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気が付いたら〜1018〜

リュウ「じゃあ苅里が逃してくれたんだね!?良かった…」
于露「あえて参加者として入ってそれを行っていたのは俺も知っていた。黙っていてすまなかった」
ウアン「俺もだ。済まなかった」
2人に謝罪をしてリュアが聞く。
リュア「2人が無事なのは良かったが苅里がそっち側で招かれていることに俺は怒りを感じるけどな。断ればいいだろう!」
スイリ「リュア、そうしたら今回みたいにシイナや他の妖怪達を惨いことをさせずに出来る機会を失うんだ。あいつが動くだけで何十人も命が助かる事がいるんだ。」
于露「実際あいつに助けられたやつなんてもう何百人、もしくはそれ以上いるだろう。あいつのやり方に口は挟めないんだ」
ここ龍の里でももう何十人もいると話せばリュアは黙る。まあそのほとんどが苅里のことを覚えていないが。
優姫「ねぇ聞いていい?母様は表の世界の人は関わるべきじゃないって言ってた。どういう意味?」
ウアンも于露もみんな黙る。シイナも分からなくてもう一度聞くが誰も喋らなかった。
ウアン「あいつなりに踏み入れて欲しくない事なんだろう。その事は忘れろ」
優姫「…なんで?そんなこと言われて忘れられるわけない!」
サイラ「あいつがどれだけのものを見て来たなんて俺達も分からない。本当にだ。だから忘れろ」
シイナ「アウも分からないの?」
アウは頷く。
于露「シイナ、優姫に言っておく。ただ知りたい、解消したいだけなら答えられない。あいつの見たものはお前達にも俺達にもきっと理解は出来ない。…済まないな。今日はもう休め」
解散だと言って誰も反対せずに帰り、優姫とシイナはその日なかなか寝付けなかった。

部隊長「苅里、相手してよ」
苅里「お断りしますと何度も言ってます!しつこいですね」
補佐官「(苅里さんイライラしてるな〜…)」
苅里と手合わせしたくて部隊長が何度も言ってきて苅里も今度も断るがこの男、なかなかにしつこくてあろうことか研究室まで入ってこようとしたのだ。
ファウ「部隊長しつこいよ。それ以上きたら毒飲ませて3週間動けなくさせるよ?ちゃんど解毒薬は渡しておくよ。生死の境を彷徨ったらね」
部隊長「薬室長は怖いなぁ。でも本当に手合わせして欲しいんだ。部隊を見る側としては時々でいいから手合わせして学びたいのさ。君だって自分の知らない事は知ってる相手からしつこく聞いたりするんだから気持ちは分かるでしょ?」
ファウ「その気持ちは分かるけど苅里の契約内容はあくまで俺のところで働く事。それ以外は苅里の夫にも許可をもらわないと認められないよ。まああいつなら絶対に認めないけど。」
部隊長「あれ、旦那さんいるんだ。まあそうだよね、これだけ可愛くて綺麗で強かったらいるよね。」
苅里「褒めて喜ぶと思ったら大間違いですよ。どれだけ言われても私は頷きません。帰らないなら痺れ薬を飲ませますよ。もしくは直接内臓に入れます。すぐに効果が出るでしょう」
その薬を出して一歩前に出れば部隊長は引きつって後ろに下がる。
苅里「さあ、お腹を出してください。直に入れてあげます。大丈夫です、医務室に飛ばさずにそこらへんに放置しますので。安心してください」
ファウ「毒よりもいいかもね。ほら、醜態晒してよ。」
補佐官・研究員「この2人が組んだら相当危ない…」
苅里は本気の顔でファウに関しては面白そうにして毒を手に持つ。
苅里「痺れ薬か毒か帰るか選んで下さい」
ファウ「10秒で答え出してね」
部隊長「君たち2人にやられるのはごめんだよ!分かったよ!今日はもう帰るからジリジリと近づいてこないで!顔が怖いんだって!」
苅里「そうしたのはあなたです」
ファウ「そうしたの君じゃん」
2人で言ってもう一歩前に出れば部隊長は飛んで去っていった。
ファウ「やっと帰ったね。俺としては本当に飲ませても良かったんだけど」
苅里「私は武器に塗り込んで投げても良かったけど後始末が面倒なのでやめてくれて助かった。」
ファウ「ん?そんなことできるの?」
苅里「出来るよ。脅しにも使えるし実際に脅しで使ったことありもん。あと数ミリ動いてたらそれが顔に付着するくらいには。そうはならなかったけどね」
ファウ「わお、怖いね〜」
ファウは笑っていうが補佐官や研究員は全く笑えなかった。
苅里「ファウ、あと残ってる仕事は?」
ファウ「後は研究員達の薬の確認と一族の薬の製作と書類のサインかな。後は今回の昇格試験受ける奴がいるならそれの希望を聞くことかも。補佐官は書類のサインいい?君でもOKのやつだから。苅里は研究員の薬の確認をお願い。後の2つは俺がやればいいから」
補佐官「それなら構いません」
苅里「うん、いいよ。何人確認すればいいの?」
ファウ「んーと…20人。お願いね」
苅里「分かった」
補佐官と苅里が動いて労働時間に終わらせるように頑張る。
苅里「最後のは…君のだね。…うん、基準としては大丈夫だよ。でも助言してもいい?」
研究員「はい、お願いします」
苅里「この薬草なんだけど多分鮮度がかなり落ちてるから次使うときはとってから1週間以内のがいいよ。効果や品質は問題ないけどそっちの方が見た目も色も明るくなるし、売るときにもこれよりも高くなるから。」
研究員「そうだったんですね!次回からはそうします。この薬草ならちょっと個人的に店を回って確認してみます。苅里さんありがとうございます」
苅里「うん、無理のない範囲でね。ファウ、こっち終わったよ。そっちは?」
ファウ「こっちも終わり。希望者も聞けたし応募書類も渡しておいたからね。苅里さ、次回の昇格試験受ける?俺の推薦があればいいし。それ受かれば補佐官と同じランクだもん。」
補佐官「受けたらどうですか?苅里さん」
苅里「私のランクだと次いつだっけ?」
ファウ「4ヶ月後だよ。受ける?」
苅里「うん、受けることにする。…もう応募書類出てるの?早いね」
ファウ「向こうは受付期間を長くして多くランクの高い調合師を作りたいからね。いつもの場所を記入してくれればいいよ」
苅里はその場で記入してファウに渡せばそれでもう承諾された。