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気が付いたら〜992〜

苅里「あ!調合する時の容器買い忘れてた…。ストック分買わなきゃ行けないのに…」
うっかり忘れていたと思い、ネロに混在界に行ってくると話す。きっとまた魔界に行くなんて言ったら聞いてくれだろうし、いくつかそれを売っている店は把握しているので行ってくる。
ネロ「そんなの明日でいいじゃん」
苅里「私は早いうちに終わらせたいの。もう買うものは確認はしたから行ってくる」
ネロ「まあ、行ってらっしゃい」
ネロは苅里が飛んでいく直前に式を一緒に飛ばせた。本当に小さく、魔力もほぼ感じない程度なので苅里は気がつかないだろう。
店の人「おや久しぶりだね。道具のストックを買いに来たのかい?」
苅里「うん、あたり(笑)リストを作って来たんだけど、在庫あるかな?足りなかったり他に注文入ってたら別の店も回るから無理のない範囲で」
店の人「どれどれ?…ああ、これならほとんど大丈夫だよ。ただこの道具は生憎今ものが店に届いてないんだ。届くのが明後日なんだけど難しいだろう?」
苅里「うーん、そうだね…。この道具だけは別で探してみるよ。他は全部必要な分買っていい?」
店の人「あいよ。これだけ一気に買ってくれるのは一般で苅里ちゃんくらいだから嬉しいよ。おまけでウチのカミさんが作ったクッキーを付けておくよ。良かったら食べてくれ」
苅里「奥さんのクッキー美味しいから嬉しいよ。おじちゃんありがとう」
店の人「また来てくれな」
そう言って店を出てもう一軒回る。
店員「いらっしゃいませ。」
苅里「すいません、この道具ってありますか?」
店員「…こちらですね。少々お待ち下さい。…お待たせしました。こちらが3点でよろしいですか?」
道具にヒビや傷が入ってないか確認して頷く。
会計をして影に入れて店を出る。
苅里「他に買うものは…うん、ないね。」
リストの方も全部終了したので城に帰る。
ネロは式を通して帰って来たのが分かったのでその式を消していつものように過ごした。
苅里「おじちゃんの奥さんのクッキー美味しい♪」
お茶を飲んでクッキーを摘んで過ごす。一息つけば隣の部屋に行って購入した道具や薬草などを出して揃えていく。
苅里「それじゃあ簡単なものから作っていきますか。…使用人どうかしたの?」
使用人「主が今日の夜外食するから時間になったらメイドに準備させるって。それまでは自由に過ごしてだって。」
苅里「外食なんて珍しいね…。分かった。伝えてくれてありがとう」
使用人は出て行って薬の製作を再開する。混在界で薬の買い取りをしてる店も知っているのでそこで近いうちに売りに行こうと決める。
ネロ「使用人ありがとう。戻っていいよ」
使用人「ねぇ主、混在界に自由に行く許可を出したのに式を付けてたら意味ないんじゃないの?」
ネロ「別に苅里に気がつかれるまでは構わないでしょ。何か邪魔してるわけじゃないし」
使用人「あれだけ感知するの難しい式つけてたら苅里でもほぼ気がつかないよ…」
ネロ「気が付いたら外すから。はい、戻ってね」
話は終わりと言って使用人はそれに従って出て行った。
ネロ「まあ苅里でも気がつかないよ。同じランクだったらまだ気がつくかもね」
ニヤッと笑ってそのまま本を読み進める。
メイド「苅里準備〜!入っていい?」
苅里「今換気するから待ってね」
数分後にはメイドを入れて片付けを手伝ってくれる。
メイド「沢山作ったね。造血剤?」
苅里「これは風邪薬と体の疲労を取る薬。即効性を高めてあるし、液体だから飲みやすいだろうから大人でも子供でも飲める味にしてあるの。」
薬の効果を損なわないような果物の果汁も混ぜたのでそれなりの値段がついてくれるだろう。
メイド「それネロにも作ってあげたら?体の疲労は全くないわけじゃないと思うし。」
苅里「そう言うかと思ってその分も作ってあるから大丈夫だよ。手伝ってくれてありがとうね。隣の部屋で着替えるでしょ?」
メイド「うん、換気が終わったら来てね」
そう言ってメイドが先に出て数分後に窓を閉めて隣の部屋に移った。
メイド「夕食で邪魔にならない髪型にするね。行く店の雰囲気は聞いてるから…、この服にしようか」
控えめな服を出してそれを着て髪型がセットされて行く。
苅里「夕食ならいつも通りでいいのに…」
メイド「たまにはと思ったんじゃない?苅里ここに来てから昼食以外でほとんど外食したことなかったでしょ?それになんか泊まりらしいよ?」
苅里「外泊?初めて聞いたけど…」
メイド「私もさっき聞いたから…。必要なものは影を通して送るし、必要な時は主が式を出すから大丈夫!はい出来た!楽しんで来てね!」
メイドにリビングまで連れて行かれてそのままネロにバトンタッチされる。
ネロ「たまには外食したり泊まったりするのも良いかと思ってね。明日の分の仕事なら終わってるから」
苅里「いきなり決めたの?驚いたよ、外食もだけど外泊なんて…」
ネロ「そういう気分になったんだよ。さ、行こっか」
ネロに飛ばされてそのお店に入って夕食を取る。
苅里「他のお客さんは?見かけないけど…」
ネロ「ああ、貸切にした。向こうはOKしたから」
苅里「…別にVIPルームでも良かったんじゃ…」
ネロ「あそこはあまり広くないから好きじゃない。それに俺個人としてはここの席の夜景が好きだし」
それだけの理由で貸切にしたというのか…。
そのままデザートまで食べて、泊まると言う外観が純和風の宿に入って行って休む。
苅里「気持ち良い〜…月も良く見えるし」
浴槽に浸かってのんびりすればガラッと音がしてネロが当たり前のように入って来る。
苅里「ネロ隣の部屋だったんじゃ…」
ネロ「あれ、別々の部屋に見せかけて苅里と一緒の部屋なんだよね。そう言う構造の建物なんだ。面白いでしょ?」
苅里「え〜またネロと一緒に寝るの?」
ネロ「そんなに嫌そうにしないでよ…。それに毎日一緒に寝てるのに今更1人でぐっすり眠れるの?習慣化してるから多分そんなに寝れないよ。そんなわけで寝る時も一緒ね」
苅里「普通に寝れない気がして来た…」
ネロ「あはは、よく分かってるじゃん」
そう笑って一緒の浴槽に浸かったネロだった。