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気が付いたら〜981〜

数日後、ネロが付き添って顔など諸々隠した状態で混在界を確認していく。
苅里「うーんラウガがちょっと多いけど組織が倒せるからいいっか。天候も人口も問題ないし…」
ネロ「俺数人食事用に持って帰ろ。使用人とメイドも喜ぶし。」
そう言ってフイッと指を回せば狙いを定めた人間と妖怪が眠って影に入れられた。
苅里「早いね」
ネロ「そう?いつもは使用人やメイド達に任せてるから俺から取りに行くこと少ないけどね。もう確認はすんだ?」
苅里「うん、ありがとう。どこか寄る?」
ネロ「そうしたら書店に行こうよ。後カフェにも寄ってゆっくりしたら帰ろうね」
苅里「分かった。そうしたらカフェが併設されてる書店に行く?買った本そのまま読む事もできるし」
ネロ「それはいいね。案内宜しく」
苅里はネロとその書店に飛んで気になった本を買ってカフェで昼食にしてからケーキセットを頼んで本を読んだ。
ネロ「俺お手洗い行くからここに待ってる?会計なら先に終わらせたし。それとも書店の入り口近くにいる?」
苅里「入り口近くにいるよ」
会計が終わったのなら出て行った方がいいだろうと思い出て、入り口近くの新しい本の内容を掲載している紙を見る。
それを見ていれば肩を触られてそっちを見て固まる。
アキ「イリ、こっちに来い」
苅里「なんで、分かって…」
ネロが術をかけているはずなのにそれが分かってしまう事に驚く。顔、気配、気は分からないようになっているので他のが原因だろう。
手を取られて出されて前を見ればソル達もいた。
苅里「っつ…」
ソル「やっぱり苅里だ。1人、なはずないよね。誰か一緒だよね?お手洗いかな?」
ギル「ここで騒げば注目されるから離れようね。」
苅里「なんで、分かったの?」
ソル「それは教えられないよ。分かったら対策を立てられちゃうでしょ?混在界からは出ないから。」
そう言われて飛ばされる寸前にとても小さい式を落として行った。
ネロ「…いない。」
入り口に行けば苅里の姿がなくてキョロキョロとすれば小さい猫が寄って来て鳴く。
ネロ「君、苅里の式だね。どこに行ったの?」
ニャア〜!
その一声だけ泣いて消えて紙に戻った式を懐に入れてネロは分身を出した。
ネロ「混在界からは出てないらしいから探して。俺は別の方法で探すから」
そう言ってネロは上空に浮いて別の方法で苅里を探し出した。
苅里「眷属や混沌を使ったでしょ?出ないと8人が私を終えるはずがない」
アル「言ったよね?教えないって。どうして戻ってこないの?出かけてるってことは監禁されてないよね?」
苅里「そっちが教えないなら教えない。付き添いの人の事なら何も喋らないよ」
ウル「そんなことだろうと思ったよ。素直に話すとは思えないからね。だから、戦おうか。負けたら話す。勝ったら…そうだね。今回どうやって見つけたのか教えよう。」
苅里「戦うなんて嫌だよ」
前なら構わなかった。だけど今怪我なんてしたらアキ達4人には何もないだろうがソル達が暴走する可能性がデカい。
血の匂いが強くて危ないとネロが言ってたくらいなのだ。
トキ「なんで?苅里強いんだから勝つことなんて造作もないでしょ?それにいい事があったんだ。アキ達もラウガになったんだよ。もちろんここのラウガじゃなくてこっちのラウガ界のね。元々素質はあったみたいだから今はまず貴族になってるけどね」
苅里「!?兄さん達なったの?」
カイル「だって俺達簡単にもう死ぬつもりないし。だったら死にづらい体になればいいと思って。ソル達も歓迎してくれたんだ。外見全く同じだったから分からなかったでしょ?」
苅里「(だったらますます危険すぎる。8人が暴走なんてしたら私でも…)」
そう思ってもう一度拒否をする。
苅里「戦わない。絶対に嫌」
ソル「戦わずに降参するの?苅里らしくないよ。争いが嫌いなのは知ってるけど必要な戦いならいつでもやってたじゃん。だからそれは聞けないよ」
苅里の意見は聞き入れてもらえず武器を出して苅里は結界を体に纏わせた。ネロならすでに気づいているのは式の気配で分かったので時間を稼げばいい話だ。
イェン「なんだその戦い方は。守りだけで攻めてこないなんて」
苅里「戦いたくないって言ってるの!」
苅里はそう言って結界を纏わせたまま結界を貼って錬金術で壁を作ったりしていた。
背後から何度も攻撃されて結界で防ぐが自分がいない間に戦闘能力が上がったらしく僅かにヒビの入る音がする。
苅里「守結、私をまも…」
ドン!
ソル「守結は最後まで言わないと展開できない。言わせないよ」
銃で遮って苅里の守結を妨害するソル。
苅里「戦いたくないって言ってるのに…!(氷雷波、攻撃を弾け)」
声には出さずに防いで8人の誰かが舌打ちしたのが聞こえた。
ウル「声に出さなくても使えるんだ。厄介だね」
優「ソル、よく呼んでくれた。氷雷波、苅里の結界を壊せ」
苅里「優まで…。(持つかどうか…)」
自身の纏っている結界をさらに三重にして結界も三重にするが音を立てて崩れる。
纏いの方はなんとか持っているがそれでも強度が落ちているのでギリギリと言う所だった。
ネロ「(苅里、お待たせ。結界を解いていいよ)」
苅里「!」
そう言われて結界を解けばアキ達が突っ込んできたのでネロがそれを利用して結界で弾き飛ばす。
アキ「い゛っ…!」
壁にめり込んで声を漏らせばその相手を睨む。顔も気配も全て隠されて全く分からない。
ネロ「遅くなってごめんね。知らせてくれてありがとうね。戦いたくなかったんでしょ?」
苅里「うん、暴走させたくなくて…。」
血の事だと分かっていたネロは苅里の戦い方を見てそのつもりがないのは一瞬で分かった。
優「お前か!苅里をおいてどこかへ行け!印もはずせ!」
ネロ「印を外したら苅里が大変だから外さないよ。本人もそれを分かってる。」
優が怒りながら言うがネロは冷静に返す。
ネロ「ここで戦えば互いに困るんだよ。そんなに戦いたいんなら俺がしようか?3分以内に全員沈めるから。俺は君たちと戦うことなんて準備運動なんだから」
苅里「出来ればして欲しくないんだけど…」
ネロ「こっちからは仕掛けないよ。向こうがして来たらそうするだけ。それならいいでしょ?」
苅里「…分かった。」
ネロ「そう言うこと。そっちが仕掛けて来たらこっちも動くよ。何もしないならこのまま俺達は帰らせてもらう」
アキ「準備運動だと?ふざけたことを言うな!」
イェン「アキ突っ込むな!」
そう言ったがアキが怒って攻撃をするが一瞬でネロの姿を見失う。
ネロ「1人目。」
そう言ってアキをすれ違う時に背中をトンッと触れば。
ドカッ!メリ…
苅里の隣を通って壁にめり込んで内臓が半分吹っ飛んでいた。
ネロ「ああ、ごめんね。久しぶりだから加減を間違えたよ。指1本で済むのに3本も触れちゃった。内臓も飛んでごめんね?後で兄弟に回復してもらってね」
イェン「アキ…」
アル「今、何が…」
ソル「ただ触れたようにしか…」
ネロ「うん。触れただけ。誰かの肩を触れるくらい軽く触れただけ。体を動かすほどでもないよ。日常的な動作で君たちの相手は務まるから」
準備運動は大袈裟だったね、と零す。
ネロ「誰も仕掛けて来ないなら帰っていいよね?苅里、帰ってお茶にしようよ。カフェで過ごしてたのに…。やり直しだね」
苅里「そうだね。帰ろうか」
優「苅里!お前の帰ってくるところはどこなのか分かってるのか!」
優が叫ぶように言って苅里はそれには答えない。
ネロ「苅里聞かなくていいよ。」
ネロが苅里の手を取って飛んで帰ればイェン達はアキを見て回復する。
アキ「う…」
アル「アキ兄さん今回復終わったよ」
アキ「…起き上がれない。」
カイル「は?怪我は全部回復したよ!?」
アキ「全身痛いんだよ…。どうなってる…」
ソル「多分、怪我が回復しても痛み自体が残るほどの衝撃を受けたんだよ。こればっかりは痛みだけ治せるなんてとんでもが出来る奴にしか出来ないよ。出来たとしても多分苅里…。待つしかないよ」
優「そんなことあり得るのか?」
ソル「あまり信じられないけどね。でもそれが一番現実的だよ。実際アキがこんな状態なんだから」
そう言って痛みが引くのを待つがそれが出来たのは1時間以上後だった。