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気が付いたら〜1023〜

ネロは苅里を甘く見ていたらしくちょっとくらい記憶に触れても問題ないだろうと思っていたらこんなにも事態が急変するとは思わなかった。
苅里「(夢で司書に見せてもらわなかったらもうだめだったかもしれない…)」
そう、苅里は記憶を取り戻したのは夢で待ち構えてた司書のおかげだった。
今回の行動はハル達が司書にも念の為伝えていたのだ。
司書「苅里様、お久しぶりです。いきなりですがあなたには本当の記憶を見せます。」
苅里「私の…?今のは違うの?」
司書「違います。それは偽物です。本物はそのまま利用されていますがまず絶対に違うのはあなたの出生です。あなたは龍の一族ではありません。それも全てこれを見れば分かるでしょう。いかがいたしますか?」
苅里「…お願い。本当の記憶がそれなら私はそれを選ぶ。」
司書は安心したようにしてそれを見せた。
5分後。
苅里「司書、ありがとう」
司書「…どうぞお気をつけてもしかしたらまた記憶を変えるかもしれません。ですがまた同じことがあってもまた私が思い出させます。あなたのことは私気に入ってるのです。」
苅里「ありがとう。今度遊びに行くね」
司書「ええ、楽しみにしております」
苅里はそれから目を覚まして様子を聞いてきた使用人をすぐに殺したのだ。
苅里「出生まで変えて私が欲しいか!ネロは一番私が許さないことをした!出てきなさい!」
メイド「苅里お願い殺さないで!」
苅里「…私の記憶が変わったことに加担したメイド達を私が許すとでも?使用人達も戦いたくなら梅の花に戻って引っ込めばいい。私は止まらないよ」
そういえばなんにかは梅の花に戻って消えて行く。
ネロ「…そんなに向こうが大事?」
苅里の前にやっと出てきてネロは無表情で出てくる。
そのタイミングで全員が飛んでくる。
苅里「ネロは私だけと一緒に永遠に生きていたかったんだよね?」
ネロ「そうだよ。君だけが欲しかった」
苅里「…私はそうじゃない。私はネロ以外にもみんながいないとダメなの。私の願いを知ってるなら前に言ったよね?自分だけが良くても嬉しくない。そんなものは長く続かないって。それは私が既に経験してるって。この通りネロの望むものは数万年も続かずにこうやって壊れた。あなたはしちゃいけないことを自分でしてそれを自分で壊したんだよ」
ネロ「…だったら今度こそ君の記憶を全部変えて手足を再生できずにして鎖で繋いで部屋から出さないで外も見せないで君を壊すよ。君だけなんだ、俺に必要なのは。君はもしまだ俺とスグルを選べるならどっちを選ぶの?」
苅里に聞くことをスグルはその答えを待つ。
苅里「もし、まだ選ぶ権利があるなら私は間違いなくスグルを選ぶ。私には人としても自然としてもスグルが大事だから。ネロの大嫌いなごちゃ混ぜになったまま私はスグルを選ぶ。どちらもそれは私だから」
スグル「(…選ぶ権利はあるに決まっている。こんな、俺を選んでくれると言うなら…)」
スグルは内心ネロに言われたことを思い出した。もしかしたらあの時のも苅里と別れさせるためだったかもしれないと。でもあれがなければ自分の境がなくなっていたかもしれないと言うことにも気がついた。
ネロ「ごちゃ混ぜなまま答えを出すなんてふざけてる!苅里はもう既に経験しただろう!それをごちゃ混ぜにしたまま人のまま自然を持つと言うことは自分のどこかを失うことだ!自然を持ったから凄いなんて事じゃない!自然を人のまま持つのはリスクがデカすぎるんだよ!?一線を引かないとそれを見失う!」
ネロの衝撃の言葉にスグルも全員苅里を見る。
スグル「…だからお前は一線を引けと言ったのか!?」
ネロ「そうだよ!苅里がそのまま生きていたら何を失うのかなんて分かったものじゃない!苅里は大切な仲間を持ちすぎたんだ!君にはあの時確かに俺の思惑でそうした。だけどそれと同時に気づいて欲しかった…。すべてに線を引かないと俺みたいになるから…!」
苅里「それがネロの両親…一族のことだね?以前もう忘れた、覚えてないと言った、ネロの大切な何か。顔も表情も家族構成も声もすべてもう思い出せないから」
ソル「そんな…」
自分の一族のことをもう何も思い出せないのは完全に1人ということだった。