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旅するzoom体験記#2 ルワンダ・加藤雅子さんに会いに行った!!

日本では梅雨がようやく明けた8月初旬。旅するZoomを介して、アフリカ中部に位置する国・ルワンダに暮らす、加藤雅子さんに会いに行ったときのレポを参加したMayuとNapura吉川の合作でお届けします(体験記#1もまゆでしたが、実はそれぞれ違う、2人のまゆが書いてくれています)。
旅するzoom体験記第2弾です。

私の中で、ルワンダといえば悲しい内戦の歴史しか思い当たるものがなく、まさに「未知の国」。2020年の現在、ルワンダでどのような暮らしの営みがあるのか、知らないからこそ「旅するZoom」を通して現地の暮らしを感じてみたい、という気持ちから思い切って参加しました。

今回旅するzoom「あの人に会いたい」で訪ねる人・加藤さんは、ルワンダの伝統アート「イミゴンゴ(imigongo)」に魅了され、調査・研究をする傍ら、その調査の過程で出会う彼女のフィルターを通したルワンダをいろんな形で発信されています。伝統アート・イミゴンゴは、仔牛のふんを原料に使い、塗り固めたりやすりをかけたりしながら、特徴的な幾何学模様をつくりだす、というもの。数百年前から伝え続けられてきた職人の手仕事だけれども、どこかスタイリッシュで洗練されている。見ているとなんだか不思議な気持ちになります。

旅するZoomでは、前半に加藤さんが暮らす首都・キガリのご自宅からルワンダの普通の一日を、後半はじっくりと旅の仲間でイミゴンゴのお話を伺いました。すでによく知られるこの国の過去やIT立国という新しい一面とはまた違う、加藤さんを通して出会った「ルワンダ」とのひとときをまとめました。

[目次]
丘の国・ルワンダ
文化は生きている
「明日」と「昨日」は同じである?!
旅を終えて

丘の国・ルワンダ

加藤さんが扉をガチャリと開いてご自宅を出ると、すぐ目の前にゆるやかな石畳の坂が続きます。画面がぐるりと辺りを見渡すと、坂、また坂。遠くには、山や丘が次々と連なり、その丘の上にこんもりと首都の中心部が見えています。まさに「千の丘の国」。
加藤さんいわく「千以上あるかも?」

赤土の平らな大地がずーっと続いているのがアフリカ大陸と思っていた私の最初のプチショック。ルワンダは標高が高く、年間を通じて涼しいそうです。

加藤さんの住むルワンダの首都キガリはとてもこじんまりしていて、バイクタクシーや車などの乗り物を使えば、およそ45分で主要エリアの端から端まで移動できるのだそう。坂を上りながら、首都の中心部が見渡せる場所までたどり着くと、高層ビルがいくつも建ち並んでいるのが見えます。そして高層ビルに埋もれるようにして建っている白い建物が、ルワンダ内戦を題材にした映画「ホテル・ルワンダ」の舞台になった場所。今も営業している老舗ホテルだそうです。

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今、登ってきた坂を今度は下っていくと、袋いっぱいの木炭を頭に載せたおじさんを発見。この辺りではガスを使っていない家庭もあり、代わりに木炭を使って料理をするのだそう。強くない火力でも作ることのできる煮込みや揚げ物がよく作られるそうです。

途中、食料品や生活用品を売っている日本で言うコンビニのようなお店へ。
キャッサバ、タロいも、じゃがいもなどが大きな袋から顔を覗かせる隣に、大きな緑色のバナナが房ごと、ドーンと店先に置かれています。

これ、お料理専用のバナナ!
日本でよく見かける黄色いバナナと違って甘さはなく、むしろ煮込むとじゃがいものような味がするらしい。 

でも、おいもの代わりに使うんじゃなくて、お芋もバナナも入れるんですよね〜

と雅子さん。
お芋とバナナのマリアージュ。未だ見ぬ味に、胃袋の触手がさわさわと動く。

お店で買い物をすると、買ったものを小さな紙袋に入れてくれます。

この袋、裏側を覗いてみると、子供たちが勉強で使ったノート!
それをのりでとめて袋状にして再利用したもの。
これはエコ、そして賢い!さらに、子どもたちの手書き文字にちょっと和む。

ルワンダでは10年以上前からプラスチックのレジ袋が廃止されていており、ルワンダにある外資系の大手スーパーマーケットでも、プラスチックではなく紙袋が渡されるそう。
ついつい、先進国とか発展途上国という言葉に影響されてしまうけれど、レジ袋については日本よりずっと先を歩いている様子のルワンダ先輩。
何が「進んで」いて、何がまだ「途上」なのか、その境界線がどんどん入り乱れる世界になってきているのかもしれない。

画面越しに訪れた「近所のコンビニ」へのお散歩が私に届けてくれたのは、この場所に漂う、“地に足をつけて暮らす“感覚。
近所のお店には必要なものが、必要な順に、必要だから置いてある。
生活する上で本当に必要なものは限られていて、必要なものだけを自ら選んで、生きている。そんなことを感じました。

日本での自分の暮らしを振り返ってみると、毎日のようにたくさん目に飛び込んでくる広告。もちろん、広告を出している側は、これがあったら便利になるから、もっとよくなる、幸せになる!という思いで商品やサービスを届けているのだろうけれど、それが本当に必要かを決めるのは自分。

もっとシンプルに、それ、ほんとに必要?という問いかけを自分にしてあげられたら、自分の心に余白をつくってあげながら生きていけるかなと思いました。

文化は生きている

コンビニと坂道に別れを告げて加藤さんのご自宅へ。
そして、話は伝統アート「イミゴンゴ」へ。

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イミゴンゴは、木の板に、仔牛のふんを使って幾何学模様を描いていきます。表面が立体的かつツルツルになるよう、塗り、乾燥させて、固めて、という工程を何度も繰り返しながら、完成させていきます。

制作に使われる仔牛のふんは、母乳と草を半分ずつくらい食べながら育っている仔牛のもの。この頃のふんの粘度がイミゴンゴに最適のため、この年代の仔牛さんがいるところにふんをもらいにいくのだそう。

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きみのふんが主役です!

このイミゴンゴ、もともとはルワンダではなくギサカという小さな王国の伝統アートとして代々受け継がれていました。しかし、160年ほど前にこの王国はルワンダ共和国に統一されたそう。そのため、ルワンダ全土で制作されるのではなく、ごく一部の地域で受け継がれてきたものとのこと。

イミゴンゴの始まりは歓迎の意を示すため、壁に描く装飾として始まったといわれています。イミゴンゴの柄がすべて幾何学模様なのは、壁が広くなっても次々と描き足していけるから。(ここに、幾何学模様であることの秘密が!)
現在では、壁に描くイミゴンゴはほとんど見かけなくなり、板に装飾し、その板を壁にかけるのが主流だそうです。

イミゴンゴの担い手は女性。かつては花嫁修業として、母から娘へ代々受け継がれていました。現在はイミゴンゴの工房でつくられていますが、作り手や工房によって柄の名前やその柄の持つ意味の解釈が異なるそう。

「はじめの頃は、柄の名前や解釈を、「どこかに“正しい答え“があるはずだ!」と追いかけていたんです。でもそのうちに、その“正しい答えがある“という前提が違うのかも、と思うようになって。現代を生きる私たちにとって、『正解があるのが当たり前』という意識が少なからずあるけれど、色々な答えや解釈があっていい。『多様であるという状態』を受け入れることで、今、ここで生きている文化に出会えるのかも」

という加藤さんの言葉が心にずしんと響きました。

「明日」と「昨日」は同じである?!

今回の旅の中で最大の衝撃は、ルワンダでは「明日」と「昨日」、「明後日」と「一昨日」が同じ単語だということ。
この日の旅するzoomに参加した全員から「えーっ!?」と驚きの嵐。
ルワンダのみなさんは、文脈から「明日か昨日」かを判断するのだそう。

ルワンダでは、常に『今』という時間をとても大事にしている。『今』を起点にして考えるから、一日前も一日後も“今日とは別の日”という意味で、同じ単語でいいのかも。

そんな加藤さんの言葉が印象的でした。
参加したメンバーからも

今に意識を向けるというのが最近のテーマだったんです!今に集中したいと思っていても、つい明日のこれは・・とか、昨日はこれが・・とか浮かんでしまうけど、今日はなんかすごく大事な気づきをもらった気がする!!

という大感動のシェアも飛び出しました。

ついつい、昨日から今日、そして明日へと一直線の時間を無意識に頭に描きがちだけど、これも、もしかしたら、“必ずしもそうじゃないかもシリーズ“の一つかもしれない。

ルワンダの言葉に関連して、さらなるサプライズがもう一つ。

「見る」以外の五感、「聞く」「嗅ぐ」「味わう」「触れる」の4つと「考える」「感じる」はすべて同じ単語「kumva」を使うのだそう。

これってどういうこと??
見るってやっぱり何か違うメカニズムなのかな?
体全体でKumvaするってことかな?!

と、しばし全員でKumvaの世界に想いを馳せる。
言葉って、その地に生きる人の文化やその土地で感じていること、価値観が反映されていて、本当に奥が深いなぁ。
その地の“言葉の感性“をお裾分けしてもらったことで、まだ出会っていないルワンダの人たちとちょっと距離が近くなったような気がする。
そんなことをしみじみと噛み締めました。

旅を終えて

あっというまの2時間。日本時間の午後9時から始まった旅も、気づけば午後11時すぎ。

いつか行ってみたいと思いつつも、訪れる勇気がなかなか出なかった未知の国、ルワンダ。画面を通して見えた景色は、山や丘、豆粒ほどの大きさの高層ビル群、そして、緑のバナナのあるコンビニと坂道。

そして、画面の向こうの穏やかな日常が教えてくれたのは、
バナナは必ず黄色じゃないかも。
途上国はときに一足飛びに先を行っているかも。
今以外は、もしかしたら「今以外」というカテゴリで一緒かも。
という、いつもの当たり前の向こう側。

かのアインシュタインいわく、「常識とは、18歳までに身に付けた偏見の累積でしかない。」

たとえば、時間の概念が違うこと、買い物袋はノートの再利用だっていいこと。
今、私がいる世界での常識や価値観がすべてではない。そんなことを参加したみなさんと、加藤さんとお腹から驚いたり、笑ったりしながら感じさせてもらった旅でした。

地理的にも、心理的にも遠かったアフリカの国・ルワンダ。
今は、画面越しに旅をして、加藤さんのフィルターを通じた日常と感性に出会ったことで「今度はほんとに行ってみたい!」とうずうず・ワクワクしています。

(2020.09. Mayu&Mai)

そして、9/28 21:00-23:00
旅するzoomあの人に会いたい!ルワンダ・加藤雅子さんの第4回を実施します!

さらに!
そんなイミゴンゴの展示会がこの秋、日本・神戸で行われるとのこと!ぜひご予約のうえ、イミゴンゴの世界に触れていただけたらと!

イミゴンゴの展示会を神戸で開催します。

【ルワンダ伝統牛糞アート イミゴンゴ展 imigongo kobe】
日時:
2020年10月29日(木)-11月3日(火祝)
11:00-19:00
(最終日のみ17:00)

会場:フローラ アーティスト ギャラリー

入場料:無料

★空間を確保するためにご予約優先とさせていただきます

▼詳細はこちらから▼
https://imigongoanywhere.com/exhibition/imigongokobe/



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カンボジアの中央部・サンボー・プレイ・クック遺跡とその周辺の農村を拠点に、”旅をつくる”仕事をしています。遺跡の近くの村に滞在し、地域の暮らしと時間の中に身を置いて、外から訪れる素敵な人と地域で迎える素敵な人をつなぎ、その間に生まれる「いい時間」をみんなで味わう旅をしてます。