友野詳先生にTRPGについて質問しまくる ~演技をするの恥ずかしい問題 編~

前回、まったくの初心者がTRPGに参加するときに準備しておくとよいことをお聞きし、「次に参加するときは全力で楽しめそう!」と感じた、わたくし・おはし。ただ、TRPGに参加するに当たって、もうひとつ心配なことがありました。それは…

演技するの恥ずかしい問題!

TRPGに演技は必須?
前回、初めてTRPG(ソード・ワールド2.5)に参加したときは、皆さんそこまで「演技する!」という感じではありませんでした。もしかしたら、わたしが頑なに演技をしなかったので、合わせてくれたのかもしれません。

それでも、他の皆さんは、ちょこちょこ、あてがわれた役柄に合わせた口調で会話をしている場面がありました。本来なら、もっと役柄に合わせて演じるべきだったのかも…。次回参加するなら、そうした方がいい?でもちょっと恥ずかしいし…。うじうじ。

TRPGは選択と決意のゲーム。演技は必須ではない
ネットで調べた範囲では「演技が必須」というわけではなさそうですが、せっかくなので友野さんのご意見も聞いてみたいなと思い、TRPGと演技をすることの関係性について質問してみました。

「『キャラクターになりきって演じるのが楽しい!』という人もいますし、『純粋にゲームとして、数値を突き詰めて攻略するのが楽しい!』という人もいます。だから『TRPGに演技は必須なのか?』と言うと、必須ではないと思います」

と友野さん。でも、「ロールプレイング=役柄を演じる」なのでは?

「これは、僕個人の考えですが、TRPGは選択と決意のゲームだろうと。

まずプレイヤー自身が、GMと協力して選択肢を見いだす。そして、そのキャラクターの能力、性格、それまでに送ってきた人生の中から、どれが一番そのキャラクターにふさわしい選択なのか考えることがロールプレイだろうと。

そうして選んだことをどう表明するか。演技を入れるか入れないかは、プレイヤーの好みの問題だと思うんですね。

たとえば『内心焦って、無我夢中で剣を振り回しています』というのを、普通に地の文で説明するだけでも、説明を聞いた人や自分の中では、ビジュアルが浮かんだり、感情や心情みたいなものを感じ取れる。

だから、ロールプレイは必須ではあるけど、そのロールプレイをどう表現するかは別の話ですね」

なるほど~。このロールプレイの考え方、とてもわかりやすく、胸にすとんと落ちました!

演技するのが恥ずかしいとか、ちょっと難しいって人も「こういう理由でこの選択肢を選びました」とか「だから今こんな気持ちです」とか説明するだけで、プレイヤー同士、同じ絵を思い浮かべることができて、より楽しめそうです。

与えられた能力を生かすも殺すも自分次第
と、ここで先日、初めてマーダーミステリーに参加したときの失敗を思い出しました。わたしは「美人超能力者」という役柄だったにも関わらず、自分が演じているうちに、いつの間にか「美人」設定が抜け落ち、最終的にほぼサイババになっていたのです…。

「わかります。特にマーダーミステリーは個人戦ですしね。(笑)

TRPGの場合、仲間が『美人能力ここ使いどきですよ!』とか『おい、うちの美人がまたなんか言うてるで!』みたいないじり方をしてくれたりするんで、入りやすいかと。

もちろん、美人キャラを生かしても、生かさなくてもどちらでもいい。自分がやりづらい、苦手だからできない、それでもいいと思うんです。

ただ、美人であることを生かさないのであれば、『実はこのキャラクターは自分の容貌が嫌い』、『中身を評価してもらいたいと思っている』といった背景を作っておくといいと思います。そうすると周りもそれに応じて、反応できますし。

ふむふむ。確かに、せっかく「美人」という能力があるのに、ただ単に使わないというのはゲーム上もったいない。でも、自分の中で裏設定を作って伝えておけば、周りは「いつかその裏設定を乗り越えて、ここぞというときにこの能力を使えるように…」と策を練ってくれるかもしれません。これなら、新たなゲームのスパイスになりそうです。

それに、もし自分の中で美人設定がすっぽ抜けても、周りに「あんた美人なんやから、ここはウインクひとつで敵から情報を聞き出してよ」と提案されれば「おぉ、その手があったか!!」と気づけます。

ここでも核となるのはコミュニケーション。自分ひとりでは思いつかないような選択肢が見えてくるのも、このゲームのおもしろさだと感じました。

ゲームなんだから負けてもいいじゃん
「コミュニケーションを取りながら、選択・決断をする、というのは日本人が苦手とすることだと思うんです。特に集団でひとつのことを選ばないといけないときに『自分はこれがいいと思います』って言える人少ないじゃないですか?

TRPGはそれをしないといけないゲームなんです。でも、だからこそおもしろいんですよね。それに、ゲームなんだから、負けてもいいじゃん。ゲームなんだからどんどん失敗しようぜ!死んで学ぼうぜ!みたいな(笑)」

すごい!当たり前のことなんだけど、この言葉に目からウロコがボロボロ!!!

もちろん「勝ちたい!」と思って参加するけど、色んな人とコミュニケーションを取って、一緒に苦難を乗り越えて、結果、ミッションをクリアできなかったとしても「楽しい時間が過ごせた」という事実は変わりません。

それに、ゲームだからこそ、また同じメンバーで同じタイトルに挑戦することだってできます。将棋みたいに「あのとき、こうしていれば…」という感想戦も盛り上がりそうです。

TRPGを前のめりで楽しむコツ、だいぶわかりました。いける!次こそはいける!!ぜひ動物系のタイトルで、キャラクターの背景も考えつつロールプレイして、みんなで苦難を乗り越えたいニャー。(←持ち前のファンシー精神)

と、ここまでTRPGについて色々質問させてもらったのですが、最後に友野さんの最新作『ダークユールに償いを』というパッケージ型マーダーミステリーについても、少しお話をおうかがいしました。

次回に続く!

※こちらの記事は、友野先生のご許可をいただき、ご本人による確認を経て、掲載しております。


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