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気が付いたら〜875〜

苅里「これ、私の出番ないじゃん…」
トキ「最初だけでも守らせてよ。俺達だって妹を守ってあげたいんだ」
苅里「守られるの性分じゃないんだけどなぁ…」
そう呟いて後ろでその光景を見る。時々苅里の顔に血が飛んで来るが影からティッシュを出して拭いていた。
苅里「人の顔に血飛ばさないでよね」
スグル「苅里、俺達の嗅覚を奪えるな?これから酷くなるぞ」
苅里「OK。…はい、全員血の匂いに反応しないよ」
他の主「あの女ただ守られてるだけじゃないな。状況を考えて冷静に判断しているがそれを表に出さないように隠してる」
他の主「6人の動きからしてサポートもあの女がやっているな。あれだけの人数、いくらあの6人でも完全に対処出来はずがない。戦闘経験が豊富だな」
それを見ている他の主達は苅里とその周囲を見る。優やソルよりも強い主もいるのに完全に通さないところを見て苅里が分析してそれをテレパシーで伝えているといったところだろう。
優「(苅里よくこの人数を分析して俺達に伝えられるな…)」
苅里「(こう言う事は前にも経験済みだから。11時の方向から魔法来るよ、優。トキ兄様は足元に結界を貼ってね。ソル兄様私を見なくて良いから右からの武器を防いで!よそ見しないでよ!)」
ソル「(あはは〜ごめん)」
苅里が全部を把握して最小限の力で優達が対応するので予想するより遥かに体力と魔力の消耗が少なくすんだ。
主の1人が強引にそれを突破して苅里に襲いかかるが苅里は動かない。
苅里「彼岸花、食べて良いよ」
敵を見ずに言えば獣化した彼岸花が、突破して来た主をボリボリと喰っていた。
食べ終われば苅里にすりすりと擦り寄って苅里は頭を撫でていた。
優「苅里っ、もうキツいんだが…」
苅里「じゃあ解散しよう。うん。彼岸花もっと食べて来て良いよ〜」
ソル「本当それ大量に出せるよね…」
苅里「数なんてほぼ無限にあるからね。彼岸花行ってらっしゃ〜い」
苅里は手を振って彼岸花は主達に襲いかかっていた。今までの状況と真逆になって主達は所々食べられていた。
優「どれだけ相手が自分より上でもあれを相手するのは厳しいだろうな」
ギル「死なないし攻撃しても花になってまた構築するするからね。苅里が敵じゃなくて良かったよ。絶対にやりにくい相手だった」
苅里「私が操られたらヤバイかもね(笑)」
スグル「それは思ってても言わないでくれ…」
スグルはゲッソリしながらもさっき話を持ちかけた主が苅里に仕掛けてくる。
苅里「(早いな…)」
そう思いながら武器をかわして自分は大太刀を出して構える。
苅里「さっきのことを怒ってるんなら謝りませんよ。事実ですから」
他の主「小娘が生意気なことを言う!」
怒りマックスなようで通常の姿の最大の力で苅里に仕掛ける。
30分後。
苅里「まだやりますか?次は50本追加しますよ」
他の主「う…」
攻撃を仕掛けた主は圧倒的な力の差があるにもかかわらず苅里にやられて串刺しになっていた。
トキ「なんで苅里あの主に勝てて…」
優「スグル、どうなっている?」
スグル「どうも何も苅里の戦い方を見れば分かるだろう。戦闘能力ばかりを高めた主達じゃ苅里には勝てない。苅里は今まで戦闘能力を高めて来たがそれ以上に他の方法にも手を出していた。日常であるマッサージやツボも疲れや疲労を取るために使うが苅里はそれを相手の攻撃を鈍らせたり感覚麻痺を引き起こすのも普通に出来る。中には血流を逆流させることも前に聞いた。あとは他にも色々とやってるぞ。だから戦闘能力だけだったら苅里に勝つ事ができる奴はそう多くないと俺は思ってる」
ソル「それで今まで戦って来たからこうやって自分よりも強い相手を倒せるってわけ?」
スグル「そうだ。だから兄貴やソルが戦闘能力だけで苅里に挑んだら俺はそれは引き分けだと思う。あくまで俺の感想だけどな」
優「…お前がそこまで言うならそうなんだろう。」
苅里「降参して下さい。次は50本追加じゃなくて痛覚倍増にしましょうか?選んで下さい」
他の主「…降参だ」
流石に痛覚倍増は嫌らしくそう言えば苅里は武器を全てしまった。
苅里「私は戦わなくて良いならそれに越した事はありません。なので、まだ仕掛ける気なら今度はもっと痛い目を見ますよ」
まだ仕掛けようとしている主を言葉で制して苅里はスグル達のところに戻る。
スグル「相変わらずだな」
苅里「あはは〜しつこいからああやったけどね」
優「執事、後どれくらいで終わる?」
執事「10分ほどです」
執事がそう答えて他の主達はどうするか迷う。
他の主「女性であそこまで出来るなんて凄いね」
そういって今回の主催者が拍手をして苅里に向かう。
苅里「ありがとうございます」
他の主「後10分あるけど俺はもう戦ったりしないよ。その代わり隣の部屋で俺と君、1対1で話をしよう。どうかな?」
苅里「それをしたところで私になんのメリットがあるんですか?あなたばかりが私の情報を持つならフェアではありません。」
他の主「ふふ、そうだね。じゃあ俺の名前と世界を教えるのはどうかな?俺の世界がどの大主の管轄に入るのかも教えよう。だたし、君にだけだ。誰にも教えないならそれでどうかな?」
優「大分大きく出たな…。苅里、行くなよ」
ソル「誰も連れないなんて危な過ぎるよ!」
苅里はじっとその主の目を見る。
苅里「…分かりました。行きます」
ギル「苅里!」
苅里「大丈夫だから。何かするつもりはないのは分かってるから」
苅里は行くと言って主催者は笑って隣の部屋に行く。
優「大丈夫なのか?」
スグル「苅里が大丈夫と言うなら大丈夫だ、兄貴」
優「だが何かあったら…」
スグル「そんなのは判断しきれなかった苅里が悪い。」
スグルがスッパリと言ってソルが言う。
ソル「スグル、苅里が痛い目に合うかもしれないんだよ?」
スグル「それは嫌だな」
トキ「だったら今からでも…!」
スグル「死にはしないから大丈夫だ。それにこうやって話してる間に時間は経過してる。時間内には帰って来る」
そういってスグルは何もせずに待った。
主催者「君は度胸があるのかい?それとも愚か者?」
苅里「ご想像にお任せします。話があるなら手短にお願いします。時間内に終わらせたいので」
主催者「ふふ、そうだね。君、隠された世界の中で強さにランクがあるのは知ってる?みんな面で話そうとしないから君にとっては良い機会だと思うけど」
苅里「そうですね。兄も夫も話さないので私にとってはかなり知りたいところです。お願いします」
主催者「ふふ、良いよ。ランクに関しては10あるよ。下の下、下の中、下の上、中の下、中の中、中の上、上の下、上の中、上の上、そして特。君が今日戦った主は中の中、限りなく中の上に近い主だった。さらに細かくなってるけどそれは気にしなくて良いよ。君の兄や夫の一族は下の上。夫から聞いているだろう?自分より強いのはごまんといるって。それが今のランクで示される。」
苅里は頷いてそれを聞く。
主催者「君の夫が何段も上の相手だといったのはもっと細かいランクを指していたと思って良いよ。君個人としての戦闘能力だけだったら今は下の中だ。でも戦闘能力以外も含めたら…中の上くらいかな。俺から見た感じは」
苅里「過大評価です」
主催者「そんな事はないよ。正当に評価している。生憎個人でのランクは存在しないから君がどんなに強くても一族の力で見ても下の上に変わりはないよ。一族をもっと上に行かせたいなら全員がそれにふさわしい力を持たなきゃいけない。」
苅里「一番上の特というのは?」
主催者「例外。」
苅里「例外?」
主催者「そう、例外。例外といっても枠に収まらない強さを持っているのかそれ以外を指しているのかは不明だよ。それを知っているのは同じ特の人だけだから。それを知る術はないけど謁見出来る機会はランクを上げれば出来るよ。もちろん今言った一族全員で登って来ないと行けない。君達が上の下まで登って来る。後はもう一つ。それに謁見できるランクを持っている一族に同行させてもらう事。」
苅里「分かりました。」
主催者「話はこれで全部だよ。収穫はあったかい?」
苅里「かなり有りました。最後に質問をいいですか?」
主催者「何だい?」
苅里「あなたはどのランクの人ですか?教えたくないなら別に答えなくて良いです」
主催者はニッコリと笑って答える。
主催者「良いよ、教えてあげる。上の中だよ。俺はこれより上に興味がないから上の下や中をぶらぶらしてるんだ。これで良いかな?」
苅里「はい、ありがとうございます。」
主催者「君と話せて良かった。それでは俺の名前と世界の名前と管轄者を教えよう。俺はXXX、世界の名前はXXX、大主の管轄者はニキだよ。これ秘密ね?」
苅里「大分情報を開示しましたが良いのですか?」
主催者「良いよ。君は頭の悪い子じゃないからね。また会える機会を楽しみにしているよ」
苅里「ありがとうございます。」
そう言って先に主催者が出て苅里が出た。丁度執事が終了を宣言したのでその場で解散となった。
優「大丈夫だったか?」
苅里「何もないよ。本当に話しただけ」
まだ優やソル達は信じてないようだったがスグルは普通に接して来たので会場を出てそのまま帰った。
羽美「お父さんお母さんお帰りなさい!」
苅里「ただいま。どうかしたの?」
羽美「2人がずっとくっついて来て気持ち悪い!」
奏・恒「気持ち悪い言わないで(泣)」
苅里「気持ちは分かるけど耐えなさい(笑)」
羽美「無理!キモい!」
スグル「羽美そこまでしてやれ。2人がもう崩れそうだぞ」
優「2人が羽美の婚約者になったのが嬉しかったからだろうが。多めに見てやれ」
羽美は首を横に振って逃げれば奏と恒はまた追いかけて行った。
苅里「最初の私達みたいだね。大分被るもん」
優「俺は逃げられるようなヘマはしてないぞ。当時は」
スグル「俺もだ」
苅里「逃げる前に2人が壁になってたからね。兄弟が組むとこっちが大変だよ…」
ため息をついて服を変える。
スグル「ソル達はそのまま帰ったから今日はもう休むか」
優「お前達はもう休め。俺は少し仕事を片付けてから寝る。手伝うほどじゃないからやらなくて良いぞ」
苅里「そう?じゃあお休み」
スグル「兄貴も早めに寝てくれ」
2人は部屋を出て優は書斎で仕事を片付けて会場のことを思い出す。
優「俺が出て来る前に2人に何があった?なぜそこまで互いに信頼し合える?」
そう呟いて外を見て考えるが何も分からず、そのまま部屋に飛んで就寝した。