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スーパーマーケットのテロリストじゃないほうの人

※この話は前回から続いています。

今日はなんだか清潔に買いたい欲求

スーパーのネギ。自分が買ったこのネギも、考えてみればいろんな買い物客に触られたあとじゃないか。

棚からなくなればマメに補てんされる。何十、何百人に触られたわけではないのかもしれない。

しかし、残り少ない状態だったから、少なくとも数人には一度手にとられているんじゃないだろうか。よく品定めしてから放り投げて返す主婦をよく見るし。

思えば、不潔じゃないか?と心配しながらも、対処のしようがないとこれまでは黙って買ってきたけど、カゴに入れたこのネギ。どうなんだ?

どんどんネガティブ思考が押し寄せてくる。

あ、買った後はどうなる?ネギを持ってレジへ向かう。すると、レジの従業員は再びそのネギを手づかみにして、カゴに入れ直してるじゃないか。

考えてみれば、あそこが1番汚いぞ。彼らはバーコードを読み取り、たくさんのお金を手でやりとりしている。

そうだ。これからはせめて、むきだしの野菜は売り場のビニール袋をかぶせ、レジでは袋の上から触ってもらおう。賢い主婦なら、当たり前にやっているかもしれないが。

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N氏は前々からネギが好きだ。だが、ビニール袋から青いネギの先端を出して、男が夜道を帰っていく風景は、自分でも切なさを感じていた。

だから、精算を済ませた後にビニール袋をかぶせて、すれ違う通行人にネギと分からないように、カムフラージュする作戦をとっていたのだが、要するに、これからは買ったその場で野菜売り場の薄いビニール袋をかぶせればいいだけだ。

もうオレのネギを触らせない

フフフ、もうレジ係にオレのネギを触らせないぞ。

N氏は野菜売り場に戻り、ネギにビニール袋をかぶせた。万全の体制でレジへ向かう。

N氏のレジ担当は、陽に焼けたバイトの男子学生だ。女子学生でないのでがっかりしたが、気を取り直して順番を待つ。

いよいよ順番がやってきた。N氏はバイトに手慣れたらしい男子学生が、手際よくバーコードを読みとるのを眺めた。よしよし、その意気だ。

いよいよ、ネギの番。彼はかぶせたビニールの上からネギを手に取った。やった!

ところが、喜んだのもつかの間。彼は不可解な顔をして、ネギを眺めはじめた。そして、次に取った行動はN氏を卒倒させるものであった。

両手でネギを手に取ると、袋のかかっていない部分を、何度もベタベタと持ち直しては、シール(バーコードがついている)のあたりを何度も確認しているのだ。

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バーコードが読めないのか!?

やめてくれ。もうやめてくれ。頼むからやめてくれ!彼は何度も首をひねり、またベタベタ。やめてくれ、オレのネギをいじらないでくれー!

結局は直接、数字をレジに打ち込んでネギはカゴに入れられた。

なんてことだ。今夜こそ、清潔なネギを手にしたかったのに。自分の行為は徒労に終わってしまった。

ビニール袋にネギをしまいながら、シールを見る。そこには「○○農業組合」というブランド名だけで、バーコードはなかった。

男子学生はバーコードがついていると思い、手にとったものの、ついてないので不審に思い、いじりまくってしまったのだ。N氏のネギを!

翌朝。ネギは入念に、入念に洗われ、N氏の納豆へ入れられた。納豆はいつもより、ずいぶん水っぽい食感だった。

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