見出し画像

気が付いたら〜904〜

苅里「スグルって他に自然いた方がいいと思う?」
スグル「今のところはないが…。当分寝るのか?」
苅里「200年くらい寝るからもしいるなら先にやろうかと思ってたから。レグ達はないって言ってたし。今回最下層で寝てるね。混沌にはもう言ってあるから」
スグル「分かった。俺はこの前休んだしな。よく休んでくれ。」
苅里「ん。ありがとう。じゃあ行って来る」
そう言って苅里は最下層に行って眠りに着く。
ミワン「あれ、苅里寝ちゃった?」
スグル「たった今な。200年だそうだ」
ミワン「うわ〜起きてるの俺だけじゃん。秋季達もこの前寝ちゃったし。当分こっちで過ごしていい?」
スグル「別にいいぞ。大主達がこんなに被る時ってあるのか?」
ミワン「それなりにあるよ。最近はそれがあんまりなかっただけ。イルキも今寝てるしな〜。結構暇」
スグル「そんなに被って他の世界は大丈夫なのか?」
ミワン「ほとんどトラブルなんて起きないから大丈夫。それに緊急のことがあればその大主の眷属が起こしに行くから。苅里のところなら混沌が起こしに行くの?」
スグル「もしくは俺だな。レグ達自然達が起こすのは時間の狭間で寝てる時だけだ」
ミワン「場所によって起こす人が違うんだね。領域で休んでる時は分身?」
スグル「みたいだぞ。たまに俺に回って来る時もあるがほとんどはキト達だ」
ミワン「なるほどねぇ…。ニキとイルキは2000年、秋季は4000年、由羅と妻木は1000年だって。こうやってみると苅里の寝る時間って短すぎるよね。」
スグル「今のを聞くと確かにそうかもな。まあ休んでくれればいい」
そう言って2人はお茶を飲みながら話した。
苅里「スゥ…スゥ…」
苅里は最下層の滝の奥の部屋で翼を出して自身を覆ったまま眠っていた。
混沌「主なら寝てるから反応しないぞ、ソル。お前が見たいと言ったから連れてきたんだ」
ソル「翼で見えないね。いつもこうなの?」
混沌「今回の姿もあれば滝に半分浸かった状態もある。場所によりけりだ。くれぐれも起こさないでくれ」
ソル「そんな事はしないよ。妹が少し気になっただけなんだから。ずっと番をしてるの?」
混沌「ずっとじゃないが混沌の中なら何かあればすぐに気付く。ずっとくっついて主が眠りを妨げるような事はしない」
ソル「そっか。苅里、ゆっくり休んでね」
そう言ってソルは混沌と最下層を出た。
苅里「あなたには大分お世話になったね。だいぶ時間が空いたけどありがとう。あの時あなたに話しかけられなかったらお父さんのことももう思い出せなかった」
それ「俺は自分のしたいようにしただけだ。また夢の世界に来て…。今は眠ってるのか?」
苅里「そうだよ。200年くらい寝てる。だからここにずっといても問題はないんだ。」
それ「いても退屈だぞ。まあ、姿も肉体も全て取り戻せて良かったな。そんな奴は俺が見て来た中でお前が初めてだ。」
苅里「へぇ、結構長い間ここにいるんだね。」
そう言ってそれと苅里は喋り続ける。
それ「別にここにいるのは嫌じゃないんだ。こんな姿だがみんな俺の事をリーダーみたいに思っててくれて悪い気なんてしない。こんな姿で表に行けるはずもないしな。」
苅里はそれを撫でてそれも苅里にする事にされるままになっている。
苅里「会話も出来ないのがほとんどだったのによくみんなあなたにはついて行ってたもんね。私はまだ日が浅いうちにあなたに出会えてしゃべる事を忘れずに済んだんだっけ?」
それ「喋らなくなると言葉を発する事さえ忘れてしまうからな。俺は一時期それに陥りかけたことがあったからそうしてただけだ。それでも忘れて行ったのがほとんどだ。お前や俺のように話す事をまだ続けられたのはほんの一握りだ。」
苅里「あれから数は増えたの?」
それ「若干な。見ていくか?お前は元だからもう襲われる事はないだろう。」
苅里「そうかもね。行こうか」
苅里はそれを抱き上げてその場所へ向かった。
それらは苅里と腕の中にいるそれをみると集まって来る。
苅里「確かに増えたね。他の喋れた子は?」
それ「奥のほうにいる。連れて来るか?」
苅里「お願い。久しぶりに話したいもん」
そう言ってそれは苅里から降りて呼びに行った。
ズルズル…ズル。
苅里「そっちは数は変わらないんだね」
それら「喋れる奴がそもそも少ないからな。元気そうだな」
苅里の上に上ってきてちょこんとそれらはいる。
それ「俺達を今の姿見てどうだ?気持ち悪いだろう?」
苅里「全然?むしろちっちゃくて可愛いじゃん(笑)目がとても小さくて姿が違うだけだし。私に普通の感想や感性を求めてるなら諦めた方がいいよ。知っての通りズレまくってるから(笑)」
ああ、そうだったな…とそれらに納得される。
それ「そうだな。普通じゃないからお前はこうやって来てくれてるんだったな。普通じゃない事は怖いか?」
苅里「怖くないよ。むしろ私にとって普通が怖いよ。普通じゃないほうが自分らしいし怖くない。変かな?」
それ「いや、お前はそれでいい。変じゃないぞ」
苅里「あはは、ありがとう。…なんかさっきよりもみんな集まって来てない?」
気が付けば喋れないそれらが苅里にもっと寄って来てるのだ。
苅里「別に怖くもなんともないけど…私無意識に何かしちゃった?」
それ「いや、お前のように姿を取り戻したのが珍しいんだろう。」
それが言ったように苅里をじーっと見て苅里はゴロンと横になって話していた。
苅里「危害を加えるつもりがないのは分かってるから怖くないね。レグ、この子達ってどうなるの?」
そう話しかければレグが出て来てそれらは後ろに下がる。
レグ「苅里のように姿を取り戻せないなら永遠にこのままだ。今眠ってる最中なんだろう?ここにいるのか?」
苅里「うん。私も一時期ここにいたからお喋りして過ごそうかと!」
レグはため息を溢してそれらを見る。
レグ「永遠にここにいる。今までならそうだった。でも苅里、お前が俺達のように人の姿を与えて少しでも豊かに過ごさせる事は出来るんじゃないか?この中にいるんだからそれらの住まいを設けることも俺もメグなら出来る。まあ新しいのが来たら今まで通り対処はしてもらうが」
それ「姿を持てるのか…?」
苅里「その手があったね。どうする?レグ達が住まいの場所をまず作ってから考えてみる?」
それ「どうする?今更この姿が嫌なわけじゃないが…」
それ「でもこれになる前の姿になれるならちゃんと足を使って歩くことも走る事も出来るぞ?」
それ「住まいはどれくらいで出来るんだ?」
レグ「すぐにでも。ただお前達がどれくらいいるか把握してないからそれを知らないといけない。住まいが狭いなんて事は嫌だろうしな。メグ、来い」
メグ「はいはい。…うわぁ、結構いたんだね。今まで全然気にしてなかったけど」
それ「俺たちならXXXくらいだ。本当にいいのか?」
メグ「別にいいよ。ここなんて場所が無限にあるし。」
メグが奥の方を見つめてレグも同じ方向を見て唱えるとぼんやりと何かが出来る。
メグ「ちょっと遠くしちゃったけど行けるよね?」
それらは頷いてその場所に行って中に入って行く。
それ「…本当に、同じ場所なのか…?」
夢の中だと言うのにそこは自然溢れた場所で家も人数より多めに作られて公園などもあった。
苅里「とても良いところだね。じゃあ次は私だね。姿を想像出来る子がいたらイメージしてね。出来なかった子は子供の姿ね。」
そう言って苅里は唱えて行ってそれらは姿を変えて行く。
それ「…確かに、以前の姿だ」
それ「なんでこんな事ができる…?」
苅里「元々はレグ達が姿を欲しいって言ってたからそれが出来る様に試行錯誤してたの。懐かしいね」
メグ「今はこの姿が当たり前だけどね。」
レグ「ここの中であれば俺達が関与する事も何か指示する事もない。今まで通り自由にしてくれていい」
苅里「良かったね。私も少しここにいていい?」
レグ「いてもいいがもう時間がだいぶ進んでるの忘れるなよ」
苅里「了解!みんなあれだけ数いるのに女性ってあまりいなかったんだね」
それ「こうやってみるとそうかもな。お前達には感謝だな」
それ「こんな姿は2度と取れないと諦めていた。」
苅里「まあこう言うのがたまたま機会があったって事で。自分の家決めてくれば?内装とか外装もちょっと違うみたいだし。」
それらは家を見に行って気に入ればそこに住み始める。
苅里「レグ達最下層の仕様に近づけたんだね。だとしたら…」
苅里はあるものを思い浮かべるとそれが出て来る。
苅里「やっぱりね。服も食べ物も飲み物、植物も出来るようになってる」
それ「なにぶつぶつ言ってるんだ?」
苅里はそれらにここについてこうだと思うと行って説明してやってみるように言う。
ポンッ!
それ「酒が出て来た。」
それ「野菜の種が出て来たな。あとは水も。昔の様に畑をするか」
それ「だったら鍬もいるなぁ。いやぁ想像すれば必要なものが出て来るのは凄い」
苅里「みんなで試して行って暮らしていけばいいよ。私は行くね」
それ「もうなのか?」
苅里「時間の流れが違うからね」
それ「そうか。お前達が用意してくれた場所で伸び伸びと過ごすとしよう。さっきの2人にもお礼を言っておいてくれ。ありがとう」
苅里「分かった。みんな元気でね」
それらは苅里に手を振って、苅里はそこから出て行くとそこは閉まった。
苅里「…で?まだまだ時間あるのに何かあるのかな?レグ達」
レグ「分かってて話を合わせたのか。」
苅里「理由がなきゃこんなことしないでしょ?でもありがとう。あの子達もお礼を言ってたよ」
メグ「あれくらいいいよ。姿がないのはなんかこう、ぼんやりするからね」
苅里「まあ私もああなってたからそれは分かる。自分じゃない感じがずっとあったからね。」
3人で奥底に向かいながら話して行く。
メグ「別に大したものじゃないよ。もし次に起きたら水達がまた清掃をして欲しいって言ってたからお願いって話。俺もやってるんだけど量が多過ぎるよ。だから苅里にも要請が行った感じ」
苅里「まあそれなら出来るからいいよ。環境汚染になるからあんまりしないで欲しいんだけどね。ゴミを捨てるにしても場所も空気も汚れるのにね。考えて欲しいよ」
レグ「風も空気が悪いって言ってたな、確かに。あとは土がまた墓地に異変が出てるから頼みたいといおってたぞ。大変だな」
苅里「また幽霊が留まってんの!?成仏してよ…」
いくら妖怪が死んでからラウガになりたくないからってお墓に残らないで欲しいものだ。
苅里「残りは起きてからにするよ。次起きるまでちょっと深く寝てる」
レグ「ああ、済まないな」
苅里「いいよ。」
そう言って苅里は消えた。
200年後。
混沌「主、200年だ。起きてくれ」
苅里はそれを聞くと目を開けて翼を消して起き上がる。
混沌「このまま混在界に行くか?」
苅里「その前に混沌を抱き締めたい…」
そう言って混沌を抱きしめてまたゴロンとなる。
混沌「別にまた寝てもいいぞ。時間なんて無限にあるからな」
苅里「でもずっとだらけるのは嫌だしなぁ…。混沌領域に行った?匂いする」
クンクンと匂いを嗅げばそうだと言う。
混沌「向こうに顔を出しに行った途端血の海に引っ張られて遊ばれたんだ。それの匂いがうつったんだろう。」
苅里「海が引っ張るなんて余程混沌達を気に入ったんだね。また時間があったら行ってあげて?」
混沌「気が向いたら行くとしよう」
混沌が離れると苅里もまた起き上がって混在界に行った。
水「苅里レグ達から聞いた?」
苅里「聞いてるよ。今から手伝うよ」
風「匂いは何とかなったけど凄い量だよ〜」
苅里に泣きついてまずは水の中と浜辺を綺麗にする。
3日後には何とか終わって次に墓地に行く。
苅里「溜りまくってんね。一気に逝かせますか」
そう言って大鎌で一瞬で逝かせてふっと墓地の幽霊が消えて行く。
この作業はさらに時間がかかって2週間後には終わって土も喜んだ。
スグル「起きてすぐにこれなのも大変だな」
苅里「定期的にやらなきゃいけないのは分かってたからね。でも今回は本当に多かった〜」
優「側から見ても何をしていたのか全く見えないけどな。ただ大鎌を振り回してる危ない奴にしか見えないぞ。」
苅里「幽霊達を向こうに逝かせてるの!ずっと墓地に残ってて土も困ってたんだから!」
怒りながらそう説明して九尾姿のビワハを抱き締める。
苅里「モフモフ気持ち良い…」
ビワハ「抱き枕にして寝ようとするな」
苅里「ZZZ…」
そう言ったが苅里はもう寝てしまったのでスグルと優に舌打ちをされたビワハだった。
ビワハ「俺何も悪くないだろ!?」
優「スグル、ビワハの毛を剃るか。羊みたいに」
スグル「兄貴それいいな。尻尾も全部剃ってネットオークションで販売するか。いい値段が付くだろう」
ビワハはそれを聞くとビクッとなって苅里を2人に渡して逃げて行った。
優「逃げたか。今回は見逃してやるか。」
スグル「ベットに寝かせて仕事をするか。貴族のパーティー欠席にしてもいいよな?」
優「別にいいぞ。全く、何かと理由をつけて招待されてもこっちはそんなに暇じゃないと言うのに。」
ぶつくさ言って苅里をベットに寝かせれば2人は仕事をした。