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気が付いたら〜951〜

スグル「キト達、これを回復出来るか?」
キト達を呼べばそれを見て一瞬呼吸が止まったが無言でやってみる。
シト「…なんで回復しないの?阻害される術は感じないけど」
ミリ「母様さっき意識を失う直前にね、言ってたの」
優「何をだ?」
ミリ「ラファと扇を呼んでって。なんでか分からないけど…」
スグル「あの2人を…?なんでだ?」
優「スグル、呼んで来い。苅里がそう言ったなら関係があるんだろう」
キト達は回復しないと分かると包帯を持って来て丁寧に巻いていく。優は桶に水を入れて濡らしたタオルで苅里の血を拭き取ったり別のタオルで汗を拭いていたりしていた。
ラファ「(コンコン)入るよ」
優「ああ、入れ」
優が返事をしてスグルが先に話したらしく苅里の状態を見ても少し表情を曇らせるくらいだった。
ラファ「苅里が呼べって言ったんだよね?」
スグル「そうだ。ミリが苅里からそう言われたらしい。なんか変なことを言ってたんだ」
扇「どんなことだ?」
スグル「背中が気持ちが悪い、這っているようだって言ったんだ。俺たちはそれを聞いて背中を見たが何もなかったぞ?」
ラファ「…ああ、あれね。おかしいね。あれもう禁術指定にしたんだけど。嫌なことを思い出したよ」
扇「カルマはもうそんなことをしないしな。もう転生もしてるし本人はもう出来ないからな」
優「心当たりがあるのか?それにカルマって誰だ」
スグル「兄貴、カルマって言うのは苅里の前の大主の事だ。もう今はいない。」
ラファ「苅里と俺と扇は一時期そのカルマの眷属だったんだ。正しく言うとさせられていただけど」
優「本人の意思は関係ないのか?」
扇「ああ、ない。苅里だって呼び出されて当時つけられたんだ。もっと前に俺たちもな。眷属の印は背中全体にかけられて付けられると何かが這っているような感覚なんだ。」
扇が特徴を言えば優も子供達も驚く。
ラファ「しかもそれかけた本人とつけられた同じ眷属にしか見えないんだよ。だから当時誰にもそれが分からなかったんだ。全部苅里が解決して今はそれ、禁術にしてるから俺たちはもう知らないんだ。知ってるのは独自に解除方法を編み出した苅里だけだと思ってたんだけど…。」
スグル「それは回復も阻害するのか?」
ラファ「そんなものはないよ。印はつけられるけど回復はできる。まあ主に逆らえば印で背中を焼かれたけどね。苅里は特にそれが多かったから。子供達には酷な話だったね」
羽美は特にダメだったようでスグルに支えられていた。
優「それに匂いとかあるか?苅里あてに手紙が届いてそれが爆発したんだ。苅里は梅の花の匂いがするって言ってたんだ」
扇「印に匂いなんてないぞ?梅の花なんてどんな関係があるか分からないな」
ラファ「俺もそれは知らないね。その怪我が治らないのも俺たちが知ってる印ではなかったよ」
そう言えば優もスグルもそうか…と言って黙る。
ラファ「とりあえず君達って大量に血を失ったり大怪我すると飢えがくるんでしょ?それなんとかすれば?後は魔法で回復するんじゃなくて薬を使って回復したらどうかな?滅多に使わないけど」
スグル「確かにそうしたほうがいいかも知れない。2人とも来てくれてありがとう。感謝する」
ラファ「別にいいよ。また何か分かったらこっちも教えるよ」
扇「薬を使うならサツリに言っておけ。すぐに作ってくれるだろう。またな」
子供達もありがとうと言ってラファと扇は飛んで行った。
ラファ「イルキ、今いい?」
イルキ「何?」
扇「秋季達もいたか、丁度良かった。一つ聞いていいか?」
秋季「なんだい?」
ラファ「カルマが当時使ってた眷属の印覚えてる?」
イルキ「ああ、話は聞いてるし知ってるよ」
由羅「あの気持ち悪いのな。」
扇「お前達大主達はその術をどうしている?苅里の方の世界では知ってるのはもう苅里だけで禁術にしてるからもう誰も知らないんだが…」
イルキ「裏界では最初からあれ禁術指定だから資料は残ってないよ。知ってるのは裏界では大主6人だけ。対処法を知っておかないといけないから口伝えで伝えるんだ」
ニキ「俺の管理してる世界では元からないぞ。カルマから後でそれを聞いたからな。現物は見たことがない」
ミワン、由羅も同じだと言う。
妻木「俺の所は禁術になっているが資料は残ってる。俺の屋敷の書庫で厳重に保管してある。」
秋季「俺のところも同じ。禁術だから使えば厳罰だし、それ以前にその資料は俺の屋敷でも何重にも封印してる。取ろうとしたら相手に呪いをかけるようにしてるから」
大主以外で使えるのはほぼないと話す。
イルキ「いきなり聞いてどうかしたの?わけがあるんでしょ?」
ラファ「…話したらこうなるって予想はしてたけどね。本人の家に行かないでね」
ニキ「あ、ああ。分かった」
扇とラファは魔界にいた苅里達に起きたことを話した。
イルキ「じゃあ今回復出来ないの?」
ラファ「うん、止血しか出来てなくて包帯を巻いてたよ。もしかしたらその可能性があるかもって思ってイルキ達に聞いたんだ。」
妻木「それ使えるやつなんて大主以外にいるのか?…隠された世界の主とかか?」
秋季「俺たちから隠れて存在してたくらいだからあり得るね。でもそれなら苅里解除方法知ってるんだから出来るでしょ?」
ニキ「仮にも大主の苅里を眷属にするなんて言ったら大惨事だぞ」
ミワン「これは内緒にしようか。ここのメンバーだけで。」
由羅「そのほうがいいだろうな」
妻木「俺のところはもう一度確認しておこう」
秋季「俺のところも確認するよ。それにしても梅の花の匂いね…。そんなの知らないんだけどね」
そう言って7人だけの会話にして解散した。優達も予め離さないように言っておいたからこれ以上は広まらないだろう。

妻木も秋季も屋敷に戻ってすぐに確認するが誰かが触った形跡もなく、現物はきちんと残っていた。
妻木「あんなものなんで今更…。あの印に回復を阻害する効果なんてないぞ」
妻木は確認するとその場所を出て内外どちらも術をかけた。
それと同じ時間に秋季も確認する。
秋季「こっちも特に問題なし。誰も触ることは出来ないようにしてるから、もし触ったら全身の痛みが続く呪いがあるし。」
その封印を解かずに確認してさらにまた何十へと結界と封印を重ねた。