#14_28歳の誕生日、あと10年で死のうと思った。
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2019年9月、29歳の誕生日を目前にしたある日、
あるアイドルグループのメンバーが脱退を発表した。
これで3人目の脱退だ。
嫌な予感はしていた。
その予感が当たらないことを願いながら、最悪のシナリオを用意して、覚悟もしていたつもりだった。
私が生きづらく小さな世界に閉じ込められていた小中学生の頃から
彼らは私の生きる指針であり、希望だった。
あんなにもキラキラしていた彼らがひとつのグループではなくそれぞれの道を歩むことは
“この世に永遠などない”ということを突きつけられた瞬間だった。
大袈裟でなく、私の中の何か一部分が抜け落ちた感覚がした。
もう中学生じゃないから
大人にならなきゃ
まだ仕事もあるから
「ワイン一本空けちゃった..。」
同じ気持ちであるだろう姉と連絡を取りながら
明日、目が腫れないことを願って眠りについた。
こんな日も明日のことを気にしてしまっているのだから
私の時間もまた、間違いなく進んでいるのに。
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何かが変わっていく。
明らかに今までとは違う、何かがある。
このままではいけないという焦燥感を抱えつつ、それに対応できるだけの能力がない自分が虚しい。
この人達がいるからと働くための原動力すら失ってしまった今、
私はここから自分を奮い立たせる方法を知らない。
これからも当たり前に在ると思っていたものを失うときは
あまりに一方的で、かつ残酷だ。
今、この虚しさと絶望感が
これから先の自分の将来の不安と混ざり合って、見たことのない色になって沈んでいく。
いつから私は、私に期待しなくなったのだろう。
もうこれ以上の成果は出せない、ここより上には行けないと
自分勝手に周囲と比べ、自分をランク付けをする。
自分より容姿が劣っている人、太っている人、教養が無い人が居る環境に身を置き
優越感に浸ることで、同時に自分のことも卑下していた。
この程度の自分には、この程度の幸せしかやってこないと
形などないはずの“幸せ”を探して、ここから掬い上げてくれる誰かを待っていた。
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