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気が付いたら〜881〜

優「苅里、最近誰と会っている?」
苅里「ん?兄様のところに行ってるけど…」
優「それ以外の場所だ。数ヶ月に1回は出かけているだろう」
苅里「そりゃ出かけるよ。前に会場で知り合った人のところになら行ってるよ」
優「相手は男か?」
苅里「うん。」
優は返事を聞くとペンを落とす。
スグル「もしかして1対1で話したあの主か?」
苅里「そうだよ。どうかしたの?」
スグル「兄貴、ショックを受け過ぎだ。」
優は落ち着くと苅里を見てまた質問する。
優「その主について教えろ。」
苅里「やだよ、秘密にする事になってるんだから」
優「そんな得体の知れない男の所に行くな」
苅里「招待されてるんだから行くに決まってるじゃない。教えないよ」
スグル「おい2人とも…」
優「教えろ。」
苅里「やだ」
優「苅里教えないと部屋から出さないぞ」
苅里「部屋から出してもらえないのも嫌だけど教えるのも嫌だと言ってるの!」
優「こっちはどこに行ってるのか心配なんだ。新しい男じゃないだろうな!」
スグル「苅里、そうなったら俺も兄貴につくぞ」
苅里「そんな人いないわよ!確かに奥さんなって欲しいって言われたけど断ったし!」
優・スグル「言われたのか!?」
優「そこにお前通ってるのか!普通それ言われたら招待されても行かないぞ!」
苅里「予定が大丈夫なのに断る理由もないでしょ!それに断ったから恋愛感情なんてあるわけないじゃない!なんでそこまで反応するのよ!」
側近「お、落ち着いて下さい…」
側近もオロオロし出して止めようとするが収まる気配が無い。
苅里「なんで私が行くところを毎回毎回報告しなきゃいけないの!2人がどこに行っても私詮索してる!?」
優「お前俺たちの妻だろうが!むしろなんでそこまで俺たちの行動に関心がない?」
ハク・イト・須玖「お邪魔しまs」
苅里「なんで2人の行く所行動に関心を持たなきゃいけないの!」
ハク「タイミング悪かったかも…」
イト「でも帰りづらい…」
須玖「これなんの話?」
須玖が側近に話を聞けば3人は納得する。
須玖「側近は席を外した方が良いかもね。」
側近「…分かりました」
須玖に言われて側近が出て行くが3人の喧嘩はまだまだ続いていた。
優「当分苅里は外出禁止だ!そんな相手のことも話さないならこっちもそれ相応の対応をする!」
スグル「城の中なら特に動きに制限はかけないから…」
苅里「城内監禁しないで!それに当分で絶対数年単位で出してくれないでしょ!」
優「当たり前だ。仲間もソル達も呼んで良いが苅里がどこかに行くのはだめだ。」
苅里「絶対に嫌!」
苅里はそう言ってズンズンと歩いて部屋を出てドアにヒビが入りそうな強さで閉めて行った。
イト「側近から聞いたよ。気にし過ぎじゃない?」
スグル「でも相手のことを知ってるのにこっちには言わないんだぞ?」
イト「それが約束なら仕方がないよ。それに苅里は自分の身は自分で守れるんだから」
優「それで6人目とか出来ていたらどうするんだ」
ハク「それ最初から見てた俺とイトがよく分かるよ。でも苅里が決めたことなら俺達もあまり言わないようにして今まで過ごして来たから」
イト「苅里は無責任な事はしないから。後はこっちが隠し事とかしなければ本気で怒ったりもしないし。心配し過ぎだよ」
須玖「優はまだ浅いから気にし過ぎてるだけだよ。スグルは俺たちの次に長いのに過保護だよ。昔よりもその傾向が強くなってる」
スグル「…そうなのか?」
ハク達3人「自覚なかったんだ…」
そこにちょっと驚く。
ハク「苅里の交友関係は広いだけなんだ。だから外出は禁止しないであげて?」
優「…お前達は今まで平気だったのか?」
イト「一時不安な時もあったけどそれを乗り越えればなんて事ないよ」
須玖「優はそれに差しかかってるだけだよ。スグルは優に味方し過ぎてる気もするけど。」
スグル「兄貴を敵になんてするはずがないだろう」
須玖「それで苅里にも味方しなかったら3人にヒビ入るよ?俺達はもう良いけど元夫って言われたい?」
スグル「う…」
優「ヒビが入るのは勘弁だな」
ハク「それにこれ以上悪化したらラスボスのハルが出てくるよ?絶縁してもまだ苅里の味方してるくらいだし。ハルを出させない方がいいよ。相手が強かろうがなんだろうがそんなのガン無視するからね。あれだよ、父親の威厳で黙らせるから」
3人は経験済みなのでアドバイスして、感情的にならないように言って帰って行った。どうやら遊びに来たらしいが今回の状況を聞いてアドバイスだけして苅里には会わない事にしたらしい。
スグル「兄貴、ハルだけは俺も出て欲しくない…」
優「そんなにか…。それで苅里どこ行ったんだ?場内にしかいられないようにしたんだが…」
スグル「それが完全にされる前に領域に入ったみたいだぞ。多分籠ってる」
スグルが言うように苅里はギリギリで領域に入って屋敷の中で布団の中に入っていた。
メグ「ちょっとした喧嘩だって。俺達は何もせずに過ごそうか」
欲「それが良いかもね。」
自然達も何も関わらずいつも通り過ごそうとなって苅里はそのまま就寝してしまった。
クゥ〜ン…
苅里「ん…あれ、蓮達来たの?」
クォン!
彼岸花も椿も蓮も血桜も獣化して苅里の周りにくっついていた。
苅里「最近来れなくてごめんね。寂しかった?」
4つは頷いて苅里から離れない。
苅里「このままもう一回寝ようか。」
そう言って目を瞑れば花達もそのまま寝る。
優「飢えた時には大変な場所だな、ここ」
スグル「まあそうかも知れないな。…花達離れてくれ。向こうに連れて行って話したいだけだ」
花達は嫌々と頭を振って苅里にぴったりとくっつく。彼岸花に関しては苅里を包んで行かせないように潜らせようとする。
優「またこっちには近いうちに来る。俺達もあまり日を空けたくないんだ」
そう言うが全く頷いてくれなくて苅里が完全に包まれるとそこから消えて行った。
キト「2人がずっと母さんと過ごしてるから花達が母さんを離したくないんだよ。前はほぼ毎日過ごしてたのに今じゃよくて数ヶ月に1回くらいだから花達はこの機会を逃したくないんだ」
キリト「花達の機嫌が直るまで待つしかないんじゃない?」
スグル「お前俺の分身なのに苅里につくのか?」
キリト「今力づくでやっても無意味って言ってるだけ。こんなに広い場所でどこにいるのか分かるの?花達がそうさせないようにしてるのに」
優「(確かにどこにいるのか分からないな…)」
ハルト「優は引くよね?」
優「これだけ分からなくなったら一度引くしかない。どれくらいで出てくると思う?」
ハルト「1ヶ月後とかじゃない?」
優「待つしかないか…。スグル、出るぞ」
スグル「…分かった」
2人は出るしかないと話して城に帰る。それと同時にまたあの招待状が届く。
優「…スグル、今回の喰い合いは起きないかも知れない」
招待状の中身を見た優がそう言ってスグルが首を傾げる。
スグル「どう言うことだ?」
優「隠れた世界全員招待、主催者が…特の方々だ。」
スグルはそれを聞いて目を見開く。
スグル「あそこの一族はどこにも出ないと聞いているぞ?」
優「そのはずだがその一族が出てくるんだ。喰い合いなんてしてる場合じゃないぞ。開催は2ヶ月後、場所、時間は不明。当日にならないと分からない。帰ってきて早々悪いが準備しなきゃいけないぞ。ソル達のところも忙しくなるはずだ」
スグル「苅里はどうする?幸い今回は2ヶ月後だから良かったが…1ヶ月後にまた行くか?」
優「そうするしかない。本当はこんな事態だから無理にでも連れてきたいがしょうがない。」
そう言って優は招待状をもう一度確認して側近を呼んで服を新しく作るように指示をしていた。
優「(特の方々が出てきたことなんて歴史上片手で数えるほどしかないと言うのに何故今動いた?ただの気まぐれか?たった1人動いただけで他の主達も従わざるを得ないと言うのに…)」
当日特が何人その場に現れるか分からないが準備だけはしっかりしないと、と思う優だった。
その時ランカもその招待状を見てそれで遊ぶ。
ランカ「特が動くのなんてあんまり良い事ないんだよね〜。過去それがあると隠された世界の主同士が潰しあった事もあるし。気まぐれにしても人前に出ないで大人しくしてて欲しいよ」
ランカはそう言って影に招待状を入れて外を見た。