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令和5年10月以降の最低賃金に注意しましょう

こんにちは。社会保険労務士の町田です。
10月からの最低賃金が確定しましたのでお伝えします。


令和5年10月以降の最低賃金は?

令和5年10月以降の「地域別最低賃金」が公表されました。都道府県ごとに、「発効日」が決まっており、その日以降は改定後の最低賃金が適用されます。

地域別最低賃金の全国一覧 | 厚生労働省

例えば、
 奈良県:896円⇒936円(+40円)
 大阪府:1,023円⇒1,064円(+41円)
 兵庫県:960円⇒1,001円(+41円)
 京都府:968円⇒1,008円(+40円)
 滋賀県:927円⇒967円(+40円) 
 和歌山県:889円⇒929円(+40円)
 東京都:1,072円⇒1,113円(+41円)
 北海道:920円⇒960円(+40円)
等です。
例年ここ数年(コロナのため引上げがほぼなかった年は除く)30円前後なのですが、今年は40円前後の引上げになっています。

最低賃金引上げ額の「目安」

最低賃金は、以下の手順で改定されます。
 1.中央最低賃金審議会が引上げ額の「目安」を示す
 2.各都道府県の労働局長が「地方最低賃金審議会」に諮問する
 3.地方最低賃金審議会は「目安」や各都道府県の実情を踏まえて調査・
   審議し、労働局長に答申する
 4.答申内容を公示し、異議がない場合は改正決定される

今回の中央最低審議会の引上げ額の「目安」は、まず「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」等において「全国加重平均1,000円を達成する」こととされていることや、人手確保のために賃金上昇圧力が高まっていること等から、例年よりも高い水準になりました。
また、最低賃金の地域間格差を縮小する観点から、都道府県ごとのランク分けがA~Cの3ランクに変更されました。
結果として、引上げ額の「目安」はAランク:41円、Bランク:40円、Cランク:39円となりました。

各都道府県での審議内容

その後、各都道府県では「地域の経済・雇用の実態」や「地域間格差の縮小」といった観点を踏まえて審議が行われました。この中で、最低賃金の低い半数以上の県で、格差縮小のために「目安」以上の引上げが行われました。
特に今回は東北や山陰、四国九州の県を中心に、「目安」を大幅に超える引上げが行われたことが特徴的だと感じます。

結果として、全国加重平均額は961円から43円増加し、1,004円になりました。
また、地域間格差を見ますと、最高額となった東京都(1,113円)に対する最低額(岩手県で893円)の比率は80.2%となり、昨年度(東京都1,072円 対 複数県の853円)の79.6%から格差は縮小しました。
岩手県の最低賃金額は、昨年は最低額ではなかったのですが、今回「目安」額からの引上げを行わなかった結果、最低額になってしまいました。

賃金引上げに対する公的助成

今回、特に賃金引上げ額が大きいこともあり、公的な助成制度が導入されています。従来から存在するものも含めて、何点か紹介します。

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)
(厚生労働省。窓口は各都道府県労働局「助成金センター」など)

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者等(有期雇用労働者、パート労働者、派遣労働者)の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するものです。

この内「賃金規定等改定コース」は、有期雇用労働者等の基本給(時給額など)の賃金規定等を改定し、3%以上増額に支給されます。

□業務改善助成金
(厚生労働省。窓口は各都道府県労働局「雇用環境・均等室(部)」)

生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。

□奈良県物価高騰克服プログラム
(奈良県。窓口は雇用政策課)

賃上げの促進や県内消費を喚起し、県民の所得向上を支援するために、賃金を1.7%以上引き上げる事業者に対して、従業員1人あたり5万円の給付金を支給します。

他にも、各自治体で取り組まれていることがあると思いますのでご確認されてはいかがでしょうか。

本日は以上です。最後までお読み下さいましてありがとうございました。

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