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気が付いたら〜1005〜

ネロ「だからいまは比較的自由にしてるでしょ?もちろん苅里がOKしてくれたら夢から覚めたらすぐにそうしてあげる。外の情報なんてかなり前から遮断してたから何も分からないでしょ?」
心当たりがあるのか苅里は下を向く。
ソル「それはもう人としての扱いじゃない!妹をそんな所に置けるはずがない!」
ネロ「あはは〜怖いお兄さんだね。でもしょうがないじゃん。苅里が欲しいんだから」
カイル「欲しいなら何をしてもいいって言うのか!」
ネロ「そうだよ。弱いものは強いものに従う。弱肉強食とはちょっと違うけどこの世は力関係で成り立ってる。苅里は俺よりも弱いから俺がどうするかは自由だよ。悔しいなら、逃れたいなら俺よりも強くなればいい。まあ未来永劫ありえないけど。俺はどんなことをしても苅里を離さないよ。首だけになっても胸に抱いてキスをして毎日一緒に寝てあげる。」
苅里「そんなの、いや…。自由がないのは嫌!もう誰かにいいように使われるのは嫌!」
そう叫んでソルもカイルも水もネロを睨んでいた。
水「君はそれをして満たされるの?」
ネロ「変なことを聞くね。満たされるに決まってるじゃないか。俺は魂が満たされることが最優先なんだ。それが満たされれば相手をボロボロにして俺だけを考えてくれるならとても喜ばしいことだよ。カラカラの魂に水を与えてくれるのは苅里だけなんだから」
苅里を見てうっとりとすると苅里はカイルの腕を強く握る。
カイル「(イリ、震えてる…)」
余程今の言葉がショックだったんだろう。もう自分の結末を知ったようなものだ。
ネロ「大丈夫だよ苅里。今日のことも全部消しておくから。帰ろうか。」
ネロがクイッと指を動かせばいつの間にかカイルの腕からいなくなってネロの腕の中にいた。
ネロ「君が逃げないようにするのはとても簡単なんだ。でも君のわがままは可愛いからまだ許してあげる。可愛い可愛いお願いもある程度は聞いてあげるよ。ほら、お休み」
苅里の額を触ればフッと眠るような顔になって夢から消えた。
水「君は自然の狂気よりも欲よりも怖いね。君は魂が飢えすぎて外れたんだよ」
ネロ「どうとでもいいなよ。俺は苅里さえいればいいんだよ。水を与えてくれる苅里さえいればね。俺を倒しに来る頃にはきっと苅里も壊れてるね。まあ魂が無事ならいいよ。またね」
そう言ってネロはフッといなくなった。
ソル「カイル、同じ人でもあそこまで違うともう理解出来ないね。俺はあいつに恐怖を感じるよ」
カイル「あれを理解できる人っているのかな…?俺は悲しく感じるよ」
水「どんな自然を持ってるか知らないけどあれはもう外れてるよ。もう長く生きすぎて自然も力もありすぎて止まらないんだ。苅里の前で多分、ギリギリ持ってる状態だよ。苅里はあの人のストッパーであって、苅里がいなくなったらの想像なんて出来ない。だから何がなんでも離さないんだと俺は感じたよ」
3人はそう話して戻っていった。もうすでに今話したことは記憶かも消されてしまっているかもしれないと思いながら…。
ネロ「苅里、今日は部屋で過ごそうよ。いいよね?」
苅里「どうしたのいきなり…」
3人が思った通り目を覚ました苅里はもう覚えてなかった。
ネロ「もう今日は仕事もお茶の時間も膝枕も全部部屋でしたいんだ。窓は開けておくから全部ここでしようよ。ね?」
苅里「うん、いいよ。」
ネロは苅里の首にキスをして使用人とメイドに言って朝食と仕事の分を持って来させた。
2時間で仕事を終わらせてお茶とお菓子を食べる。
苅里「食べづらい…。腕離してくれない?」
ネロ「やだ。このまま過ごしていたい。」
ネロは拒否をして苅里を膝の上から下ろさない。
苅里「どうしたの?こんなこと今までなかったのに…」
ネロ「ん〜?苅里がどっか行かないように、と思って…。苅里どこにも行かないでね。逃げないでね。どんな時でも手を繋いで欲しいんだ」
苅里「(何か嫌な夢でも見たのかな…?)だからこうやって離さずにいるの?」
ネロは頷く。
苅里「不安なら今はこのままでいいよ。ネロが安心出来るならね」
ネロ「ありがとう」
互いに笑って午前はそのまま過ごして午後は部屋から出ないと言うのでベットの上で膝枕になった。
ネロ「スゥ…スゥ…」
苅里に抱きついたまま安心したように寝て苅里は外を見ていつも過ごしている木を見る。
苅里「(良い天気だったんだけど今日はしょうがないね…。なんの夢みたんだろう…)」
聞いて思い出して苦しいなら聞かない方が良いんだろう。
苅里「ネロ、もし私がいなくなったらあなたはどうなるの?私と会う前の状態に戻るの?」
そんなことを聞くが熟睡してるネロに届くはずもなくただ言葉が消えるだけだった。
ネロ「苅里、起きて…。苅里」
声をかけられて目を開ければ自分は横に倒れて寝ていたと気がつく。
ネロ「苅里も眠たかったんだね。ベットの上だったからかな?」
苅里「ああ、あり得るかも…。…何?」
ネロ「血肉もらって良い?首が髪の隙間から見えて欲しくなった」
苅里はどうぞと言って起きてネロが噛みつく。
ズルズル…ズル…
苅里「ネロ、そんなに足りなかったの?」
いつもよりも多く持っていって尚止まらないネロに聞く。
ネロ「はぁ、はぁ…足りてるけど欲しくなったの。苅里の血と香りがしたらもっともっとってなるの。全部、頂戴」
苅里「後で造血剤飲むから良いよ。」
影から5錠ほど出しておいてテーブルの上に置いておいて肉も取られていってネロは喋ることなく食べて行った。
ネロ「頭撫でて。意識ある時までで良いから。落ち着くんだ」
無事な手を持ち上げてその通りにしていけば僅かにネロの表情が柔らかくなって意識ある限り撫でて行った。
トサッ…
意識がなくなれば手が落ちて髪を撫でることがなくなる。
ネロ「ねぇ苅里、いなくならないよね…?ずっといてくれるよね?俺もう寂しいのやだよ」
自分の本音を溢して泣きそうな顔をして無事な手を両手で包んで祈るようにしばらくそのままでいた。
ネロ「逃げないで。俺もう苅里のいない生活なんて考えたくないんだ。どう引き留めれば良いのか分からなくて力で屈服させたり動けないように、逃げないように酷いことをする事しか思い浮かばないんだ。俺、死にたくないよ。」
そう言いながら自分の何かを補充するように更に苅里を食べて行った。
食べるのをやめるとある程度回復して造血剤を飲ませてまた抱きしめて眠った。