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気が付いたら〜944〜

数年後、翼での守り方と攻撃の仕方を4人は学んで実際に父親相手に身につける事になった。
ソルの妻「いつの間にか大きくなったね」
ウルの妻「ほんとほんと。子育てがあっという間」
ギルの妻「でも翼の攻撃と守りを覚えたら次は魔法や戦闘能力の強化でしょ?忙しいわね…」
トキの妻「私たちはここまでしなかったものね。戦闘能力は一定まで持っていけば後はお洒落やパーティーとか趣味の時間だったし…。一族ってだけで強くならないといけないのは大変ね」
苅里「後は戦争を仕掛けられたらの殺し方もあるしね。貴族はそう言うのないでしょ?」
ソルの妻「…戦争を仕掛けられたら相手を殺さなきゃいけないのよね?子供達もそれは必須なの?」
苅里「ここの一族でいるならやらないと。力でやっていかないと力関係が逆転しちゃう。この世界を保つためにも必要な事だよ。最初は出来ないだろうけど…」
トキの妻「苅里もしたの…?」
苅里「今も普通にしてるよ。って言っても私は兄様達と戦い方が違うから。だから私は4人には教えない。子供がそう言うことをして欲しくないのは私も過去にあったから複雑だよね。でもその世界に従うならやらないと。」
そう言えば妻4人は悲しそうにして子供達を見ていた。
ソル「苅里、大分子供達も出来るようになったから本物に近い敵を出してくれる?殺す訓練をしないと」
そう言えば子供4人は顔を背ける。
ソルの子供「そんなのしたくないよ…」
ウルの子供「うん、誰も殺したくない」
苅里「4人はここの一族ならやらなきゃいけないの。戦争を仕掛けられたら殺すか殺されるか。4人は殺される側に回りたい?」
4人「え…」
いきなり聞かれてそれしか出てこない4人。
トキ「生きるためにも一族として生きるならやらなきゃいけないことだよ。子供達が殺される側になるのは俺達も避けたいんだ。よっぽど相手が愚かでない限り仕掛けてこないから」
ソル「他の事なら何をしても良い。でも戦闘能力と殺す術は何がなんでも身につけてもらうよ。最優先事項だからね」
妻達もその言葉には顔を背けて何も言わない。もともとそう言う話は聞いていたがそれを実際に聞くとやっぱりして欲しくないと思ってしまう。
苅里「兄様達が基本教えるけど時間が取れない時は私が教えるで良いんだよね?」
ギル「それで良いよ。殺し方は教えたから後はそれに慣れるだけだから」
トキの子供「苅里、私したくない!そんなのやだよ!」
苅里「悪いけどそれは聞けないよ。統率者の一族なら相手を追い込む術を身につけないといけない。それにその内戦争を仕掛けられる機会があればあなた達は自分のお父さん達と一緒に行ってそれを経験するんだよ?」
ウル「苅里の言う通りだよ。戦争を仕掛けられたら何がなんでも連れて行くよ。」
ギルの子供「そんな…」
ソル「力については一切甘えさせないよ。辛いと思うけどするしかないんだ」
それは明日からするから今日はもう休んで良いと言って子供と妻達を返す。
苅里「で?式出したけど消して良い?結局何もさせないんじゃん。」
そう言いながら式を消して話す。
ソル「あんな表情久しぶりに見たよ。俺達の小さい時と丸かぶりだ」
ウル「父上から無理やり覚えさせられたからね。こればっかりはするしかないよ…」
自分達の子供の頃を思い出しながら遠い目をする兄4人。
苅里「明日から今まで以上に大変になるね。書類は私がするから気にしないで」
ギル「済まないね、頼むよ。」
そう言って翌日から子供4人にとって辛い試練となった。
妻達「苅里、あれは必要なの!?子供達ずっとしたくないって…!」
苅里「前に話したでしょう?必要な事だよ。それを乗り越えれば終わるから」
苅里は妻達に言われるがいつものように返す。
苅里「兄様達だって小さい時ああだったって言ってたじゃない。兄様も教えるのが苦しいの。お互い早く終わらせたいんだから」
妻達はそれを聞けば歯を食いしばって終わるまで待った。
ウル「今日はここまでだよ。明日は苅里から教えてもらいなね」
トキの子供「苅里なら…」
きっとこんな事はしないと思っていたらしいがそれはすぐに消える。
トキ「苅里はそんな酷い事はしないと思った?苅里も一族なんだから平気でするよ。むしろ一番4人にとってはキツイよ。苅里、明日は宜しくね」
様子を見にきた苅里は頷いて翌日は稽古場に行った。
苅里「じゃあ最初に首を刎ねて。兄様達とは私殺す方法が違うって言ったよね?」
ソルの子供「そんなのした事ないよ!相手の首が落ちるところなんて見たくない!」
苅里「見たくないなら目を閉じてでも首を飛ばせるようになりなさい。そうすれば相手の死を見なくて済むよ。」
そう言って4人の前に模型を置いて刎ねろと言う。
4人は武器を持つが震えて何も出来ずに立ったままだ。
苅里「それとも片手で首の骨を折れるようになるなら変更するよ?それが出来るようになったら手足を切り落とせるようにしないと。」
ウルの子供「い、嫌だ…」
トキの子供「したくない!」
苅里「じゃあ無理にでもしてもらう。」
模型を動くようにして4人を襲わせる。
ソルの子供が最初に反射的にやれば模型の脇腹に武器が刺さる。それでも本物はそれで死ぬわけじゃないのでまだ動く。
ソルの子供「ヒッ…」
苅里「そんなんじゃ敵は死なないよ。方法は習ったよね?」
そうは言うが4人とも腰が引けて武器を振り回すだけで模型は避けたりしていた。
苅里「はぁ…」
グシャ!グチャ…。ザクッ!
苅里「そんなの本番なら最初に死んでるからね。10分休憩。」
模型を全部壊してそのまま放置して4人はそれを見る。
模型は出来るだけリアルに、と言う兄達要望だったので中身からは血に似せた赤い液体が出てきていた。
トキの子供「こんなの見たくない…」
顔を背けて顔を青くして4人は震えていた。
ソル達はその様子を見て話す。
ウル「やっぱり苅里のが一番現実に近いね。俺達だったら腹を刺したら止めてたし」
トキ「子供達逃げちゃダメだよ。今はまだ可愛い方なんだから」
ソル「実際は血だけじゃないからね。後になればきっと吐いちゃうね」
ギル「苅里、今日はどこまで持って行くの?」
苅里「最初に言った首を刎ねられるようにはしたいね。相手を一番苦しませずに逝かせられるのはその方法だから。私が最初に覚えたのも首を飛ばす事だった。」
ソル「そうなの?いつから出来るように?」
苅里「いつだったかな…15歳とかかも。今と同じくらいだね」
当時は人間の研究員とその家族を殺していたと話す。
苅里「最初は今みたいに怖かった。でも実際にやってみたらあまりにも呆気なかったのを覚えてるよ。人によっては吐くみたいだけど私はそうはならなかったから。」
ウル「そうだったんだ…。呆気ないね。相手を殺すときはあまりにも呆気ないよね」
ウルはそう呟いて苅里は時間になると稽古場に降りて再開した。
苅里「今日は始めに言ったことを出来るようになったら終わって良いよ。本当はもっと進めいけど4人がそんなに臆病ならそうするしかないよ」
ソルの子供「それが出来たら今日は終わり…?本当?」
苅里「本当だよ。だから早く終わらせたいなら早く出来るようにならないと」
そう言って1人ずつ模型を出して動かしてやらせた。
最初に出来たのは意外にも一番怯えていたウルの子供だった。
ウルの子供「これで…終わり…?」
苅里「XXXはもう終わり。稽古場を出て自由に過ごして良いよ」
そう言えば腰が抜けたみたいでそこにへたり込む。
苅里「ここで休んじゃだめだよ。部屋で休んでね」
そう言って苅里は残り3人を見る。
苅里「3人とも早くないと模型を増やすよ」
3人「!!」
そう言えば急ぎ気味にやって3人は何とかこなす。
苅里「今日はこれで終わり。明日からはまた兄さん達から教えてもらってね。」
トキの子供「なんで首を刎ねなきゃいけないの!?別に心臓を撃ったり別の方法でも…!」
トキの子供は苅里に聞く。
苅里「それは戦争に出れば分かるよ。兄さん達と私の戦いの違いを見ればそれは分かる。」
そう言って苅里は出ていき、3人はどう言うことか分からずそこにへたり込んだ。