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気が付いたら〜891〜

サワサワ…
苅里「ん…」
花に起こされて目を開けると目の前に白い彼岸花がある。触れば苅里に寄って来てベットから起き上がるとその光景にポカーンとなる。
サワサワ…サワサワ…
苅里「へ、部屋中彼岸花ばっかり…。なんで?」
足の踏み場がない程に溢れていて苅里はどうしようと思う。どう言うわけか昨日花瓶に入れていた自分の彼岸花も床に白い彼岸花と同じくらいの数で一緒に溢れて咲いていた。
苅里「間違えて踏んでも悪いし…。道を開けてくれる?」
そう言うが道を開けるどころか苅里に寄って来てベットの上まで上がってこようとする。
ゼノ「彼岸花、外に帰りなよ。苅里がベットから降りられないじゃん。」
いつからそこにいたのかゼノが壁におっかかってそう言う。
サワサワ…
ゼノ「赤い方もだよ。競うように勝手に増殖しないで領域に帰って。主人を困らせてどうするのさ。」
そう言えばどちらの彼岸花もスゥ…っと消えて行った。
ゼノ「済まないね。起きてあの光景は驚いただろう。悪気はないんだ。赤い彼岸花は苅里のだったね。」
苅里「そうだけどなんであんないきなり増えてたのかは分からない…。」
ゼノ「きっと白い彼岸花が花瓶の中にいるときに挑発したんだろうね。一緒に入れたからそうなっただけだから苅里は悪くないよ。さ、着替えて朝食にしようか。それが終わったら別室に人も用意するから食べると良いよ」
苅里「そこまで知ってるの?」
ゼノ「まあね。でもその捕食衝動に対して俺は嫌な思いなんて抱いてないから気にしなくて良いよ。みんな食べるものが違うだけだからね」
そう言って先に行ってると言って部屋を出て行った。
苅里は店に入っている服を着てリビングに行って2人で食べてそのあと人を2人食べて片付けるとゼノが別の場所に行くと言うのでついて行った。
ゼノ「別に飛んでも良いけどまだ時間があるから歩いて行こうか。途中で周りの景色も変わるから楽しむと良いよ」
そう言ってゼノと歩いて向かうと境らしい所を越えるとガラッと景色が変わる。
苅里「なんか建物が増えてヨーロッパ風になった…」
ゼノ「それぞれの場所によって変わって行くんだ。ここを越えるとまた変わるからじっくり見ると良いよ」
苅里はその景色を見てまた境を越えると今度は水の都となって絶えず数が流れていて途中魚が跳ねていたりしていた。そんな感じで境を越えるごとに景色は変わって苅里はそれをじっくりと見ながらその場所まで向かっていた。
苅里「え…この場所って…」
来たことのある場所で苅里は止まる。どう見てもここは特の招待があったときに使用した建物だった。そしてゼノとゼンと初めて会った場所でもあった。
ゼノ「君と初めて会った場所だね。入ろうか」
そう言われてゼノについて行って一番奥の部屋にいく。前に入った会場ではなく、丸いテーブルに椅子が20だけある真っ白な空間だった。そこにはすでにゼンが座っていた。もちろん酒瓶を床に転がして蓮をテーブルに置いて。
ゼン「ここまで飛ばなかったのか?」
ゼノ「時間があったから歩いて来たんだよ。景色を見るのも良いと思ってね。他は?」
ゼン「もう来てるがあの2人が隠れんぼを始めてそれに付き合ってる。時間までには帰ってくるだろう。苅里飲むか?そこに待機してる式に言えば酒以外も持ってくるぞ」
苅里「お酒は今は飲まない。コーヒーをお願い」
ゼノ「俺もお願い」
式はそれを聞くと部屋を出て行った。
20分後、バンッ!と大きい音を立てて誰かが入ってくる。
男性「隠れんぼやっと終わった〜。2人とも隠れ上手だよね」
2人「当たり前じゃん!あ、ゼンとゼノだ!その子が話にあった子?カミュそっくり!」
苅里「カミュ?」
誰だろうと思い聞き返すと誰かが咳払いをする。
男性「2人とも、苅里が戸惑うからその話は今はなし。良いね?」
2人「はーい…」
返事をすれば2人は隣同士に座って他の男性、女性も座って行く。
椅子は20あったが自分も含めて全ての椅子が埋まる。
女性「不安に思わなくて良いわよ。全員あなたの敵じゃないから。ゼノもよく見つけたわね」
ゼノ「隠された世界の主と何度か同伴してたみたいだからそれでね。もう向こうで存在を認識されなくなって来てたから意思確認をして連れて来たんだよ。苅里はこの建物に来たのは2度目だけどこの場所は初めてでしょ?」
苅里「初めて…」
そう答えてゼノは次に衝撃的なことを言う。
ゼノ「俺達は君達の言う特だよ。知ってるよね?ランクの1番の上だって。君は俺達の一族の1人だよ。一族は俺も苅里も含めてこれで全員なんだ。本当は20人なんだけど一時期19人になってしまってね。君が来てまた20人に戻った。喜ばしい事だよ」
ゼン「一族って言っても血の繋がりとかそう言うのはないぞ。でも全員家族みたいに仲はいいから怯えなくていい。時々喧嘩はするけどな」
苅里はその事実に言葉をなくすがそれを流されて次々と名前などを言われて頷いたり返事をするしかなかった。
ゼン「一気に言っても混乱するだけだけどな。顔と名前が一致するまで何回かそいつらの場所に遊びに行けばいい。」
苅里「うん…」
ゼノ「これで話は終わり。はい、解散」
ゼノがそう言えばみんな椅子から立ち上がって仰々しいの苦手〜と言って苅里のところに来ていた。
ルノ「ねぇ苅里隠れんぼしよう?俺とルキは隠れんぼが得意なんだ!」
ルキ「ねぇしよう?」
ゼン「お前らなぁ…さっきしただろうが。それに苅里はまたなったばかりで扱えないんだ。そんな状態でお前らを見つけるとかほぼ不可能だ。するならそれが出来てからになれ」
メウ「それが最優先ね。苅里、このまま私のところに来てお茶を飲みながら教えるわ。こっちにこない?」
苅里「いいんですか?」
メウ「良いわよ。それに私たちに敬語のさん付けも必要ないわ。ほらいらっしゃいな」
そう言われて手を引かれてその場所を出ていく。
ゼン「メウが教えるなら大丈夫か。ゼノ、いつカミュに戻すんだ?」
みんなその答えを待つ。
ゼノ「扱えるようになったらで良いでしょ。それとゼン、自然の方はなんとかしてね。君が作ったものなんだから」
ゼン「へいへい。カミュに戻ってもそのまま使えるようにしておく。苅里の記憶とか諸々はどうするんだ?」
ゼノ「それは抜いて何処かに保存すれば良いでしょ。出来るよね?ネア」
ネア「もちろん出来るよ。記憶だけ俺の本の中に保存しておくから。魂の方はどうするの?」
ゼノ「それはもちろん俺が隠すよ。俺達は元々魂なんてないんだから。消滅させるのももったいないから匣にでも入れて封印しておくよ。」
ルキ「なんだ、じゃあ問題ないじゃん。カミュ戻って来て良かった〜。ゼノが一番嬉しいでしょ?お兄ちゃんだもんね」
ゼノ「そうだね、可愛い妹が戻ってくるからこんなに嬉しい事はないよ。」
そう言って本人とその場にいないメウ以外はニッコリと笑っていた。
数週間後。
メウ「扱えるようになるの早いわね。もうほとんど大丈夫ね。まだ不安な所はある?」
苅里「大丈夫だよ。メウありがとう」
メウ「これくらいいわよ。ルノ、隠れんぼはまだダメ。ルオも」
ルノ・ルキ「早くしたい!」
メウ「まだよ。苅里、もう大丈夫だからゼノのところに戻る?それとも2人の場所に遊びに行く?きっとまた体力切れになるけど」
苅里「遊ぶのは楽しいからそれぞれ遊びに行ってくるよ」
ルノ「じゃあ最初俺のところね!水で龍を作って遊ぶんだ!」
ルキ「その次は俺のところ!何しよっかな〜♪」
2人はルンルンと楽しそうにして苅里を連れて行った。
その日の夜、苅里は眠るとゼン、ゼノ、ネアが苅里に触れてそれぞれ行って行く。
ネア「結構な量だね。ラウガだったりいろいろ残っても良いでしょ?カミュも分かってるだろうし」
ゼノ「別に良いよ。いろんな力が使えるのは良い事だし。人を食べるくらいどうでも良いからね。」
ゼン「自然はこのまま使えるようにするが他の自然とも交流できるようにしたままでいいか?」
ネア「まあいいんじゃない?相手が多い方がこれからも楽しいよ。」
そう話して3人は苅里と言う記憶と魂を取って自然や血や力はそのままにした。