気が付いたら〜280〜
1時間後。 リュウ「…終わりました。名前を呼んでね?」 イリカ「リュウさんお疲れ様です。」 労いの言葉をかけるとお茶を出した。 リュウ「!」 イリカ「緑茶です。気に入りませんでしたか?」 黒さんと白さんは先に上がってもらって、後はリュウさんと2人で行った。 リュウ「いや、もらうよ。久々に飲む」 懐かしそうに緑茶を飲んでいた。 リュウ「…苅里も仕事が終わったりみんなが帰った後の仕事があると時折お茶を出してくれた。一番多かったのは緑茶。ちょうど良い温度で出してくれてすぐに飲めるようにしてくれてた。今のイリカみたいに。」 終わった書類を書斎に飛ばし、2人で飲んでいた。 リュウ「今日はもう遅いから明日の午前中に話そうか。イリカ、手伝ってくれてありがとう。」 下を向いて言っていた。 イリカ「我慢しなくて良いと思います。」 リュウ「え?」 イリカ「本当は泣きたいんじゃないんですか?」 リュウ「……」 イリカ「私はまだ何も力になれませんが、リュウさんの隣にいる事は出来るので。」 そう言って対面にいた席から立ち、隣に座った。 リュウ「っつ…。イリカは優しいね。ありがとう」 感謝の言葉をもらうとリュウさんは涙を流した。 リュウさんとしばらくいたが、いつの間にか2人してそのまま寝てしまった。 見計ったようにみんなが入ってきた。 みんなは2人を見ると、 狼「リュウずっと溜め込んでたな」 エン「俺達の前ではいつも通りにしてたからな」 黒・白「うん。イリカが来てくれて良かった。」 リュウはみんなの前ではいつもどおり過ごしていたが、1人になると時折泣きそうになり、それでも泣かないようにしていたのはみんな知っていた。 秀「リュウは俺が部屋まで運んでいくから。」 狼「イリカは俺が連れて行こう。部屋は苅里ので良いよな?」 みんなは頷いた。あの部屋はイリカの部屋でもあるのだから。みんなは居間を離れ、就寝した。 翌朝目を覚ますとリュウさんの組織に泊まりにきたのを思い出すと周囲を見回した。どうやら以前狼さんに案内された苅里さんの部屋らしい。 ノックが聞こえ、返事をするとリュウさんが入ってきた。 リュウ「おはよう。昨日はありがとうね。」 恐らく書類とあの涙のことだろう。 イリカ「私は大して役に立ってませんよ」 リュウ「そんなことはないよ。とても助かった。朝食まで時間があるから敷地内探索しても良いし、部屋の設備は自由に使って良いよ。」 時間になったらテレパシーで呼んでくれるそうなのでその言葉に甘える事にした。昨日は夕飯を食べ終えるとそのまま書類を行ったのでシャワーを浴びるのは後回しにしてしまったため、今から使わせてもらう事にした。 シャワーから上がると髪を乾かし、置いてあった紅茶を入れて窓を開けて外を見ながら飲んでいた。