面に顎を置いてウトウトとしていた。
ソル「俺達はこのまま昼食にするから苅里は寝てていいよ」
苅里「そうする…ZZZ…」
返事をすればそのまま静かに寝てしまう。
ウル「あれだけ怪我して苦しかったのも無理ないね。龍の姿の苅里って綺麗だよね」
優「白い体で赤い瞳だしな。鱗が光に反射して光っている。夜だったらもっと綺麗だろう」
ソル「あーそれ見てみたい!…トキ何してるの?」
トキ「いや、鼻を掻いたらどうなるかなって。」
トキがそっと鼻をかくと多少反応したが気持ち良さそうにして無意識に甘えるような声を出していた。
ウル「そこが気持ち良いんだね。俺もちょっと♪」
ウルも鼻を掻いてあげればまたグルグルと言っていた。
優「寝かせてやれ。いくら苅里でも体力を消耗したんだろう」
ソル「2人ともやめておきなよ」
ウル・トキ「はーい」
6人は苅里を時折見ながら話をして夕方まで一緒に仮眠も取った。
夕方になれば苅里が先に起きて6人をつついて起こす。
スグル「苅里、もう大丈夫なのか?」
苅里「うん、もう大丈夫。帰る?」
優「ふむ、綺麗だな。」
苅里「?何が?」
ソル「夕陽で鱗が赤く見えるから綺麗だって話。ちょっとそのままでいてね」
苅里はキョトンとなってそのまま動かずにいる。
ウル「はい、OK!…うん、よく描けた」
トキ「ウル絵を書いたの?後でコピー頂戴」
ソル「ウルはこの中で一番絵が上手いからね。苅里もう良いよ。元の姿に戻る?」
苅里は頷いて人の姿に戻るとその絵を見る。
苅里「本当だ、ウル兄様絵上手だね。こんな感じに見えたの?私」
ウル「うん。すごく綺麗だったよ」
ウルは満足そうにして欲しいというソル達3人分と優とスグルにもコピーをあげて帰ろうとなった。苅里はそのまま魔界の城に戻った。
優「苅里の龍の姿良かったな」
スグル「いつ見ても綺麗だしな。」
優「そうか、もう何度か見たことがあるのか」
スグル「兄貴よりも長くいるからな。」
スグルは本当のことを言うと半分龍、半分人の姿を残した方の姿が好きだがそれは睡眠の時でないと見れないので秘密にした。
スグル「苅里なら一言言えばいつでもあの姿になってくれるぞ。また言えば良い」
優「そうだな、飢餓が起きてない時に頼むとするか」
そう言って夕飯の時間になれば家族で夕食にした。