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気が付いたら〜938〜

50年後、今度は普通の姿での招待となって苅里はその主とあって嫌そうに顔を歪める。
苅里「とても楽しそうな表情ですね」
蛇の主「それに対して君はとても嫌そうだね。名前、苅里って言うんでしょ?」
苅里「良くご存じで。あなたとはあまり話したく無いです」
正反対の対応をして優達はそれを見守る。
ソル達「(本当に嫌なんだね(な)…)」
ランカ「あれ、XXXじゃん。苅里知ってるの?」
蛇の主「ランカの知り合い?」
苅里「前回のパーティーで嫌なことに覚えられたの。ランカの知り合いってことは上のランク?」
ランカ「そうだよ。前回のパーティー内容聞いたよ。毒蛇投げたんだって?なに面白いことしてんの」
苅里「床に離すわけにも行かないからそうしただけ。私この主とあんまり話したくない」
ランカ「あはは、正直だね。でもその態度は逆効果だよ?こいつそう言うつんとした強い女性タイプだから。俺はこいつ嫌いじゃ無いけど好きでも無い。ちょっと話すくらい」
蛇の主「ランカこそ酷いな。ちょっと話すくらいの仲どころか女性の肉を一緒に食べたりもしたじゃ無いか。まずいのにその時当たったけど。まあランカの言うことは正しいよ。俺苅里みたいにつんとしてて強い女性大好き。今度呼んでいい?」
苅里「嫌です。行きたく無いです。足元や植物に潜ませて蛇を放ちそうなので」
ランカ「なんだ、言い当てられたね。こいつ初めての女性にはそうやって遊ぶから」
蛇の主「やっぱり君面白いね。ますます興味が湧いたよ」
苅里はもう無理!って顔を兄達に向けるが関わるべきじゃ無いと思ったのか顔を背けられた。
なんて薄情な兄達と夫2人だろうと苅里は思った。
そのままランカとその主に離してもらえずに後半に入った。
ランカ「苅里、いつもの頂戴?造血剤と花達。部屋に行こうか」
苅里「兄様達ちょっと行ってくる」
ソル「あ、うん。行ってらっしゃい」
蛇の主「俺も行こ♪」
ランカ「来る必要ないでしょ。」
蛇の主「いいじゃん、どうせ暇なんだし」
苅里は来んな!って顔を向けたがスルーされて結局ついて来たのだ。
苅里「はい、まずは造血剤。」
ランカ「助かるよ」
蛇の主「ランカ直に買ってるの?それ効果高いの?」
ランカ「一個あげてもいい?」
苅里「ご自由にどうぞ。もうランカに渡したわけだし」
その主はその造血剤を味見する。
蛇の主「!即効性高いね。これ君が作ってるの?」
ランカ「苅里が作ってるんだよ。俺も今はこれを愛用してて買ってるんだ。本人はあげるって言うけどこれだけ効果があるなら金を支払った方がいいからそうしてるんだ。今回は蓮を多めにして?他はいつもの量でいいや」
苅里にそう言えば蓮が多めに入った籠を渡す。
蛇の主「これ、前回見た彼岸花?食べれるの?」
苅里「ランカに聞けば?話したくないです」
ランカ「これも苅里が育ててるからあったら貰ってるんだ。食べれるけどこれはあげないよ」
その主は残念そうにして苅里に一個頂戴と言ったが断られていた。
苅里「私はあげませんよ。ランカにはそれなりに恩があるからそうしてあげてるだけです」
ランカ「そうだね。後は俺達友人同士だからね」
蛇の主「ちょっと羨ましいんだけど。くれないと毒蛇出すよ?」
苅里「勝手にどうぞ。花に食べさせるので。もしくは踏み殺します」
蛇の主「踏み殺すのはやめて。ランカ一個頂戴〜!」
ランカ「ふふん、やなこった。苅里ありがとうね。もう戻ろうか」
苅里「そうだね」
そう言って2人は先に出てその後に主が出て来て3人で会場に戻った。
苅里「ランカ、この主なんとか出来ないの?」
ランカ「ん〜無理。こいつのしつこさは本能だから」
蛇の主「ランカばらさないでよ。まあいいけど…そうだよ、俺は蛇の本能が強いんだ。俺次男だけど俺の一族は本能が強い奴が当主になるんだよ。本能は一度狙った相手は手に入れるまで眷属を使って手に入れるんだ。…君はいつになったらヘビに噛まれてくれるかな?」
スグル「そんな一族あるのか?」
ソル「そう多くないよ。俺達の一族は基本長男が継ぐけど、一族の中には本能が強い兄弟が当主に就くこともある。俺達は4つ子で誰でも良かったから俺がなっただけだけど。」
蛇の主「あれ、苅里のお兄さん?よく知ってるね。俺兄が1人、弟が4人いるんだけど兄よりも本能強いの俺で弟達も俺よりも強くなかったから当主になったんだよ。面倒だよね。ランカみたいに一人っ子が良かったよ」
優「それで?兄と弟達は?」
蛇の主「何?気になっちゃう?そうだよね、君のところみたいに弟連れてないもんね。そこのラウガ界みたいに4つ子全員参加でもないもんね〜」
ランカ「俺は知ってるけどね。君の一族も大概変だよ」
蛇の主「俺に言わないでよ、初代の決めたことを本能で従ってるだけなんだから」
苅里「初代の決めたことを破ろうとか変えようとかは思わないの?」
蛇の主はそれを聞くとそれなんだよね〜と言う。
蛇の主「初代が今まで歴史上一番強かったからその本能に抗えるだけの強さが俺達にはないの。おかしいよね、身内だけで結婚繰り返したらそれよりも強いの生まれていい筈じゃない?過去に1人もいないとかありえないよ。まあそれを打ち破るだけの強い力や本能を持てばそれも変えられるんだけど…生憎身内にも貴族にも俺と同等、もしくはそれよりも上っていないんだよ。だから君に目が行っちゃった♪」
スグル「迷惑な話だな。妻は渡さないぞ」
スグルが蛇の主を睨んでもその主はへらっとする。
蛇の主「苅里ってさ、ランカにも一度は求婚されたんでしょ?」
苅里「断ったけどね」
ランカ「強引にするより友人でいた方がいいと思ったからそう言うのはやめたんだよ」
蛇の主「嘘を言うもんじゃないよ。友人よりも妻にする方がメリットがあるのに仲を悪くしたくないだけでしょ?」
ランカ「さあ、どうだろうね?とりあえず君の兄弟の結末を言えば?後両親も」
蛇の主「ああ、そうだね、忘れてたよ。兄も弟4人も全員殺したよ。もちろん両親もね。俺よりも弱い一族がいたら目障りだから殺したんだ。子供と妻がいれば殺さないけどね。結構周りが整理できてスッキリしたよ」
優「それは本能とは関係ないのか?」
蛇の主「そこは秘密。他の身内は生かしてあるよ。俺よりも強いのを産む可能性があるからね。可能性は残しておかないと。…何?家族殺しは酷いと思う?そんなわけないよね?どっちの世界も兄達が殺してるんだから。弟と妹もびっくりしたんじゃない?だって帰って来たらもういないんだから」
ソル「あれが父がおかしくなったりしなければ…!」
優「俺もスグルにあんな態度を取らなければあんなことはしなかった」
蛇の主「でも殺したよね?弟のため、妹のために。そんなの言い訳だよ。結局は自分たちにいい理由をつけて殺したんだから。どう?当時はスッキリしたんじゃない?」
苅里もスグルはそこに関しては言わない。2人は兄のしたことに怒ることも悲しむ事もないのだから。
蛇の主「まあ本人達は君達を責めてないようだし俺にはどうでもいいけど。終わったことを責めても何もならないもんね?言うだけ無駄だし」
スグル「…話が終わったならどこかへ行け。」
蛇の主「はいはい。弟くんは優しいねぇ〜」
ランカ「君も相手で遊ぶのやめたら?俺も何処かに行くよ。苅里またね」
苅里「うん」
そう返事してランカに蛇の主は連れて行かれた。
スグル「兄貴、両親のことなら俺はもうなんとも思っていない。気にしなくていい」
苅里「私はこっちの両親の記憶は元からほとんど持ってないから。兄様達も気にしなくていいよ」
スグルは優に、苅里はソル達4人に言った。
優「スグル、すまなかった」
スグル「なんのことか知らないな。」
苅里「兄様達も顔を上げて。私本当に記憶ないから勝手に落ち込まれても迷惑だから」
ウル「言い方酷い…。責めないの?」
苅里「どこを責めたらいいの?私兄様達を責めるようなこと何もされてないから分からないの。全くもって身に覚えが無いから。ほら、まだパーティー終わってないんだから顔を上げてよ。」
スグル「兄貴もだ。らしく無いぞ」
弟、妹に言われて兄達が顔を上げる。2人はいつもように笑って5人を見ていた。
ランカ「だから言ってたでしょ?あんなのじゃ揺らがないって」
遠くからランカと蛇の主はスグル達を見ていた。
蛇の主「兄達は揺らいでたけどね。下はしっかりしてるね。俺もあんな弟達が欲しかったよ。兄はもう使えなかったし」
ランカ「弟くんたちももうちょっとマシな人格してたら力ずくで君に殺される事もなかったのにね。両親は異常に本能が強い君を殺そうとしたしね。」
蛇の主「初代ほどじゃ無いけどそれでも十分俺は家族からはそう見られてたからね。まあ別にいいよ。邪魔だったのは本当だし。それにランカ、君いつ両親殺すの?もう用無いでしょ?」
ランカ「え〜いつでもいいじゃん。妻が出来て妊娠したら両親を殺そっかな。どうせ自分じゃ死なないし。いつかは頼まれるんだからいつでもいいじゃん」
蛇の主「まあそうだけどさ〜。あ〜あ…苅里さらおっかな?次の主催俺だし。ランカは呼ばな〜い」
ランカ「うわ、酷ッ!でも苅里の周りにいる6人も呼ばないんでしょ?邪魔だもんね」
蛇の主「まあね。どんなパーティーにするか楽しみだなぁ」
そう言ってそのパーティーは珍しく喰い合いが起きずに終わった。