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気が付いたら〜905〜

ミワン「妻木と由羅そろそろ起きるね。」
苅里「1000年だったもんね。ミワンは結構起きてるけどもう少しで寝るの?」
ミワン「そうかもね。次に寝るとしたらいつ頃にするかな…。とりあえずあの2人が起きてから考えるよ」
のんびりとミワンの屋敷で過ごす。あれ以来ミワンの妻達には毛嫌いするような態度は取らず、出来るだけ怖がらせない内容にしていた。
ミワン「あれ、どうかしたの?」
ミワンの妻の1人がバタバタと走って来てミワンと苅里を見る。
ミワンの妻「お2人とも来て下さい!妻木様と由羅様の眷属が急ぎ来て欲しいと!」
苅里「場所はどっち?」
ミワンの妻「妻木様の方の屋敷です!」
ミワンは顔を見合わせて飛ぶ。
妻木の眷属「ミワン様、苅里様…」
ミワン「…ひとまず回復させよう。苅里は由羅をお願い。2人の眷属達は着替えと休む場所を用意して。後で話を聞くよ」
苅里「ここは閉じるから眷属の一番上の人だけ残って。」
2人の眷属「はい。他は着替えと休む準備!」
そう言ってバタバタと忙しくなって行く。
2時間後。
ミワン「毒を使われてるね。苅里出せる?」
苅里「出来るよ。私以外は全員マスクをして。どんな毒かこれから見るから」
そう言ってミワンと2人の眷属はマスクをして手を結界で覆った。
グチャ…
由羅の眷属「う…」
苅里「気持ち悪いなら無理しなくていいから。」
内臓を直に触って一部を取り出してそれを確認する。
苅里「…これなら命に関わらないから大丈夫。今解毒剤を飲ませる。効果が出るまで少しでも取り除かないと…」
ミワン「(内臓を直に触って平気なんて…)」
ミワンは苅里の行動にそう抱かずにいられなかった。
苅里は解毒剤を2人に飲ませて毒の影響が多いところを取り除いて行く。
それをして腹を回復して脈を測って毒を見る。
後ろを見れば眷属2人は吐いていた。やはり中を直に見るのはダメだったらしい。ミワンは我慢していたが結局後で吐いた。
苅里「3人とも辛かったでしょ。はい、水。中に鎮静効果のある果物の果汁も混ざってるから。気持ち悪いものを見せてごめんね」
由羅の眷属「いえ、由羅様を助けていただきありがとうございます」
妻木の眷属「我々もどうすれば良いのか分からなかったのです。助かりました」
ミワン「2人はまず由羅と妻木を他の眷属達と看病してあげて。話はそれからで良いから」
そういえば眷属の2人は頭を下げて由羅と妻木の所へ向かった。
ミワン「まだ寝てたのに何があったんだろうね?」
苅里「…毒についてなんだけど多分出所は分からない。」
ミワン「分からない?なんで?」
苅里「あの毒はどこにでも生えている薬草を使った毒なの。子供のお小遣いでも買えるような薬草で、初心者でも作れるものなの。少しかじれば出来る簡単な毒。だから場所が絞れない」
ミワン「そんな…」
苅里「サツリに聞いてもきっと一緒の事を言うよ。まずは2人が起きないと。少し時間は経ってたけど2日もすれば目も覚めるよ」
ミワン「…苅里、なんであれ大丈夫なの?直に触って…」
苅里「別に最初は眷属達みたいに吐いてたよ。でも今は私、血肉食べないと生きていけないわけだし。血肉食べるとね、必然的にそう言う場所も見るし食べるの。それなのに食べる時以外はそれを見ると優達って気持ち悪そうに見るの。おかしくない?命を食べてるのにそれを知らないなんて。そんな目で見て。」
ミワン「……」
苅里「私は別に中身を解剖した事があるから平気なわけじゃない。命を貪る側だからそれを知る権利があると思ってるだけ。だからああやって触る事に嫌悪感なんて抱かない。ミワン達には刺激が強すぎたね。本当にごめん」
ミワン「優達にはそれを言ったの?」
苅里「この前言ったよ。でもやっぱりすぐには肯けないみたいだからそこは諦めてる。無理に納得させるつもりはない。ランカもダメみたいだけど。」
ミワン「…妻木と由羅を助けてくれてありがとう。同じ大主としてお礼を言わせて欲しい」
苅里「私も大主だけどね(笑)2日間は経過を見るからこっちにいようか。ミワンは?」
ミワン「俺は妻達が心配するだろうから戻るよ。2日後にまた来るって眷属達に伝えてくれる?」
苅里「分かった。ゆっくり休んでね」
ミワン「苅里もね」
ミワンはそのまま飛んでいって苅里は妻木と由羅が休んでいる部屋に向かう。ミワンが帰ったことと自分が2日間看病するから眷属達は休むようにいった。
妻木の眷属「苅里様、せめて交代で共に看病させて下さい!何か力になりたいんです!」
由羅の眷属「こんなことは初めてで…落ち着けないんです」
苅里「分かった。でも無理はしないで。食事は起きてからで良いから水を定期的に飲ませてくれる?それと前は私に対して敬語も様付けもなかったじゃない。なんで?」
妻木の眷属「いや、なんと言うか大主様相手にその態度で接するのも違う気がして…」
由羅の眷属「由羅様も気にしなくて良いと言うんですが俺達はそこらへんやっぱり上下関係をはっきりさせようってなってこうしたんです。」
苅里「…私、あなた達の主を殺したんだよ?何百回も。そんなやつにでもそんな接し方をするの?私はあなた達眷属に何をされても受け入れるよ」
そういえば全員黙る。眷属達はそれを聞いた時確かに怒りで苅里を睨んでてから血が出る程強く握りしめたのだ。
苅里「もしかしたらこのまままた2人を殺すかもしれないって考えないの?」
由羅の側近「…確かに当時は凄くあなたを殺したかった。何度でも殺したいと思いました。俺達の主を殺して転生させ続けてその間あなたの作ったそっくりの式にずっと従ってて全く疑わなかったです。でも今は違います。由羅様はあなたを憎くも殺したいとも思わないと言ってました。」
妻木の側近「妻木様も同じです。妻木様は同じ大主であるあなたが抜きん出て強い事に今まで疑問を抱いてました。でも本当に帰ってきたときは言ってました。苅里様は誰かのために強くなっていたから自分よりも強かったのだと。自分だけの為に強くなった自分じゃ力の差が出るのは当たり前だと言ってました。」
苅里「そんな事を…?」
意外すぎて苅里は零す。
妻木の側近「妻木様は苅里様を恨んでません。それに今はもうそんなことは苅里様はしないと約束してくれたと聞いてます。なので主を殺さない。俺達は苅里様をもう殺したいとは思ってません。」
由羅の側近「完全に苅里様を許していない眷属もここにはまだいます。でも私達は時間をかけて許して行くと決めています。主が帰って来た。苅里様がもう殺さないと言ったなら殺さないと由羅様も信じていましたから。なので何もしません。苅里様もそんなつもりはないのでしょう?」
苅里「…そうだね。もう仲間を殺さないって約束してるから。もう破りたくないからね。」
苅里は笑って次には眷属達に頭を下げて眷属達は目を見開く。
苅里「あんなことはもう2度としない。信用出来ないかもしれないけどもう私は仲間を傷つけたくないから。許して欲しいなんて言わない。」
そういえば眷属達はもう頭を上げて欲しいと言って昼間とはまた違う意味でバタバタして由羅と妻木が呻き声を上げさせる羽目になってしまった。
2日後、2人は目を開けて眷属達はホッと表情を緩ませていた。
苅里「私の声聞こえてる?目は見える?」
妻木「ああ、大丈夫だ…」
由羅「俺達睡眠に入ってたはずなんだが…」
苅里「話は後。今お粥が来るから食べて。後でミワンも来るから」
1時間後ミワンが来て着替えた由羅と妻木は眷属から水をもらいながら話す。
由羅「正直言って何が起きたのか全く分からないんだ。俺達は眷属に起こしてもらわない限りずっと寝てるからな。だから覚えているのは一瞬だけ痛みを感じたことくらいなんだ。相手の姿も気配も何も分からないんだ」
妻木「俺も一瞬痛みを感じただけで他は全くだ。場所なんて眷属のトップのやつしか知らないからな。ミワンも苅里も知らないだろう?」
ミワン「知らないね。公にしてるのは苅里だけだから」
苅里「私は場所自体が特殊だからね。ミワンや妻木達のは確かに知らないよ。」
妻木の眷属「妻木様の休んでいた場所に一瞬揺らぎを感じて様子を見に行ったらあのようになっていて…」
由羅の眷属「俺もです。どういえば良いんでしょうか…。何か割り込んだような感じでは行ったのではなく、同調して進入されたように感じたので様子を見に行ったんです。それがなければ後50年ほどで起こす予定でした。」
苅里「力づくで入った感じじゃないの?」
由羅の眷属「違います。同調して入ったような感じがしました。」
妻木の眷属「俺もそれに近い感じがしました」
ミワン「苅里、それって誰でも出来るの?」
苅里「誰でもは出来ない。結界って言っても本人達の魔力は僅かに違うしそこに込められた魔力量も違うでしょ?だから同調して入るなら相手の魔力を完全に分かってないといけない。全く縁のない相手がそれをするとしたら結界や魔力に余程詳しい人じゃないと。それに眷属達が向かうまでの時間にタイムラグがほとんど起きてないならそれは余程手慣れた人じゃないと無理だよ」
ミワン「2人は異変を感じて主人に接触するまでどれくらいかかる?」
妻木の眷属「感知してそれからいくつもの段階を含むので最低でも10分はかかると思います」
由羅の眷属「俺もそれくらいです」
苅里「10分…それで相手の姿も気配も感じなかった?」
2人「全く感じませんでした」
苅里「じゃあもっと早く相手は行動に移して姿を消せるんだ。余程詳しいかかなり手慣れてないとそんな短時間で出来ないけど…」
ミワン「苅里だったらもっと早く出来る?」
苅里「その時の状況による。もし妻木か由羅の当時の状況を再現してくれればここで全力でやってみせることはできる。どうする?」
由羅「俺がそれをしよう。大きい広場でやるか」
苅里は頷いて大広間で由羅はそれを行う。
ミワン「かなり厳重なんだね」
由羅「基本外は完全に遮断するくらいまでにしてるからな。良いぞ、苅里」
苅里「分かった。眷属と妻木達は時間の計測とやり方を見て」
苅里は上限開放と言ってその姿になる。
由羅「本当に全力だな。」
苅里「行くよ」
苅里はそのまま由羅の結界や障害を同調させて行っていき、最後に由羅に触れてまた結界を出て通常の姿に戻る。
苅里「はぁ、はぁ…どう?」
息切れを起こしながら苅里は聞く。
ミワン「7分かかってる。眷属達、感覚はどうだった?」
妻木の側近「同調するような入り方は確かに似てました」
由羅の側近「はい、でも苅里様でもこの時間だと言うのは…」
苅里「上限開放しても相手の魔力や結界を分析したり同調させるのだってかなり難易度が高いの。ある程度2人を知ってる私でさえこれだけ力を消費して時間がかかるんだよ。」
息切れをしてる姿すれば確かにそうなんだろうと妻木達も思う。
苅里「これを5分以内に出来るのなんて私知らないよ。こんな言葉を使いたくないけど、それを出来る人って天才だと私は思う。正直言って私がどれだけ訓練してもこれを全部5分以内で出来るようになるのはほぼ不可能だよ。技術が高過ぎる」
ミワン「苅里がそこまで言うなんて…」
由羅「信じられないな」
妻木「苅里以上にそれが出来る奴なんているのか…?」
苅里「出来る相手がいるから2人はこう言う目に遭ったって自覚ある?」
妻木・由羅「……」
苅里「あんたら馬鹿か!」
苅里は怒鳴れば2人はシュン…となっていた。
ミワン「今寝てるニキと秋季どうする?イルキは裏界だけど…」
苅里「眷属達に様子を見てもらいに行くように言ってよ。特に何もないなら出来るだけ寝てて欲しいし…」
由羅「だけど俺達狙われたわけだし絶対に起きないなんて限らないだろ。起こしたほうがいい」
妻木「イルキの方は混沌に行ってもらうか。俺も起こしたほうがいいと思うぞ」
苅里「ミワン、どうする?」
ミワン「しょうがないね。起こすしかないよ。でないと俺次寝れない…」
由羅「そっか、お前ずいぶん寝てないもんな…」
妻木「苅里は200年寝てた時何もなかったのか?」
苅里「何もなかったよ。タイミングの問題なのかな?まあ今は3人を起こさないと。眷属、連絡をお願いしていい?起きたらここに来てもらうようにい言って。混沌、いる?」
混沌「いるぞ、イルキを起こすのか?」
苅里「ちょっとね。本人には悪いけど起こしたらここに来るように言っておいて」
混沌「分かった。」
混沌は戻っていって眷属達はニキと秋季の眷属達に連絡をした。
1時間後、起こされた3人は妻木の屋敷に来て話を聞く。
イルキ「それだったら起こされても不思議じゃないね。由羅と妻木はもう大丈夫なの?」
由羅「薬も飲んだから大丈夫だ」
妻木「ニキと秋季には何も異変はないか?」
ニキ「何もないぞ」
秋季「こっちもだよ。大主を襲うなんてまずないんだけどね。余程でない限り」
苅里「どうする?しばらく固まって過ごす?」
ミワン「それはそれで危ないんじゃない?眷属と離れないように過ごすしかないよ。イルキは混沌がいるし。苅里は?」
苅里「私はキト達がいるから。分身だから何かあればすぐに来れるから」
ニキ「しばらくは眷属と行動するしかないか…。」
7人で話し合った結果そうなって解散となる。
イルキ「裏界にも一応話をしておくよ。」
秋季「分かった。気をつけてね」
苅里「私はしばらく魔界にいるから。またね」
苅里は場所だけ伝えて飛んで行く。
苅里「大事に至らなくて良かった…」
そう呟いて部屋に入ってすぐにキトとシトを出す。
キト「母さんと一緒に行動すればいいんだね?分かったよ」
シト「物騒な事が起きたね」
苅里「早くなくなって欲しいけどね…」
そう言って机に座って書類を見る。