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気が付いたら〜840〜

30分後。
イン「凄い…夢みたい…」
苅里「うん、似合ってる。髪型も良いね。」
メイド達は全員退出させてインはグラグラとヒールで歩きながら椅子に座ってゼーハー言ってた。
苅里「ヒールのある靴って大変だよね。私も最初そうだったら分かるよ。そんなの履くくらいなら私スニーカーがいいもの」
イン「これは、確かに辛いです…」
苅里「無理に履く必要ないよ。脱いで楽にして」
インはそれに甘えてヒールのある靴を脱いで近くにあるスリッパを履く。
イン「まださっき紹介したばかりなのになぜここまで良くしてくれるのですか?」
苅里はキョトンとなる。
苅里「別に私はギスギスした空間が嫌なだけだけど…。それに戦闘態勢にならなくていい時になっても意味があるとは思えない。だったら興味のあるものを身につけてお茶とかを飲んだ方が有意義じゃない?」
イン「た、確かに…」
そしてそのままインと苅里は夕方まで過ごした。
苅里「今日はもう休んで?その服はあげる」
イン「そ、そんな事したら私が怒られてしまいます!」
苅里「じゃあ明日から毎日ドレスにここで着替えてもらうから。着たいんでしょ?」
インは顔を真っ赤にして頷く。
苅里「だったらその環境にある私を利用すればいいよ。着飾る事は悪い事じゃないよ」
インは嬉しそうにしてドレスから鎧に変えて退出して行った。
苅里「ドレスが役に立って良かった。あんなもの私は興味ないもの」
そう1人呟いて夕飯まで外を見ていた。
それから数週間過ごして夢でレグ達とも話してもう体調も回復したとキト達から聞く。
キト「もういつでも動けるよ、母さん」
スグル「こっちもだ。いつでも呼んでくれ。苅里のところにいつでも飛んでいく」
苅里「ありがとう。でもこっちはまだ時間がかかるの。1週間後にまた夢で会おうね。スグル、申し訳ないけどもう少しだけ耐えて」
スグル「分かった。無理はしないでくれ」
そう言って夢で別れた。
苅里はすぐに目を覚ますと服を着る。
苅里「(もう少しで残り一つの拠点の場所が分かる…)」
今まで感知した限りではこの城を含めて4箇所あると分かった。そのうちの一つの場所のおおよその場所は分かったがより詳細な場所となればもう数日かかるのだ。
一方のスグルの方は荒れていた。
スグル「食事以外は誰も話しかけて来ないでくれ!日常生活なら部屋の設備で出来る!」
スグルが怒鳴り散らすように言って愛羅はワタワタとしていた。
藍里「お父さんそんなにピリピリしないで…」
スグル「お前達が俺をそうさせているとなぜ分からない!不愉快だと言ってるんだ!」
自分の子供にさえその態度でイト達もため息をついていた。
スグル「こっちがため息をつきたい気分だ!そこの残像の苅里も視界に映るな!苅里と同じ姿をしているというだけでイライラする!」
残像「っつ…」
スグルは乱暴にドアを閉めて部屋に篭る。
スグル「苅里の一部だというのになぜあんなに態度が違う?まるで別人じゃないか」
コンコン…
スグル「誰も訪ねてくるな!」
そう怒鳴り散らして外にいたルミはビクッとなって戻って行った。
スグル「(苅里…早くしてくれ。早く戻って子供の名前を決めたいんだ…)」
まだ知ったばかりという事もあって名前を話し合う時間さえもなかったのだ。
スグル「(ボソッ)キリト、ハク達の話を感づかれないように聞いて来てくれ。俺の前では話そうとしない内容なのは分かってる」
キリト「分かった。父さん、もう少しだから…」
スグル「ああ、済まない」
そう言ってキリトは霊体になってそれを聞きに行った。
キリトはハク達の話をこっそりと聞く。
ハル「スグル戻って来てからずっとあの状態だね…」
ロイ「あいつに毒されたんだろう。子供達は八つ当たりされる可能性があるからしばらくは控えろ。」
藍里「うん…。それとあれは大丈夫なの?ちゃんと作用してると良いけど…」
ニキ「人の本性のかけらを元にした薬か?あれは全部ラウガの体内に取り込むように言っておいた。ラウガには害はないがレグ達みたいな自然には効果はデカい。化け物にしか効かないようにしてあるからレグ達には何もない。それが効くのはあの化け物だけだラウガを一番多く切った化け物にしか効果は出ない」
有喜「解毒方法もないしその時は私達は上空に逃げれば良いものね」
そう話してこれからどう生活するか話していたがキリトはそんなものは耳に入らなかった。
キリトは震えながらスグルのところに戻った。
スグル「…何か分かったか?」
キリト「…周囲に結界を貼って遮断して。見聞きできないようにして。」
キリトは震えて言ってスグルはその通りにして言葉を待つ。
キリト「苅里が…人の本性に汚染されてるかも知れない」
スグル「なん、だと…。どうやって…」
キリトは聞いた話を全部話してスグルは震える。
スグル「前回のあの時に拾われていたのか!これ、苅里は…」
キリト「きっと知らない。多分奥に潜んでるんだと思う。この前夢で会った時は何も言ってなかったし…」
スグル「あいつ、今子供も身篭ってるのに…!子も母体も危険すぎる!」
キリトは初めての事実に驚く。
キリト「待ってよ…今妊娠してるの!?いつから!?」
スグル「今の件が決行される数日前だ。2人でこれが終わったらレグやお前達にサプライズとして話そうと決めていたんだ。今なら妊娠4ヶ月に入った所だ。これを知ってるのは俺と苅里と今話したキリトだけだ」
キリト「じゃあ…もしかしたら子供も汚染されるかも知れないの…?」
スグルは歯を食いしばって苦しそうに頷く。
キリトは今苅里から最後の拠点が分かったとテレパシーが入ったとスグルに伝えて明日の夜にまた夢で会おうと決まったと話した。
キリト「父さん、明日夢の中で全部言うしかないよ。どうにかして子供にも苅里にも負担がかからないようにしないと…」
スグル「なんで、こんなに辛いことしか起きないんだ…」
スグルは泣きながら言ってキリトはスグルに戻るように言われて戻った。
翌日、苅里は最後の拠点がわかったことを話してこっちもいつでも動けると話す。
スグル「最後に俺から2つ話すことがある。まず、苅里は妊娠している。今は4ヶ月目に入った所だ。妊娠したと分かったのはこの件を決行した数日前だ」
メグ「また子供出来たの!?」
苅里「それ今言うの!?終わってから言う予定だったじゃない!」
スグル「話は最後まできけ。2つ目、苅里の中に人の本性がいる可能性がいる」
苅里「…え?」
狂気「どう言うことだ!?」
キリト「昨日父さんに言われてハル達の話を聞いたんだ。今から話すよ」
それを聞いてレグ達もショックを受ける。
水「スグル、今すぐこの場で人の本性が潜んでいるか分かるから確認して。苅里良いよね?」
苅里は頷いてスグルはそれを確認する。
数分後、スグルはいると言って苅里は言葉をなくす。
水「じゃあ今お腹にいる子供も苅里も危ないじゃん!」
風「潜伏期間からすればまだ出て来ないけどもう…。消失させたら子供まで消えちゃうよ…」
スグル「なんで、あんなものを作ったんだハル達!」
スグルは悔しそうに言って苅里は風に聞く。
苅里「風、潜伏期間はどれくらいだと思う?」
風「短くて7ヶ月くらい、長くて1年くらい…」
苅里「それならまだ間に合う。スグル、お腹の子に人の本性は汚染されてた?」
スグルは訳がわからないがまだだと話す。
苅里「子供にまだ何もないなら大丈夫。中に結界と守結を貼って人の本性に触れさせない。そのまま出産まで維持する。そのまま出産したら私は長期の眠りに入って時間をかけて消滅させる。人の本性が出て来てないならそれは出来る」
スグル「待ってくれ…子供はどうなる!苅里の顔を見れない!」
苅里「スグル、それよりもこれを表に出さないことが優先だよ。私は人の本性での犠牲者を生みたくない。大丈夫、私は死なんだから死なない。眠るだけだよ。それにまだ出産まで時間がある。名前も考えなきゃね」
スグルはそれを聞いて苅里を抱き締める。
スグル「早くこんな事は終わらせよう…。明日呼ばれるのを俺たちは待ってる」
苅里「うん、必ず呼ぶから。レグ達も忙しくなるけど宜しくね」
そう言って夢で解散となった。
翌日、苅里は朝食を食べ終えて部屋に戻る。まだインが来る前なので行動を開始する。
苅里「スグル、みんなお願い」
そういえば自然達やキト達も全員動く。
スグル「苅里から離れないからな」
苅里「私だって離れるつもりないから」
3時間後、4拠点全てを全滅させるとスグルたちは帰って行った。
その間ハル達もスグルを探し回ったがラウガの拠点は知らなかったらしく見つける事は出来なかった。