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だうやつて、こんなお話ができたのかしら?

見てくれの派手な部分は一通り解説したので、ストーリーの解説をしましょう。


本を読まない人間ですから

ストーリーといっても、なぜあんなストーリーを思いつくのか?と言う話ではありません。どうしてこういうストーリーになるのか、挿絵になるのかという理由です。そっちの比重がでかいので。
薔薇と椿のストーリーを気に入ってくれる人、さらには「こんなストーリーよく思いつくな、天才か。」とか「言葉選びが素晴らしすぎる。」とかいってくれる人もいるんですが、私はそんなこと微塵も思いません。文章はアマチュアだと思ってます。

なにぶんにも、本を読んでないんですよ。漫画ばっかり。文学や小説とか全然。中学の時、朝の事業の前に読書タイムってのがありました。本を読む習慣をつけさせようというものでしょうな。活字の本を各自で持ってきて読みなさいと。
俺はというと、ガンダムとかロボットアニメの小説版とかグインサーガとか読んでました。まぁ子供ながらに「絵がないとこう言うところも文字で説明するんだなぁ」ぐらいは感じてましたよ。

「ケーンは女の子のお尻がこんなにも柔らかいものだと知った」みたいな。
こんなの書くかね。まぁ書かないと伝わらないわな。
「マイヨの手の中で時代が砕ける音がした。」独裁者の子供の首を絞めるのをこんな書き方しますか。文学ってやつですね?
「どいてくれ、ベルトーチカのあごは尖って痛いんだ。」あ!女が上に乗ってたんだな?ふむふむ。ベッドシーンの表現だな!深いね!

まぁ中学男子が覚えてるのはこんな描写ぐらいのもんですよ。だから文章を書く上でのテクニックとか、同じ意味で難しい漢字を使う単語とかさ。知らないの。俺の中の文章の引き出しは漫画だけだ。上手い文章なんて書けるとも思ってません。と言うよりこんなレベルで文章の良し悪しとか語る方がプロに失礼ってもんですよ。

ゲームから考えるシナリオ

では薔薇と椿のストーリーはどのように考えたか。考えたというか、こうなる他なかったというか。
前の記事で書いた通り、少女漫画的な世界観で行くことは決めてます。女の身内のドロドロで行くこともね。それよりも先に、自分はゲームデザイナーです。自分の世代でゲーム作る人ってのは何よりもシステムを大事にするんですよ。ストーリーは後です。まずはゲームとしての仕組み。そこはプログラマがやることだから、俺の方はどういう構成にするか。どんな敵を出すか、どんな順番で出すかを考えるわけです。

こんな具合に、まず書き留めてるのがこのラフですよ。どんな敵キャラを出すか。
沙織と静香は女の身内ってことで次女・長女ってのは決まりです。それ以降は敵キャラとしてどんなヤツが出ると変化が出るかという考えから生み出すんです。

沙織はもちろんチュートリアルです。一番オーソドックス。そうなると、次のステージはオーソドックスの上に少し違う動きをつける程度です。静香には2回攻撃を持たせます。ここまでの流れで次に変化をつけるならパワー型です。体力多め、でも動きは遅い。そこから腕の太いキャラ、三田のイメージが出来上がります。なんで家政婦にしたかは思い出せない。多分、この時点で「家政婦の三田」って思いついちゃってたんでしょうね。

パワー型がきたら、次はトリッキースピードタイプです。三田の逆ですね。細いキャラ、身内モノで残ってるのは義母ですね。そしてラスボスは今までの4人よりも遥かに強くなければならない。攻撃手段すら度肝を抜かないと。この時点では身内なのかどうかすら考えてないでしょうが、薔薇と椿のタイトルからして、敵のラスボスの名前は椿じゃないとな!ということでメンツが決まるんです。
わかりますかね、ストーリーが先じゃないっていうの。これはのちのシナリオも同じです。誰が出てどんな話かよりも、敵キャラとしての順番が大事。

敵が決まればお話も決まる

ここまで決まったらストーリーを考えます。SNSなんかでちょいちょい答えてますが、深い考えもなく作ってますよ。その場のノリです。本当に。だから文章やストーリーを褒めてはいけません。本人のためにはなりませんよ。

いらない要素は最初から排除

これなんかは典型的。うちのゲームで大事にしているというか俺のこだわりでもあるんですが、ゲームならではの表現、ストーリーの見せ方を考えたいんですよ。
薔薇と椿はどうしても文章でストーリーを見せるしかないから文章を書くんですが、それでも我々のこだわりは見せたい。我々が見せたいのはゲームだ。薔薇と椿でいうなら戦闘部分だ。見せたい、遊んでもらいたい戦闘部分に至るまでのストーリーが何ページもだらだらと続いてはいかん。1ページに4行、複数のキャラのセリフも混ぜることができるFlash版ではストーリーデモは4ページまで!それ以上ダラダラ書かない!
つまり玲子が結婚してから旦那との話とかどーでもええねん。冒頭から死んでろ!これは女の戦いなのよ!

そして全シナリオの中では一番まともな、一番最初に作ったシナリオ1でさえノリがおかしいのは何故か。一応キャラを考えて、そのキャラが何故どのように絡むかぐらいは考えますよね。沙織なら生意気だから絡むとか、静香なら沙織に泣きつかれてとか。どのキャラも入りは考えてストーリーを作ろうとしてるんですよ。でも4ページで戦闘にならないといけないんです。どんな相手でどんな理由で絡んでこようが、結局はおビンタバトルするんです。
だもんで最初の2ページぐらいでは割と自然な会話のやり取りはすれども、残りの2ページで無理矢理にでも戦う流れにするんです。つべこべいうなと。
その結果、主人公の玲子の言ってることが一番おかしいお話になるんです。静香の言ってることの方が正しい。意味のない暴力が椿小路家を襲う。

少女漫画がないなら少年漫画にすればいいぢぁない

そしてストーリー構成に関してもう1つ。先にも書きましたが、少女漫画のノリにしようとしたけども引き出しが空っぽなので少年漫画になっちゃうってやつ。これは主に後半2ページの無理矢理戦闘に持っていく過程で現れがちです。
三田戦以降はほとんどこんなノリでしょう。三田なんて家政婦が戦う理由なんて全くない。でも少年漫画的に「ヤツを倒すには俺様に勝たなければな!」のノリなら戦わせることができる。なんだよ開かずの間って。なんだよ伝説の薔薇の嫁って。

一番最初に考えたシナリオ1はこんな感じです。その当時は続きを作るなんて考えてませんからね。なんでもいいんですよ、最後の相手と戦う理由なんて。たたむつもりもない。投げっぱなし。世界観を広げるつもりもないし。

だうして天井にゐるのです

手持ちの天井画像に張り付かせるにはこのポーズしかなかった

シナリオ1に関してはもう1点、なんで三田が天井にいるのかの話をしておきましょう。
これもストーリーやキャラ付けという意味から出てきたわけではないです。映像を作るものとしての判断です。

当時Flashゲームで大きな絵を動かすのは大変だったんですよ。動作が重くなるんですね。だからFlash版のキャラクターはドット絵として描かれてて、色数を少なくして圧縮率を高めてるんですね。アニメもほとんどしないし。
インターネットの速度もまだまだ遅い時代ですから、容量も気にしなければ。メインでもないストーリー部分に大きな絵を何枚も使うわけにはいきません。主人公はタイトル画面の立ち絵、敵キャラは戦闘中の通常ポーズの絵を使い回します。

容量が軽くなるのはいいですが、映像として見ると変化がなさすぎます。シナリオ1ではどうしても専用の1枚絵でしか表現できそうもないもの、机の上の薔薇・椿小路家女たちのシルエット、開かずの間、開くドア、エンディングぐらいは特別な絵を用意しました。それ以外は会話シーンは使い回しの立ち絵だけです。
今の時代になっても、スマホなんかではキャラの立ち絵が暗くなったり引っ込んだりするだけの会話処理ってありますよね?俺たちはあれが嫌いなんですよ。時代も進んでるんだから、もっとなんか表現方法あるだろ?って。

とはいえ当時は容量の厳しいFlashゲーム。せめてもの変化として主人公・敵がわで部屋に立っている位置が違うとわかるように背景をずらすぐらいのことはします。Flash版シナリオ1は瞬きすらさせてなかったはず。このままだと見てる人の視線が、玲子が喋る、敵が喋るで、右、左、右、左としか視線が動かないんですよね。映像を作る身としては、なんとかこのリズムにも変化をつけたい。
せめて3人目ぐらいで変化をつけないと飽きられる。家政婦は見たってぐらいだから奥から登場させるか?いや、奥からの登場は華江でやる予定だ。じゃあどうする?下から?床から出てくるのか?どうやって?下が無理なら上から?天井に張り付いてるならまぁ出来るか?フランス旅行に行った時の写真に天井なんてあるかなぁ……あった。イケる!
こんなノリでああなったんですよ。シナリオ2からはもう天井から出てくるのはデフォルト。出方を変えるだけさ。

遊んだ人からすればどうやってあのストーリーを考えたのかを知りたいでしょうが、以後のシナリオも全て同じ流れで作ってます。
伏線とか流れとか考えて計画して……なんてものはありません。全部一発書き。その場のノリだけで直しもしない。

手書きの一発書きシナリオ

なもんで、これから各シナリオの作られた経緯を書きますが、同じ流れの繰り返しになるので過程はすっ飛ばして短くなります。ここまでで大体話終わってるのでここから有料にさせてください。

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