SNSの怖さを露わにした映画『SNS 少女たちの10日間』

監督:バーラ・ハルポヴァー、ヴィート・クルサーク

原案:ヴィート・クルサーク

出演:テレザ・チェジュカー、アネジュカ・ピタルトヴァー、サビナ・ドロウハー

字幕翻訳:小山美穂

字幕監修:牧野ズザナ

配給:ハーク

配給協力:EACH TIME

2020年/チェコ/チェコ語/ビスタ/原題:V síti/104分


~感想文~

いろんな意味を込めて、気持ちの悪い映画でした・・・。
そこらのホラー映画よりある意味怖い。(いや、ホラー映画見ないんだけどね)

日本で言うところの童顔の女優3名に、12歳という設定で偽アカウントを作りSNS上の反応を見るというリアリティーショーが元となっているドキュメンタリー映画。
まだ判断能力が未熟な子供たちがSNSを使うということは、こんなにも危険なんぞぉ~という恐ろしさが十二分に伝わってきた。
私は途中、生理的な現象なのか頭がぞわぞわしてました。


己の欲望丸出しのこわい人達がネット上にはたくさんいるから親も子供も気をつけないといけない!という注意喚起の側面と、もう一つは、SNSのサービス提供者が制御していないことへの問題提起を訴えている。


観ていて感じたのは、欲望をむき出しにしている男性達は、ネット空間では好き勝手に振舞っているが、人目のあるカフェにいる時には普通のそこらの人となんら変わりなく見えること。むしろちょっとおとなしいくらい。
お互いの部屋で画面越しというある種の密室空間が、彼らを増長させるのだろう。
まだまだ無知な子供を狙うのは悪質としか言いようがないし、彼らはあの楽しみ方を自分の意志で変えることができるのでしょうか?なんの根拠もありませんが、きっと非常に難しいと思います。
こういったリアリティー番組のように、世間の目に晒すことでやめられる人もいるのかもしれませんが、少数なのではないでしょうか。

ではどうしたらいいか。サービス提供者がある程度コントロールをかけるしかありません。
でもこれだけ複雑で多様化したネットの世界をコントロールするのは、これも難しいのかもしれません。ただ、彼らが制御をしないのは、映画の中でも指摘されていたように、”広告収入が減るから”、というのが大きな理由だろうと思います。儲けが減ってしまう。
基本広告はスキップするから気にしていないように思えても、今は生活に溶け込みすぎて無意識レベルで私たちの消費をコントロールしているのかもしれません。
HOKUSAIの記事で書いた「やめられない」とは違いますが、お金儲けは入ってくれば入ってくるほどやめられなくなるのかもしれません。




このような問題提起とは別に、正直に言ってしまうと、映画の作り方も私は少し気持ちが悪いなと思ってしまいました。

・チャット相手の男性を”どうせ変態でしょ?”と若干決めつけているような感じがした
・卑猥なことを言うように誘導させるような女優の話し方が気になった
・子供に対する違法行為者と認定した人たちには気持ちのわるい顔加工を施していたのに対し、終盤に登場するとってもまともな事を言う学生に対しては”こんな素敵な言葉を語る人はもちろんかっこいいのよ!”と言わんばかりに加工が徐々に取れてついにイケメン登場!となるところ。王子様現る!感がすごかった


この辺が気になって仕方なかったです。
なんだか西洋的だな~と思って、日本人的価値観の私は見てしまいました。
犯罪者!とレッテルを貼られたら人権なんてないに等しいのかもしれません。事実を淡々と伝える、というよりかは、見下すべき人間です!という気持ち悪さを感じたのは、ちょっとズレている私だけかもしれません。




ここからは、知識があるわけでもない素人が乱暴に自分の考えを書いてみます。
確かに現代は危険がたくさん潜んでいます。
昔に比べて今の子供の方が危険・・・?必ずしもそうだとは思いません。
今の方がずっと大人たちに保護されていて、環境も整えられています。

テクノロジーが進化するにつれ、自分も含め、人間が精神的に成熟するまでに時間がかかるようになっている気がします。

スマホでなんでも調べて答えの見つけ方を上達させても、その瞬間瞬間の判断を要する想像力はスマホからはなかなか得られないと思います。

想像力は危険回避のお守りになると私は思います。
そして、便利で速く簡単に!をあまりに加速させすぎると、何かしらの代償を払うことになるんじゃないかな?

便利なものほど、私たちはそれを使う側であって、それに生活や人生を支配されてはいけないな、と戒めて終わりとします。







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