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気が付いたら〜972〜

スリスリ。
苅里「尻撫でるなって言ってるでしょうが!」
ネロ「だって柔らかいもん!」
ネロの友人「お前、そんなことしてるのか…」
ネロの友人の世界の主はそれを見ればため息を吐く。
その友人は先日の世界の主のパーティーの主催者だった。その主がネロを誘ってもし可能ならその時の女性も一緒に呼んで過ごそうと言ったのでネロは連れて来たのだ。
ネロ「こいつは信用出来るから顔を見せて良いんだ。俺こいつの弱み握ってるし。奥さんに逆らえないから」
ネロの友人「弱み握られてなくてもお前とは1人の友人としていたいんだよ。それに妻は俺を扱うのが上手いだけだ」
苅里「手のひらでコロコロ状態だね」
ネロの友人「フッ、それがまた気分が良い。俺を熟知していると言うことだ。」
ネロ「俺も苅里にいつかして欲しいな〜」
苅里「いやそんなのしないから。コロコロはするつもりないからそんな期待の目で見ないで。…尻から離れて!」
ネロの友人「俺もたまには妻を怒らせるか。きっと可愛いな」
ネロ「出たよ溺愛夫。」
ネロの友人「お前だって苅里と付き合ったらそうしたいんだろう?」
ネロ「もちろん。怒らせるの楽しいし可愛いからね」
苅里「2人とも似てる頭してるね。こんなの上のランクの人に言っちゃ悪いけど。」
ネロの友人「俺はそこに厳しくない。まあネロはそこに関しては関係をはっきりさせる方だが」
ネロ「当たり前だよ。下が上に発言するなら礼儀を守れって思うもん。こっちはそこまで暇じゃないんだから」
苅里「城にいるとき仕事以外暇じゃん。パーティーに行っても部屋にいるし」
そういえばネロは黙って友人が言う。
ネロの友人「こいつは元から誰かと過ごすことがないから俺たちの中では有名なんだ。俺達と言っても同じ上の上のさらに上だけだがな。俺や他数人、あとは苅里くらいしか過ごしてないんじゃないか?」
ネロ「だって他と一緒にいたら媚び売ってくるだけじゃん。一緒になんていたくないよ」
ネロはそんなのいない方がいいと言ってブスッとする。
苅里「それにしてもドラゴンの世界の主だったなんて知らなかった。前に来た時ネロ何も言わなかったから」
ネロの友人「こいつはちょくちょく来るから挨拶なんてしないしな。それに教えなくていいと判断したんだろう。もし最初から知っていたらすぐに苅里の話なんて広まってたかもな。俺は妻以外の女で話すのはメイドに指示を出す時くらいだから。それ以外なんて女に声をかけたら妻が斬首にするからな。独占欲が凄いぞ」
ネロ「まあそれもあって苅里には教えなかったの。ちなみに今こうやって話してるのは奥さんに言ってあるんだよね?」
ネロの友人「もちろんだ。キレそうになっていたがネロが一緒だと言ったらすんなりOKしたぞ。まあ妻が仕掛けて来ても苅里の実力なら大丈夫だが。苅里一時期噂になってたからな。恐らくどの世界の女性よりも強いってな」
ネロ「それは当たりじゃない?実際女性なら敵なしだし。男性はまだまだ上がいるからね」
苅里「いや絶対私より強い女性いるって。騎士団とか」
ネロ・ネロの友人「いや絶対にいない。断言できる」
戦闘能力以外を含めたら薬や毒を扱えるならほぼ女性には苅里の相手なんて出来ない。友人は自然の方は知るはずもないのでネロもそこは黙っている。
まあ戦闘能力だけでもう手も足も出ないが。
ネロの友人「それでネロ。もうそろそろその手を離してやればどうだ?尻は城に帰ってからやれ。俺も妻にしたくなりそうだ。苅里、脇をくすぐればそいつ離れるぞ」
苅里「よし、やろう」
ネロが防ぐよりも早くやればその通りネロは離れて椅子から転けた。
ネロ「ヒー、ヒー…脇はやめてよ!」
ネロの友人「お前が尻を触るのをやめたら俺も何も言わなかったぞ。苅里もやめてほしそうだったしな」
苅里「やめてって言っても聞かないから大きい子供持った気分。ネロちょっと地面に座ってて」
ネロ「分かった。尻を見てる」
ゲシッ!
苅里「地面を見てろ!」
ネロの友人「…お前は馬鹿か。」
ネロを蹴って気絶させれば顔を地面に当たっていた。
ネロの友人「それにしてもネロも明るくなったな。苅里といたら」
苅里「そうなの?まだ60年くらいしか一緒にいないけど…」
ネロの友人「年数はどうでもいい。こいつ俺達に言えないことはあるのは知ってる。俺も無理に聞くつもりはないからな。誰かがいると分かったのはすぐに分かった。こいつ、前まではその場に合わせてなんの感情も乗せてない表情で笑ってたからな。」
苅里は気絶しているネロを見る。苅里の知っている限りでは毎日楽しそうに笑っていたので知らなかった。
ネロの友人「こいつ今ではよく笑ってる。感情に色がついたと言えばいいのか…。とにかく前よりも生き生きしている。それに穏やかだ。前ならもっと誰でも殺してたからな。ずっと満たされないって呟いてた。誰の血を飲んでも喰っても会っても同じだってな。」
だから1日に試しに30人食べた時もあったと言う。
苅里「飢餓でもないのに?」
ネロの友人「ああ、それじゃなくてもだ。こいつを1人にしないでやってくれ。出来るなら今のネロでいて欲しいからな。俺はこいつがガキの時から知ってるがここまで楽しそうに過ごす顔を見たことがなかったんだ。俺とさして歳も変わらないからよく遊んでいたんだ。」
それでもここまで穏やかでいたことはないと言う。
苅里「ネロにも言ってるけどそれは約束出来ない。私仲間が沢山いるから。でも死ぬつもりも転生するつもりもないからずっと生きる事は出来る。そう伝えてあるよ」
ネロの友人「今はそれでいい。1人にしなければな」
友人は笑ってコーヒーを飲んだ。
苅里がお手洗いを借りると言うので席を外せばネロが起きる。
ネロ「前の俺のこと話さないでよ」
ネロの友人「フン、それならすぐに止めれば良かっただろうが。蹴られて1分もしないうちに意識を取り戻した奴がよく言う」
苅里に気づかれないようにすぐに意識を取り戻してそれを全て聞いていたのだ。
ネロの友人「そっちに寄せてやったんだ。無駄にするなよ」
ネロ「分かってるよ。まあ全部本当のことだしね。ありがとう」
ネロの友人「なんのことだ?」
ネロ「…いや、なんでもないよ」
2人はそっと笑って苅里が戻ってくるのを待っていた。
苅里「ネロ、その笑みなに。キモい」
ネロ「笑っただけなのに酷くない!?」
苅里「にっこりし過ぎて怖い…」
後ろに一歩下がるような動作をすれば撃沈した。
ネロの友人「こいつはバカだからな。本気で怒らない程度に遊んでやれ」
苅里「うん、程々にしておく。…もう夕方だけど帰る?もう少しいる?」
ネロ「いや、帰ろうか。招待してくれてありがとう。また機会があれば苅里と来るよ」
ネロの友人「ああ、また呼ぶとしよう。次回のパーティーの主催者はXXXだ。あいつのする事はぶっ飛んでるから気を付けろよ」
ネロ「うわ、行きたくない。でもサボったら後がうるさいから行かなきゃ…」
ネロの友人「俺も多分呼ばれるから多少はマシになるだろう。苅里、次のパーティーはネロから絶対に離れるなよ。あいつ術の無効化とかいきなりしてくるからな」
苅里「それ大分困るんだけど…」
ネロ「俺といればそんなのないから大丈夫だよ。じゃあ次回ね」
苅里「とても楽しい時間だった。ありがとう」
ネロの友人「ああ。次回を楽しみにしている」
そう言ってネロと苅里は飛んで帰っていた。