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#08_28歳の誕生日、あと10年で死のうと思った。

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アラームをかけずに眠れる日は、夢を見ない。

今何時だろう。
「年を取ると寝たくても目が覚めるようになるよ」と“普通”の人によく言われるが
私は30が近づいた今も一度眠りにつくと十数時間でも眠っていられる体質らしい。

壮大なSF映画のような夢を見て、寝ぼけまなこで現実の狭間をふらふらと何度も往復する感覚が心地よくて好きだ。

今日は、午前11:45を過ぎたところから始まるようだった。

“まだ”午前中に起きられた自分はとても偉い。

昨夜の日本酒もほとんど残ってはいないし目覚めも悪くない。
むしろ気の置けない友達に会って楽しい酒の夜を過ごしたおかげでよく眠れてスッキリしている。

一年の大半の私は、何も予定がなければこのままベッドで夕方まで過ごして罪悪感に殺されそうになるが

こんな日はせっかくだ、少し出かけよう。
日用品の買い物もしなくては。

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知り合いには会わない、極力誰とも連絡を取らない、SNSも見ない。
経験上、定期的に外との関わりを絶ち、自分自身と対話する時間が必要だと学習している。

加えて今日は気分がいいので部屋の窓を開けて、掃除機をかけてシーツと家中のタオルも一緒に洗濯する。
マットレスも窓際に干して、洗濯機が止まるまでに薄くメイクをして髪を整える。

洗濯が終わると、シーツを干し、整った部屋を見てまた少し自分を褒めてから、家を後にする。

内容を覚えていないいつか見た夢の続きを過ごすように、ふらふらと流行りの服を見て回り
どこにでもあるコーヒーチェーン店に入る。

日用品の買い物リストを眺めながら、落ち着く席を確保できたラッキーにまた少し幸せが積もる。

こんな風に自分が機嫌よく過ごせる毎日が続けばいいのに。

周囲の音や見知らぬ人達の会話もがストレスになる私は、どこに出かけるにも耳にイヤホンを付けて外の世界と距離を置いている。

また来月から新しい仕事が始まればきっと
今までと同じで関わる出来事と人に脳内が浸食されて、思考が止まらなくなる毎日が待っているんだろう。

今日はこのまま、心地いい一日で終えられたら。

「あの…。」
と男に声をかけられる、そんなドラマみたいな出会いは、現実にはやって来ない。

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