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気が付いたら〜957〜

ネロ「さて、契約はどうする?1つ目と2つ目に同意してくれる?しなかったらずっとこのままだよ。3つ目は保留にしていいから」
苅里「でもどうせ最後には頷くんでしょう?」
ネロ「そうだよ。」
苅里「…分かった、契約する。何をすればいいの?」
ネロ「何もしなくていいよ。今触るけど全部元に戻すだけだから。一瞬印が温かくなるけどもう気持ち悪いなんて起きないよ」
そう言って手を触られて足の感覚が戻って視力も完全に戻って背中の印がほんのりと温かくなった。
苅里「あなたもオッドアイなの?」
ネロ「あ、しっかりと見えるんだね。良かった。そうだよ、俺は生まれつき。君の片目と髪の毛の毛先が変わったのは俺がお揃いにしたかったから。紫は嫌い?同じ赤目と、紫の目が気味が悪い?」
苅里「別に嫌いじゃないけど…。紫なんて魔女みたいだと思った」
ネロ「魔女ねぇ…。魔法が使えて女の子であれば誰でも魔女だと俺は思うけど。それに本物の魔女はもっと露出すごいから違うよ。あいつら寄ってくるけど俺タイプじゃないもん」
苅里「え、本物いるの?」
ネロ「俺出かけるの好きって言ったでしょ?いるよ。明日にでも連れて行ってあげる。…まだ俺に怪我させたい?」
苅里は首を横に振る。
苅里「龍の血かどうかは分からないけど怪我させる気も起きなくなった。それより案内して。」
ネロ「はいはい、案内しますよ…。いきなり強気に出たね」
苅里「怪我させる気はもうないけどまだ怒ってるの。は・や・く!」
ネロ「怒らせた原因全部俺だもんね…。分かりました」
苅里は立ってネロと建物の中を歩いた。
ネロ「建物って言うけど本当は城だからね?そこ間違えないように!」
苅里「へーい」
ネロ「適当に返事しないでよ。面白いけど」
そう言って苅里は中庭やリビング、客室などを見ていく。
苅里「私が休んでいた部屋はどれ?」
ネロ「あそこは俺の部屋♪だって客室遠いもん」
苅里「今日からは別の部屋にしてくれるよね?」
ネロ「どうしよっかな〜隣の部屋ならいいよ。空いてるし」
苅里「…それ、まさか王妃とかが過ごす部屋じゃないよね?」
ネロ「…違うよ。うん、違うよ」
苅里「嘘つくの下手くそだね。もっと離れた場所がいい。隣はやだ。ダメならせめて階を変えて。」
ネロ「同じ階で離れた部屋か、違う階で真下の部屋にするか…。迷うね」
苅里「真下なのは決定なんだ。」
ネロ「だって近いほうがいいもん。分かったよ、同じ階だけど遠すぎるのはちょっとダメだから5つくらい離れてばいい?」
苅里「まあそれくらいなら。」
ネロ「使用人、俺の部屋から5つ離れた部屋を苅里の部屋にしてね。」
使用人「はーい!隣そんなにやだ?」
苅里「こっちの意思が決定してないのに王妃とかの部屋なんて嫌だからね。」
使用人「主、早く頷いてくれるといいね」
ネロ「そうだね。」
使用人に言われてそう返してまた建物の中を散策する。
ネロ「書庫はいつでも入っていいからね。そうしたら敷地を歩こうか。森もあるし湖もあるんだ」
ネロは壁のほうに歩いて開けと言えば壁にいきなりドアが出て開ける。
出て後ろを振り向けばもうなくなっていた。
苅里「どこまでが敷地なの?」
ネロ「今視界に映ってる全部。使用人とメイドが多いのは庭が広いからだよ。俺達は龍の姿になれば敷地が広くなきゃいけないからね。出ないと敷地はみ出るなんて格好悪いでしょ?」
苅里「まあそうかも。」
ネロ「森の方では眷族も暮らしてるんだ。どこに住んでもいいって言ってるんだけどここが一番落ち着くみたい。ほら、龍の里よりも多いでしょ?」
ネロが森に入ってその数に苅里も驚く。
眷族「ネロ、その女性は龍…なのか?混ざってるな」
ネロ「まあ色々とね。将来俺の奥さんになるかもしれない人。ちゃんと姿は変わるから問題ないよ」
眷族「そうなのか?まあこれだけ匂いを出していれば襲う奴もいないだろう。梅の花の匂いだけでもう分かる。」
苅里「そんなに分かる?」
眷族「ああ、分かる。ネロが絶対に手放さないと言うのがハッキリと分かるくらいにな(笑)」
ネロ「だって離すつもりないし。湖は変わらず人気だね。滝のほうは空いてる?」
眷族「ああ、今なら誰も使っていない。水浴びするのか?」
ネロ「まあね。苅里の龍の姿も見たいし。苅里入る?」
苅里「まあ、久しぶりに入りたいかも…」
湖や滝と聞くとどうしても入りたくなってしまう。
ネロにその場所へ連れて行かれて最初にネロが龍の姿になった。
苅里「于露達よりも大きいね…」
ネロ「まあ一族なので(笑)俺人の姿の時はほとんど白髪なのに龍になると体が銀になるんだよね〜。色が時々被るけど大きさでみんな分かるみたいだけどね。後はよく同じ銀でも他とは全く違う銀だって言われる」
苅里「何そのよく分からない表現…」
苅里も龍の姿になるがやはり雌と言うこともあってネロよりも少し小さかった。
ネロ「苅里はもうそのまんまだね。真っ白な体だけど月の光を受ければきっと宝石みたいにキラキラ輝いて良いだろうね」
滝の方に自分の顔を写せば赤い瞳と紫の瞳が写っていた。紫の毛先は龍の姿では反映されないらしい。それはネロもだった。
スリスリ…
苅里の顔にネロが自分の顔を押し付けてくるが邪魔なので尾で顔をバシバシと叩く。
ネロ「痛いよ、頬擦りくらいさせてよ」
苅里「邪魔。視界の」
ネロ「酷い…」
ネロはそう言って器用に自分の尾を動かして苅里の尾を絡ませてきて叩かないようにしてくる。
ネロ「苅里って龍の姿での求愛って知ってる?」
苅里「は?知らないけど…。やらないでよ!?」
ネロはフフンッと笑って苅里の体に自分の体を巻きつけてきて苅里の龍の体をゆるゆるとしめてくる。
苅里「苦しい…」
そのまま体を押し付けられて口と口を合わせられて覆い被せられる。
グルグル…
ネロがそんな声を出して苅里を水の中に入れていく。苅里はもう水と共鳴してないので水に頼まない限り呼吸なんて出来るはずが無かった。
息苦しくなって暴れようとするがなにぶん体を締められているのでもがけばもがくだけネロに更にキツくされて口を離されて顎下を牙で掻くようにされる。
苅里「(なんかムズムズする…)」
心地良くなってきて反抗が少なくなって無意識に甘えるような声が出る。
そこまでされると水の中から出されてそのまま顎や首のあたりをずっと牙ですりすりとされて苅里はされるがままになっていた。
ネロ「(気持ちいいんだね。目を細めてるし(笑))」
そう思いながらしばらくそれをすればやめて龍から人の姿に戻る。
ネロ「人の姿に戻っていいよ。それとも戻りたくない?」
苅里「う…戻る。あれが求愛とか無理っ」
ネロ「そう?気持ちよさそうにして甘える声も出してたのに?」
苅里「!?私出してたの!?」
ネロ「あれ完全無意識だったんだ…。水から出しても時々出してたけど」
苅里はそれを聞けば龍の姿で顔を隠す。余程恥ずかしかったらしい。
ネロ「まああれが龍の求愛行動なの。雌はモテるから次々とされるよ。苅里には俺1人だからそんなことならないけど」
苅里「龍の女性大変…(汗)」
あんなのが絶えず来たら呼吸できなくなってしまいそうだ。
なんとか落ち着くと人の姿になって下を向いてネロと城の中に戻った。夕食まで時間があるのでそれまでは自由に、と言われて苅里は新しい部屋に入る。