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気が付いたら〜939〜

30年後、隠された世界の主達のパーティーの招待状が届く。
苅里「…私だけ?兄様達と優達は?」
6人「来てない!危険すぎる!」
苅里1人でパーティーに参加なんて初めてのことで6人に危険危険と言われ続ける苅里だった。
苅里「そうは言われても私だけなんだからしょうがないじゃない!6人は留守番!ルールを破るわけにも行かないんだし…。服装は…うわ、ドレスだし。動きづらい…」
優「1ヶ月後か。よし、苅里の身の安全を少しでも上げるために指導してやる。今からやるぞ」
苅里「ちょっと優!それより仕事…」
スグル「それはこっちがやるから。兄貴頼んだ」
ソル達は特にする事もないのでスグルの手伝いをすることにした。
ソル「俺達とはもう互角以上に戦えるから手合わせくらいだし…」
ウル「優に頼むしかないね。スグルこれ終わったら昼食作ってよ。この前の美味しかった」
スグル「ああ、分かった。」
その頃の2人は…
苅里「別に自分の身は守れるからいいよ」
優「いいや、念には念をだ。昼食食べたらまたやるからな」
苅里「過保護すぎ!」
優「大切な妻が1人で行くんだぞ!?過保護にもなる!」
苅里はそれを聞けばもう何を言っても聞かないだろうと分かってその指導を渋々受けた。
1ヶ月後。
苅里「優これは要らないってば…」
スグル「兄貴持たせすぎだ。苅里が怒るぞ」
優「う…怒られるのはな…」
苅里はスグルに渡される撃退道具を全部影に入れる。もう邪魔だ。
苅里「兄様達もくっつかないで!遅れるのは嫌なんだから!」
ベリッと離して苅里は飛んで行った。
兄4人「超心配…」
スグルも優も何も起きないように願うばかりだった。
苅里は執事に招待状を見せれば部屋に案内される。今回は人数が多いらしく男性は1階と2階、女性は3階との事だった。
3階の部屋に通されて時間までお茶を飲んで過ごす。
苅里「人数多いから呼び出しに時間かかってるのかも…」
いつもなら30分で呼び出しがかかるが今回は人数が多くて時間が押しているだけだろうと考える。
そこから少し経って執事から呼ばれて会場に案内される筈なのだが…
苅里「…ここで待っていればいいの?」
執事「はい、主催者からそう言われていますので」
そう言われて待つしかないので数分もすれば相手が来る。
蛇の主「やあ苅里。他の主には執事に全部任せてあるから」
苅里「…今回の主催者はあなたって事ね。わざと兄様達も優達も呼ばなかったでしょ」
蛇の主「ふふ、あたり。だって君にくっついてくるのは分かってたから。こう言う機会なら来れるはずがないからね。さてと、前の続きをしようか。」
そう言ってゾロゾロと眷属の蛇を出して苅里に向かって行き、苅里は花達を呼んで蛇を食べて行く。
蛇の主「へぇ、綺麗だね。でもそんなに俺の眷族を食べないでよ。怒るよ?」
そう言ってその主は苅里を蹴り飛ばすが苅里は防いで武器を振るう。
蛇の主「いやぁ〜君みたいな強い女の子が俺の世界にいたらこんな事せずに済むんだけどね。狙われて大変だね」
苅里「だったら私に近づかないで。しつこい!」
蛇の主「言ったでしょ?これは本能なんだ。手に入れるまで俺は止まらないんだよ。だって君が気に入っちゃったから」
あはは〜と笑って苅里に攻撃を繰り返す。
苅里「混沌、眷属の蛇を殺して。」
混沌「分かった。」
そう返事をすれば蛇を花と一緒に一気に食べて行く。
蛇の主「あ〜あ、こんなに食べて…。俺結構眷属に大事にしてるんだよ?ちょっと腹が立って来た」
混沌は反応に遅れてその主に思い切り蹴り飛ばされて壁に激突して起き上がれなくなる。
苅里「混沌、もう戻っていいよ。ゆっくり休んで」
そう言って混沌を戻して考える。相手は明らかに自分よりも強い。それにキト達が出てもきっとすぐにやられるだろう。花達も戻して魔法を出して防ぐしかなかった。
蛇の主「やっぱり君は強いね。じゃあ俺も使わせてもらうよ」
そう言って一瞬で苅里の目の前に来て苅里の目を見る。
苅里「!?」
動こうとするが金縛りにあったように動けなくなって目を合わせられる。
蛇の主「動けないでしょ?俺の目に睨まれたら誰でも動けないよ。俺より強いやつも俺に睨まれればね。眷族を沢山殺して酷いね。」
そう言って苅里を撫でて頬に傷を作って血を出させる。
ふわ…
その主は血の匂いに気がつくと目を見開く。
蛇の主「君、本当にラウガの一族の血だけ?こんな匂い事初めてなんだけど…。味が楽しみになって来た」
苅里「っつ…触らないで!」
蛇の主「ちょっと弱かったみたいだね。他の主だったらもう口も聞けないはずなんだけど」
そう言ってその主は瞳の色を強くすれば苅里は口から言葉が出なくなった。
そのまま首に噛み付かれて血を取られる。
ズル…
蛇の主「こんな美味しいの初めてだよ…。ずっと飲んでいたいね。もうちょっともらおうか。肉も美味しいだろうね」
そう言われて血を遠慮なく飲まれてブチブチと肉を食べられて苅里は行動を起こそうとするが全く動けなかった。
その主が離れれば苅里の血を舐めて酔ったように苅里を見ていた。
蛇の主「はぁ…もっと食べていいよね?ずっと食べていたいよ。パーティーが終わったら連れて行こうか」
苅里「(嫌に決まってんでしょう!)」
それはごめんだと思い無理やり体を動かして自分の目を潰した。
苅里「はぁ…はぁ…。食べられるのも連れて行かれるのもごめんなんだけど!」
蛇の主「君本当に何者?行動に迷いがなさ過ぎるよ。目を潰すとか女性なら普通躊躇うはずなんだけど」
面白いものを見るように主は笑って苅里はそのまままた攻撃を行った。
蛇の主「目が見えなくても見えてるように戦えるのは普通じゃないね。これじゃあ俺が睨んでも意味がないよ。じゃあ申し訳ないけど侵食させてもらおうか。悪いね」
そう言って主が指を鳴らせば毒が出て来て霧状に広まる。
苅里「っつ…」
耐性があっても毒の濃度はそれなりに濃いらしく動きが鈍くなる。それでも苅里は動き続けた。
蛇の主「…耐性があるの?君。ぶっ飛び過ぎでしょう…」
主は若干苅里のそのあり得なさに呆然となった。こんなに手こずったのは過去にほとんど経験したことがなかったのだ。
これだけの濃度で毒を吐けばまず膝をつくのに苅里はそれどころかまだ動き続けて魔法も魔力も使ってくるのだ。
蛇の主「はは…本当に君が欲しくなったよ。今までも欲しかったけどもっと欲しくなったよ。悪いと思ったけど君じゃこの毒は温いみたいだね。」
もう一度指を鳴らしてもっと濃度を上げるが苅里が動きを止めて倒れたのはパーティー終了の合図が終わってからだった。
蛇の主は苅里の血の匂いに我慢するがあまりにも充満していたのでそのまま飲んでしまう。
ズルズル…
蛇の主「あり得ないことをする子だね。血も臭いも全部消して連れて帰らないと…。匂いに侵されそう…」
主は後片付けをするとそのまま苅里を連れて自分の世界に連れて行った。
苅里は意識を取り戻したのはそれから1時間後だった。なんとか体を動かして影から造血剤を出して服用して飢えを和らげる。体内の毒が濃過ぎて解毒剤が効くか分からないがとりあえず飲み、片目だけ見える状態にする。
苅里「…連れて来られたんだ…」
ガチャッと音が聞こえて相手を見れば案の定あの主だった。
蛇の主「もう目が覚めたの?しかも動けるとか…。毒をあれだけ濃くしたらいくら上のランクでも降参するくらいなのに。君あり得ないね」
ニッコリと笑って終われて睨む。
苅里「食事に私を連れて来たなら他をあたって」
蛇の主「無理だよ。だって君の味が美味し過ぎて他のなんて飲む気も食べる気も起きないよ。俺は毒が回ってても普通に食事出来るからね。ランカ知ってたみたいだね。ずるいなぁ…」
そう言って苅里の頬を触る。
蛇の主「君、ラウガの一族の血以外に何を持ってるの?血だけじゃここまで行かないね。他にどんな力を持ってるの?教えてよ」
苅里「そんなの知ってるでしょ。それに知りたいなら勝手に調べればいい」
蛇の主「やだよ面倒だし。君の口から話をして欲しいんだ。出ないとずっと食べるよ?そんなことしたら飢餓が酷くなるね。俺の血肉でもあげようか?きっと美味しいよ?君ほどじゃないけど」
苅里「お断り。」
蛇の主「そっか。じゃあ頑張ってね」
美味しそうなものを見つけたと言うような表情をして苅里の血から飲んで行った。