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#05_28歳の誕生日、あと10年で死のうと思った。

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「今なにしてるー?」

スマホの通知画面に映し出された、その容易に読み取れる下心に
今夜はやけに苛立ちが募る。

律儀にこの苛立ちを教えてあげる気分でもない。
こんなときは決まって、朝まで未読のまま放置して気が向いたら「寝てた」と返すだけ。

もともとこの男とは、夜更けにどちらかが連絡して気が向けば会うだけの関係だった。

いわば腐れ縁の“男女の友達”。

女の性欲を都合よく満たす術があってもいいじゃないか、と常々思う。
こういった意味ではある意味、男女の友情は成立するのだと思っている。

これをはしたないとか、いやらしい女と片付けるのは
大体モテない男女の僻みの常套句だ。

余計なことは言わず、無駄なやり取りをせずともまた数か月後に連絡して来るこの男は、まだ切るには惜しいのだ。

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ふとした瞬間に会いたいと思い浮かべる人なんてほどんどいない人生だった。

寂しさを抱えている自覚はほとんどないし
男と身体だけの関係を続けることを後悔し思い悩んだことも一度もない。

物心ついた頃から在った、生物としての欲求に素直に従って生きているだけだ。

それでもここ数年、こんな夜に私の意識を埋め尽くすのは
この先の人生の不安と焦りと、胸焼けするほどの喪失感だった。

何を失ってしまったのかはもう分からないけれど
さして語るほどもない今までの恋愛と、見聞きした他人の恋愛を自分の経験値として加算して
都合よく導き出された統計を握りしめている。

プライドを守るために必死になっているんだろう、自分が無駄に傷つかないための予防線なのかもしれない。

「結局、誰の特別にもなれていない」「誰にも選ばれていない」

その事実と現実に打ちひしがれる自分をこれ以上惨めにしないようにと、過去の自分をもう何度も諦めさせてきた。

それでも食欲と同じほどに湧き上がってくる性欲を、一人で過ごす夜と相殺できるようにはまだ、なれないらしい。

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こうなった思考は夜更けまで止まることを知らない。
このループに陥ることにも、もう慣れている。

「もしもーし、何してんのー?」

唯一の懺悔を向けるとしたら、私は母親に電話をかけた。

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