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【古】事業再構築補助金第12回公募レビュー(1/3)

※この補助金の第12回公募は終了しています。

【以下掲載時原文】
ども、ならなすおです。
今回、法人さん向けの情報になります。

大型補助制度「事業再構築補助金」の第12回公募情報が公開されました。
応募期間は、4月23日(火)~7月26日(金)です。

本稿では、初めてこの補助金の情報に触れる方を想定し、じっくりレビューします。
書いてて長くなり過ぎたので、3回シリーズにします。
それでもなげーっす。
第1話だけで約5,500字です。

第1話 概要・事前準備・予備知識
第2話 募集枠と特徴
第3話 申請書類と審査

事業再構築は、中小企業さんのビジネスモデルを転換する「大きな変革」です。
リスクの高いチャレンジです。
じっくり検討しましょう。
私は、悩み抜いて、暗中模索ながらも新たな道へ踏み出す企業さんが大好きです。
めっちゃ応援したいです。
心から、そのチャレンジが成功して欲しいです。

事業再構築補助金の公式サイトはこちらです。

ときに、補助金申請に当たり、非常に高額なコンサル料を請求する経営コンサルがいるようです。
企業さん、コンサルを使う際は、注意しましょう
私は、「ウチは安いんで使ってね」とかは、口が裂けても言いません。
御社の悩み、社長の思いに寄り添い、最善の道を一緒に探してくれるコンサルを見つけてください。

またまた導入に多大な字数を使っちゃいました。
申し訳ない。
それでは、本編GO!


(1)大まかな制度概要

超ざっくり書きます。

①使える企業

・中小企業か中堅企業
資本金や従業員数が一定の水準より少ない企業を中小企業といいます。
経済産業省系の制度の場合、おおもとの基準は、「中小企業基本法」という法律に定められています。
この中小企業に加え、もう少し大きな中堅企業(資本金10億円未満、従業員数2,000人以下、など)も対象です。

・事業を再構築する
思い切って新しい取組をして、それを会社の全事業の10%以上の売上だったり15%以上の付加価値(営業利益+減価償却費+人件費)を占めるまでに成長させる必要があります。

・成長する
付加価値額(営業利益+減価償却費+人件費)を年平均で3~4%以上成長させる必要があります。

・人件費を上げる
成長分野では、給与支給総額を年平均で2%以上増加させる必要があります。

・条件を満たす拡大市場若しくは縮小市場に属している
市場環境が「企業に変革を迫っている」状況であることを説明します。

②補助上限

次回説明する「枠」によってまちまちです。
拠点整備(大きな投資)を行う「サプライチェーン強靭化枠」では、上限は5億円です。
それ以外の枠では、中小企業者の場合、従業員数規模に応じ、500万円~1億円まであります。

③補助率

これも枠によってまちまちですが、中小企業者の場合、概ね1/2~2/3です。

(2)事前準備

事業再構築補助金の申請準備に入る前にやっておくべき「下準備」があります。

①メインバンクに相談

まず、補助金は、やりたいことの満額補助(10/10)される訳ではありません。
事業再構築補助金では、補助率は、1/3~2/3です。
つまり、やろうとしていることに係る経費の、2/3~1/3は、自社で払わないといけません
実際には、消費税が補助対象外だったりするので、もっと自社負担分は増えます
これらの経費を会社の貯金(内部留保)で賄わない場合、銀行さんからお金を借りる必要があります。

次に、補助金は基本的に、対象となる事業が終わってから、事後的に振り込まれます
つまり、対象事業関連の経費は、補助金として入金予定の分も含めて、立て替えて払っておかないといけません
立て替えておくお金が会社にない場合、一時的に銀行さんからお金を借りておく必要が出てきます(「つなぎ融資」と言います)。

事業再構築補助金は、額が大きいので、ほとんどの企業さんは、メインバンクさんのお世話になると思います。

まず、やろうとしていること、今やりたい理由などについて、メインバンクの担当者さん、額によっては支店長さんの了解をもらってください。

メインバンクさんは、御社の経営状況(売上の水準、経費の多寡、借入金の規模の適切性など)を把握していると思います。
そのうえで、応援してくれる場合は、「金融機関確認書」というのを出してくれます

全ては、そこから始まります
のっけから厳しいことを言いますが、銀行すら説得できないような事業計画で、事業再構築補助金にエントリーしない方がいいです
「いや、銀行の担当がアホやから」という人がいるかも知れませんが、私はそんなアホな銀行マンには会ったことがないです。もし本物のアホだったらその人の上司と話をします。
銀行が分かってくれないケースは、往々にして、御社の検討が足りていないか、説明が足りていないかのどっちかです。
私は、「銀行への説明」の段からお手伝いします(ここ、もちろん無料)。
一番大事なとこです。

②認定支援機関に相談 

銀行から「金融機関確認書」をもらわない場合、国が「ここは支援機関だよーん」と認めた「認定経営革新等支援機関」から、事業計画を見たという「認定支援機関確認書」というのを出してもらう必要があります。
「認定支援機関ってどんなとこ?」という例を下に示します。

A.金融機関が認定支援機関
まず、銀行さんが認定支援機関である場合がほとんどです。
銀行さんに相談するんなら「金融機関確認書」をもらえると思うので、「認定支援機関確認書」云々の話は不要です。

B.加入している商工会議所、商工会が認定支援機関
商工団体(商工会議所、商工会、中小企業団体中央会など)に加入している場合、そこが認定支援機関で、経営指導員さんが事業計画策定を応援して「確認書出し」をしてくれる場合があります。
その場合は、商工団体さんにお願いします。

C.都道府県に一つある「中小企業支援センター」
商工団体以外に、都道府県に1つずつ、「中小企業支援センター」というのがあります。
わかりづらいんですが、組織の名前は都道府県によって違い、大分県の場合は、「(公財)大分県産業創造機構」が中小企業支援センターです。


[都道府県・政令市の中小企業支援センターリスト]

https://www.chusho.meti.go.jp/soudan/todou_sien.html


ここは、大体事業計画作成を手伝ってくれますので、「確認書出し」もやってくれます。
私は、ここのOBです。

経営指導員さんや支援センターのスタッフに事業計画の策定サポートを受けると、無料です。
時に、「民間コンサルより優秀な担当」に出会うこともあります。
そうなったら、ラッキーですよね。
有料の民間コンサルを使う必要、ないです。

D.コンサルが認定支援機関
商工団体や支援センターの優秀なスタッフさんが忙しくて頼めない、とか、頼める人がいない、という場合、民間コンサル等の活用を検討します。
民間コンサルタントで経験豊富な所は、認定支援機関だったりします。
その場合、そのコンサルタントさんで確認書出しをやってくれます。

地域の税理士さんや中小企業診断士さんが、認定支援機関になっています。
下記が、公式の認定支援機関検索システムです。

[認定支援機関検索システム(中小企業庁公式)]

ちなみに、私の場合、サラリーマン時代の経験は豊富なのですが、会社としては経験が浅いので、まだ認定支援機関になってないです。
私のようなコンサルに頼む場合は、金融機関や商工団体、支援センターなど、正規の確認書を出してくれる方々に、事前に「コンサルを使う」と言っておきましょう。

「怪しいからやめとけ」と言われるかもしれません。
その場合は、やめときましょう
金融機関、認定支援機関あっての補助金申請です。
どんなに優秀なコンサルがいたとしても、そこだけに丸投げすることはできないです。

私、そこそこキャリアがある方だと自負していますが、大分県内企業からの依頼しか受けたことがないです。
金融機関さんや認定支援機関さんとのやり取りをスムーズに行えないからです。

③gBizIDプライムアカウントの取得

補助金にエントリーする際、電子申請のパスポートともいうべき、「gBizIDプライム」というアカウントが必要になります。
このアカウントを作成するには、郵送の場合は法人の印鑑証明書(法務局で取ります)が必要になります。
郵送だと、アカウントができるまで1週間以上(2週間くらい)かかります。
スマホでマイナンバーカードの読み取りを行える方は、「オンライン申請」というのができるようです。オンラインだと即日アカウントが作れるようです。
事業再構築補助金のみならず、gBizIDはいろいろ使えるので、この機会にアカウントを作成してください。

[gBizIDのサイト]


(3)そもそも事業再構築って何?

この制度で言う「事業再構築」とは、ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するための、新市場進出、事業・業種転換など、思い切った事業の路線変更、挑戦です
6つの類型があります。
最初の3つ(新市場進出事業転換業種転換)は、「日本標準産業分類」という産業分類に変更があったかどうか、で分かれます。

日本標準産業分類、リンクを示します。


[日本標準産業分類リンク]


①新市場進出

これまで扱っていなかった製品、サービスを提供し、新たな市場に進出する挑戦です。
新市場進出の場合は、日本標準産業分類に変更がないです。
挑戦した分野で会社の総売上の10%、若しくは総付加価値額(営業利益+減価償却費+人件費)の15%以上を占めるように事業を育てる必要があります。

下図が例です。
機械部品製造から、自動車部品市場に進出します。

筆者作成


②事業転換

新しい取組が、既存事業と、日本標準産業分類の「細分類」から「中分類」ベースで異なっている場合は、「事業転換」と言います。

下図が例です。
日本料理店から、焼肉店にチャレンジします。

筆者作成


③業種転換

新しい取組が、既存事業と、日本標準産業分類の「大分類」ベースで異なっている場合は、「業種転換」と言います。

下図が例です。
印刷用機械の製造工場を、インターネットデータセンターにします。

筆者作成


④事業再編

新市場進出、事業転換、業種転換する際に、組織改編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)を伴う場合は「事業再編」類型になります。


ここまでの4類型が、「拠点整備ナシ類型」です。
以下の2類型(国内回帰、地域サプライチェーン維持・強靭化)は、「拠点整備アリ類型」です。

⑤国内回帰

海外で製造、海外から調達している製品について、先進的な国内生産拠点を整備する場合です。
国内に強い製造工場を新設する件(拠点整備アリ)なので、投資額が大きくなります
補助金の限度額の大きい「サプライチェーン強靭化枠」に属する類型です。



⑥地域サプライチェーン維持・強靭化

地域ごとに、主力となる産業や製品があると思います。
大分県だと、自動車、電子・電気、機械、造船、医療、エネルギー、農林水産、芸術文化などです(まーほぼ全部です。)

地域の特色ある産業を支援して、地域経済を浮揚するため、国は、「地域未来投資促進法」(正式名称は「地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律」)という法律を作り、それに基づいて都道府県が「基本計画」というのを作っています。
そこに、「うちの県の主要産業はこれです」と書いています。

以下、大分県の例を示します。


[大分県の基本計画]


大分県の主要産業
【出典】地域未来投資促進法における大分県基本計画の概要より抜粋

この基本計画に載っている主力産業に関係があり、地域のサプライチェーンにおいて必要不可欠で、「不足したらやばい」という製品、サービスについて、先進性を有する国内生産拠点を整備する場合、この類型になります。

「サプライチェーン」という言葉の補足です。
例えば、自動車関連産業をイメージしてみましょう。
部品の製造、組立て、内蔵ソフトウェアの設計、部品の運搬など、いろんな企業さんが関わって、自動車というのは出来上がっています。
そういった関わりの事を、ざっくりいうと「サプライチェーン」といいます。

「地域サプライチェーン維持・強靭化」とか言うと、えらく難しく感じるかも知れませんが、「基本ほとんど全部当てはまる」と思っていただいていいと思います。
事業の成長には理由があって、結構な確率で地域経済と関連しています
その関わりを読み解いていくと、何かしらのサプライチェーンとの関連を見出せるはずです。
大分県の「主要産業」、何であんなにたくさん書いてると思います?
県経済の成長を引っ張っていただいている企業さんを、「1社たりとも置き去りにしない」ために知恵を絞りまくったからです。
「何でもありじゃん」と思われるかも知れませんが、「成長の可能性のある先は全て拾える制度にする」という大分県型のアプローチ、私はアリだと思います。
少なくとも、個人や小集団の狭隘な思考で成長分野を限定するようなやり口よりは、遥かに。

この類型も、国内に強い製造工場を新設する件(拠点整備アリ)なので、投資額が大きくなります
補助金の限度額の大きい「サプライチェーン強靭化枠」に属する類型です。

(4)おーい、磯野!(なかじめ)

いやー、書きたいこと全部書いたー。
お付き合いいただき、ありがとうございます。

ここまでで言いたかった事をまとめますね。
・金融機関、認定支援機関を大切に。
・リスクを伴うチャレンジが必要な件です。
・じっくり考えましょう。
 お金ありきで進めると、多分後々後悔します。

締切が7月26日なので、少し悩む時間があります。
悩むべき時は、しっかり悩みましょう。
その悩みに付き合うのが、金融機関であり、認定支援機関であり、コンサルです。

次回は、公募されている「枠」ごとの説明を重点的にやっていきます。

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