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#19_ジャニオタという遺伝子を持って生まれた女

2023年9月6日。
ジャニーズ事務所のジュリーが社長を退任、ヒガシが新社長となった。

約25年間ずっとジャニーズのオタクをしてきた今、自分の中にある怒りと悲しみの感情の正体がなんなのか
なんとなくその輪郭がはっきりしてきた。

私は、かけた時間とお金で愛を測っていたのかもしれない。

こんなにも長い人生のあいだ、ずっと好きだったジャニーズ。

良くも悪くも、ジャニーさんという絶対的な権力と実権を持った人間が作り出していたジャニーズエンターテイメントという世界と、
そこに利益を見出し成り立っていたメディアとビジネスの中で

私自身が、一ファンとして、コントロールされていた側の人間の一人だ。

それを今回の報道で思い知らされたことが悲しい。

当時の、今のように「性被害」や「忖度」「圧力」という言葉に馴染みがなかった頃だったら。
関ジャニもKAT-TUNもNEWSも、King & Princeも、好きなグループの「好きな人」を誰も失っていなかった頃だったら。

自分が一方的にアイドルとして愛でた虚像的な存在がそこに存在してさえくれれば、それでもいいと思ってしまったかもしれない。

すでに辞めたJr.がジャニーさんの「性被害」を告白したとしても
「応援してる自分とは関係ない」と切り捨て、ジャニーズ事務所がした事の重大さを理解せず
変わらずに好きな人たちを「好き」だと言い、何が悪いんだろうと言っていたんじゃないかと。

ましてや、辞めたあとで「関係のない人間が迷惑をかけるなよ」とすら思ってしまっていたかもしれない。

実際、当時フォーリーブスの北広次さんが性被害を訴えていたことなんて全く知らなかった。

吐露したこの犯罪について考えるタイミングが今この時代で、自分がもういい大人になったからこそ、こんなタラレバを言えるのかもしれない。

ただ、もし自分がこの犯罪を盲目的に好きだった中学生や高校生の頃に知っていたとしたら
「これってどういうこと?」と周囲の大人たちに聞けていたのか。

そして私の周りにいた大人たちは、それにきちんと答えてくれていたのか。

「性」を語ること自体が弾圧されているように感じるこの国で、一般的な人生を歩んできた私ですらそう思う。

人格形成に重要な時期の男の子たちを抱え込み、歌やダンス、礼儀作法を教えてタレントに育てる教育システムのジャニーズ事務所が

一般的に生きてきた私のような子どもでも触れてこなかった「性」の認識を歪めてることなんて容易いのではないかと思ってしまう。

ある意味では、軍隊を育てるための洗脳と同じだろう。

人は主観でしかものを見られない
それが正しいとしか言えない

ミステリと言う勿れ/田村由美

真実は一つじゃない
2つや3つでもない

真実は
人の数だけあるんですよ

でも
事実は一つです

起こったことは

ミステリと言う勿れ/田村由美

個人的に。

今回の会見を見ていて、ただただとても悲しかった。
性被害を訴えた人たちに対して、そして私たちファンに対して。

あの場にいた大人たちは全員、まるで「自分たちのことしか考えていない」と思った。

今年ファンクラブを立ち上げたばかりのヒガシのファンの気持ちを考えると本当にいたたまれないし
そのファンを捨てて「もう尊敬はしていない」というジャニーさんの会社を継いで表舞台から引退するヒガシ本人の気持ちも全く分からない。

そこまでして今の「ジャニーズ事務所」を守る意味がなんなのかまっったく分からない。

そしてジュリー。

やっぱり根源は、この人にエンターテイメント業界のトップを牛耳ってきたジャニーズ事務所の「経営者」をやれる手腕なんて1ミリもなかった。それが原因だろうとしか思えない。

その頃からメリーさんともジャニーさんとも対話がなかったとか、告発の時点でなんの情報もなかったからとか、それが自身の「経営者」として未熟だったことのなんの言い訳にもならない。

子供の才能を見抜き、スターに育て上げる天才的な能力があったジャニーさんも、事務所の経営自体にはそこまで関わっていなかったのか。

経営者としての振る舞いより、権力と実権が前に出過ぎていたんだろう。

ジュリーが嵐というタレントを育てたことを百歩譲って功績だと考えても
それとジャニーズ事務所を継いで経営していくことは別問題だった。

ジャニーさん亡き後も同じ権力と実権が「事務所」について回るものだと過信し、
新しいエンターテイメントを取り入れることを拒み、タレントが意見を持つことを認めず
自分が思うように動かそうとした結果、ジャニーさんのいない「ジャニーズ事務所」でなくてもやっていけるタレントは次々に出て行った。

アイドルグループでいながら本人たちが望む様々な挑戦を認めていれば、新たな「ジャニーズ事務所」になれていたかもしれないのに。

変化を恐れ、挑戦を嫌がり、過去に固執した結果だ。

エンターテイメントは流行。

その都度クリアに、柔軟に対応していくことが求められる世界で、結局あなたはファンファーストなんて思ったことないでしょう。やることなす事すべて自分ファーストでしかない。

それに「圧力」をかけ続けたことも、そこに「忖度」してきたメディアも同罪で、
あの日、あの会見の場にいた人間もみーーーんな「自分たちのことしか考えてない」。

ジャニーズ事務所に一度でも関わったことのあるみなさん、
手のひらを返してジャニーズを叩いて報道するメディア関係者のみなさん、

あの会見で語ったこと、

ご自身のお子さん、Jr.の子たちの目を見て、すべてまっすぐ、説明できますか?

ご自身のお子さんが性被害に遭ったとき、自分は真っ先に「その子に頼ってもらえる存在だ」と自信を持って言えますか?

25年間、ジャニーズを好きでいて、テレビドラマや映画も大好きで、

たくさんの感動や生きる勇気をもらってきた一ファンとして、エンターテイメントの世界が大好きな日本人として、

もうこれ以上、絶望したくないんです。

分かりやすい「オチ」を見つけて、カタチばかりの「犯人」を見つけて、大衆を誤魔化せるような「責任」を取らせて
なんとなく時間をかけて、うやむやにするのはやめてください。

「考えることをやめないこと」

戦争と同じです。

こういった万人が納得する解のない出来事というのは、考え続けないといけないんです。
人から忘れられると、事件は風化していくんです。

ただでさえ、苦しくて生きづらいこの世の中で
私は「ジャニーズ」というアイドルに救われ続けて生きてきたからこそ、

もうこれ以上、ジャニーズが「好きだったこと」を後悔するような人生を生きたくない。

ジャニーズは、アイドルは、エンターテイメントは、
美しい虚像で、夢で、生きる希望であってほしい。

そのためにタレント事務所、タレント本人、メディア関係者、ファンも含め
関わる人すべてに
「考え続ける」ことで変えていけると知って、その意識を持ってほしい。

私たちファンは「好きな人」をただ、「好きだ」と言いたいだけなので。

「好きだ」った一人として、この事件を忘れず、風化させず考え続けていきます。

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