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#22_28歳の誕生日、あと10年で死のうと思った。

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28歳の誕生日、あと10年で死のうと思った。

それは、物心ついた頃からずっと私の中にあった世の中に対する絶望と少しの抵抗だったように思う。
せめてまだ若いままで、まだ綺麗なままで居なくなりたかった。

自分がそのままで居ることの価値を認めないのは私の責任かもしれない。
しかしそれは、今まで一人の人間としての価値を本人が認められなくなるような教育を受けてきたせいでもある。

ある意味、田舎に生まれたことで狭い世界に閉じ込められていることを自覚したのが早かったことが幸運だったのかもしれない。

私にとってその世界を教えてくれたのは間違いなくアイドルグループの存在だったのだけれど。

30歳を迎えた今、少なからず二十歳の頃に思い描いていた人生を歩んではいないけれど、
いろんな場所に行き、いろんな人間を見て、コンプレックスを抱えつつも無理やり自分を突き動かしてきた。

その結果、今の自分がいるのならば今までの道を後悔する必要はないだろう。

羨ましく思うあの人に私はなれないけれど、
同じようにあの人も私にはなれない。

就職活動をせずに20代で4回転職をし、その間に一度ワーキングホリデーで渡豪して
夜の世界でホステスとして働き、新型コロナウィルスの影響で退職を余儀なくされたあとアルバイトで働こうとしている奴の人生は、聞いていて飽きるものではないだろう。

もう無駄に人を羨ましがってだけ生きていくことはしたくない。
飽き性な性格ゆえに、そんな自分に退屈してきたと表現するほうが正しいかもしれない。

人生は長い漫才だ。
自分を面白がって生きていかなくては、簡単に死にたくなってしまう。

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その後無事にアルバイトとして働き始めた私は、生まれて初めてといって良いほどに、ストレスなく電車に揺られ仕事に向かっていた。

満員電車で息苦しくなることもない時間帯。
好きなアイドルグループのアルバムを楽しめるちょうどいい通勤時間。

諦めたように開き直った結果か、すべてが順調に運良く回ってきているような気がしていた。

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