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「あたしは柴犬のアキ」11

 今朝は起きたらパパがいた。パパは今日遅くに行く日かな。「アキ、お庭で遊ぼうか」パパがお庭に誘う。嬉しいけど穴がばれたらどうしよう。恐る恐る庭にでた。パパはボールを投げてくれたり、ブラッシングしたりしてあたしにかまってくれた。穴の近くにボールが行くとドキドキした。お姉ちゃんとお兄ちゃんが学校に行って、その後パパとママは一緒にどこかに出かけてしまった。いつもなら寂しくなる時間。でも今は違う。あたしには大仕事の穴掘りがある。

 どんどん掘った。土が乾燥して昨日より硬くなっている。でも頑張って掘った。爪が削れて短くなった。かまうもんですか。塀の手前側は掘りきった。これから塀の向こう側を掘らないと。どんどん掘った。向こう側はとても掘りにくい。今日こそ掘り終えようと思っていたけど、どうやら今日一日では無理ね。やれるところまでやろう。こんな日に限っておばあちゃんの差し入れがなかった。重労働をしている時こそ餡子が食べたいのに。仕方ない。掘り続けた。喉が渇く。ボールの水がもう無くなりそう。何回も休憩を入れて夕方になった。

 お兄ちゃんが帰ってきた。今日は小太郎君がいない。スイミングの日だ。お兄ちゃんは一人で帰ってきた時は庭で遊ばない。「アキ、ただいま。入っておいで」お兄ちゃんがそう言いながら扉を開けた。リビングに入ると「今日も泥だらけになってるよ。アキ何してたの」と言われそのまま抱っこされてお風呂場に連れていかれた。

 まさか、まさかのお風呂。お兄ちゃんはパパの真似をしてあたしにシャワーをかけボディーシャンプーでゴシゴシ洗い出した。ホントにお風呂は嫌。悲鳴を上げたけどやめてくれなかった。お姉ちゃんが帰ってきて、タオルで拭いてドライヤーをかけてくれた。お兄ちゃんは洗いっぱなしであたしを濡れたままにしていたことと、首輪をしたままシャワーをしたことをお姉ちゃんに怒られてしょんぼりしていた。お兄ちゃん元気だして。気持ちは嬉しかったよ。

 夕食の時間、みんながテーブルに座ってご飯を食べている時、あたしはソファでテレビを見ながらウトウトしていた。遠くで「散歩に行くよ」の声が聞こえたけど反応できなかった。そのうち睡魔に襲われて寝てしまった。次の日の朝までの記憶がない。とっても疲れていたのね。

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