#23_28歳の誕生日、あと10年で死のうと思った。
#
不必要なものを手放したことで、本当に必要なものが手に入ったような気がする。
休日家族と過ごす時間や、信頼できる友人と共にする食事。
どんどん心が浄化されて、あれほど欲しいと叫んでいたものは
本来持っていたものだったことに気付いただけかもしれない。
もっともっと、と欲をかけば欲することはいくらでも出来る。
しかしそれは、手に出来ていない今の私には恐らく必要の無いものなんだろう。
何もないから、何にもなれないから居なくなってもいいと思いながら死んでいくより
ひとつでも持っている幸福に気付いて死んでいけるほうが幸せだ。
#
「なんだかんだ言って、雪乃のほうが先に結婚するような気がする。」
26歳の頃、“今の目標は結婚すること”だと合コンにマッチングアプリに忙しくスケジュールを埋めていた友人に言われたことがある。
10代から二十歳くらいまでは、自分もそこそこ年を取れば結婚するものだと思っていた。
ましてや、憧れの大好きな両親は二人が二十歳のときに結婚し私たち姉弟3人を産み育ててくれた。
ちょうどこの26歳の年で姉が結婚したこともあり、20代後半に差し掛かって来ると、結婚を意識するのが“普通”なんだろう。
それでも元々惚れにくく恋人とも長く続かない飽き性な私は
28、29、30歳を迎えるごとに、自分がいかに結婚生活に向いていないのかをまざまざと感じさせられることが多くなった。
まれに人を好きになっても、あまりにも敏感すぎる性格と
態度の変化や言葉の配慮の無さにすぐに恋愛感情を失ってしまうという冷静な性格のせいで
恋愛においては経験値を積めないままだ。
傷つく前に予防線を張りたいのかもしれない。
もちろん傷つけたくないのは心ではなく、プライドなんだけれど。
「このまま誰かただ一人に選ばれることも、誰かを夢中で好きになることもない気がする。」
数か月ぶりに会ったその友人は宣言通りコロナ禍に結婚していて、もうすぐ子どもが生まれるらしい。
カフェで近況報告会をしている最中、
私の恋愛偏差値は中学生の頃憧れた少女漫画の妄想を引きずったまま、長い思春期が続いているなとぼんやり思った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?