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【L2開発】まず最初の計画

ネタバレ度「高」

これからLA-MULANA2の開発秘話を書く。NIGOROはチーム開発だが、ここで書くのは俺担当部分のみ。主に構想やら世界観やらが中心になる。大雑把にいうと「どうやって、どういう流れでLA-MULANA2は構想されたか」って話になります。Unityでどうやって実装したとか、技術的なことはあまり書かないと思う。
探索ゲームのお話作りやマップ作り、世界観構築の一例として見るもよし、構想段階で消えたネタも含めてLA-MULANA2の情報をもっと知りたいと思って読むもよしです。

ゲームの初期構想とは

続編とはいえ新作だ。前作と同じようなゲームって部分は決まっているが、ここから何を乗せていくか、何を変えていくかがゲームの完成まで引っ張る重要な部分になるなる。責任重大。でもこの段階がゲーム作りで一番楽しいの。
ゲーム製作でこの最初の構想を考えるのがディレクターとかいう役職になるのかな。これが大きな会社とかチームなら、ディレクターの初期構想をそれぞれの専門であるデザイナーやプランナーが具体的なものにしていき、プログラムを作るための仕様書が書けるものにしていく。これがインディのような小さなチーム、特にウチのようなディレクターとデザイナーが同一人物という状況だと、結構具体的なところまで形にしておかないとバラバラなものが出来上がってしまうのだ。

例えば「前作よりジャンプ操作を快適にする」と言うのは簡単だが、ゲームにするためプログラムしようとすると、「ジャンプ過程のどの段階から左右操作を受け付けるのか」「ジャンプ後の左右操作でどの程度補正させたいのか」「2段ジャンプの挙動まで影響するのか」などなど、仕様を決められるぐらい、プログラマに質問されたら答えられるぐらいまでは考えておかないとダメなのです。もしプログラマがこちらの意表をつく素敵な質問をしてきたなら、「うーん、そこは実際に作って操作してみて議論しようか!」などと、さも良いことを言っているような受け答えをしなければならないのです。

俺の場合はノートなどに絵やテキストで書こうとしてもいまいち表現できないタイプ。頭の中で妄想したゲームが動いている絵が思い浮かべられるようになったらイケるタイプです。本当ならこう言うのを文章化なりして誰にでも伝えられるようにするべきなんでしょうが、ボクはそんな立派な大人ではありません。書類化したところで頭の中のイメージがズレて受け止められることの方がほとんどなのだ。

まず舞台はどうするよ

さて、具体的にLA-MULANA2の初期構想に踏み込んでいく。
事の始まりはLA-MULANAリメイクのWiiウェア開発前になる。当時のパブリッシャーから、MSX風のまま前作を移植し、シナリオ切り替えで続編が遊べるようにと言う要望からだ。WiiウェアでわざわざMSX風のまま開発する気などなかったので要望は断ったが、この頃からLA-MULANA2のシナリオ自体は考え始めていたのだ。

問題はLA-MULANAはそれ単体できっちり物語が終わっている事だ。だって全ての人類の生みの親、全ての文明の雛形っていう存在を倒しちゃってるんだよ。それ以上上の存在って何があるのさ。
続編ということは前作と同等かそれ以上のボリュームが必要だ。ラスボスの体=マップ全体だったからな。今作もラスボス=マップが前作と同等の存在でなければならない。前作が母だから続編は父か?なんてコメントを見たことがあるが、母と呼ばれてはいても生殖で増えているわけではないので、オスメスのつがいがあるわけではない。設定というかLA-MULANA内の伝承としては「父=地球」ぐらいに考えてたので。
LA-MULANAの開発中にあれやこれやと考えて、最終的に「母の体の複製」という考えに至ったのでしょう。それでも随分早い段階で決めたはず。LA-MULANAは翻訳のために随分早い頃から全テキスト出せと言われてたはずなので、その頃には「9の子の心、0の体に入れる」ってテキストにしてあったから。
「逆さまの樹」の壁画も取り込んでいることから、母も9の子も「頭が下」って設定にしてある。なんで逆さまかというと、宇宙から地球に落ちてきたんだから頭から突っ込んでるだろうという程度のこと。

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