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スコッチウイスキーのスペイサイドモルトとは

スコッチウイスキーのスペイサイドモルトとは

スコッチ6大生産地のひとつ、ハイランドは範囲が広く蒸留所も多いので、東西南北で分けて紹介されることがあります。

スペイサイドもハイランドの北東部にあって、もともとはハイランドモルトに含まれていました。

時代が進むにつれて、スペイ川沿いを中心に50ヶ所以上の蒸留所がひしめくスコットランド最大の生産地ということもあり、ハイランドから独立して紹介されるようになっています。

とはいえ、法的にスペイサイド産を名乗る義務はないようで、各銘柄のラベル表示には「スペイサイドモルト」や「ハイランドウイスキー」が混在しています。

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スペイサイドの中でもさらに区分けがある

数多くの蒸留所があるスペイサイドらしく、この中でもさらに地域が細分化されて紹介される場合もあります。地区別のおもな蒸留所が以下の通りです。

下記を見ていただくと、グレンリベットの頭に「ザ」がついていますが、これは、グレンリベット蒸留所が裁判で勝ち取った名称なんですね。

「ザ」をつけて販売していいのはグレンリベット蒸留所だけ。

これはかつて銘酒グレンリベットの名声にあやかって、この名前を使う蒸留所が多かったため、本家が訴訟を起こして勝訴した結果です。

スペイ川の中流・下流域
マッカラン・アベラワー・インペリアル・カーデュ・クライゲラキ・クラガンモア・グレンアラヒー・グレンファークラス・タムドゥー・ダルユーイン・トーモア・ノッカンドゥ・バルメナック・ベンリネスなど。

リベット地区
ザ・グレンリベット

ダフタウン地区
グレンフィディック・キニンヴィ・グレンダラン・ダフタウン・バルヴェニー・モートラックなど。

エルギン地区
グレンエルギン・グレンバーギ・グレンマレイ・グレンロッシー・ベンリアック・マノックモア・ミルトンダフ・リンクウッド・ロングモーン

キース地区
ストラスアイラ・オスロスク・オルトモア・グレンキース・グレントファース・ストラスミルなど。

フォレス地区
ベンロマック

スペイサイドモルトの特徴とは

スペイサイドモルトの特徴はアイラモルトと対極にあると良く言われます。初心者の方やウイスキーが苦手だという方でも比較的飲みやすいので、スコッチの入り口としてよく選ばれます。

酒質は軽やかでライトなものからヘビーなものまでありますが、全体的には華やかな香り・風味をもち、バランスに優れた名酒と言われる銘柄が多いですね。

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かつての私がそうであったように、これまでスモーキーで男性的なウイスキーしか飲んだことがない人だと、カルチャーショックを受けるのではないでしょうか。

華やかな香りも銘柄によってリンゴや洋梨のようなフルーティー系、また花のフローラル系、甘い蜂蜜系というようにさまざまです。

そこで同じスペイサイドモルトでも、飲む人によって好みの違いが出てくるわけですね。

いずれにしても、スペイサイドモルトは香りとバランスの良さからブレンデッドウイスキーでもキーモルトとして欠かせない存在となっています。

原酒のほとんどがブレンデッドに供給されてしまうため、幻のシングルモルトと言われるような銘柄もいくつかあります。

人気は高いですが、通販でも高値となっています。

同じ傾向でも多様な味わいのスペイサイドモルト

水源が同じでも銘柄によって味に違いが出てくるのは、原料、ポットスチルの形状の違い、熟成樽、ウィスキーを蒸留する際に利用する冷却装置へのこだわりなど、さまざまな要因があります。

有名なマッカランは高価ですが、12年熟成でも比較的低価格で購入できるグレンリベットは人気が高いですね。

また、最近ではグレンフィディック・バルヴェニー・キニンヴィ蒸留所の原酒をヴァッティングして作られた「モンキーショルダー」というブレンデッドモルトも販売されています。

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バルヴェニーやキニンヴィは希少なウイスキーなので、私も試しに飲んでみましたが、若い原酒のせいか、開栓後しばらく日数を置くと香りやうまみが半減するかなという印象でした(本サイト記事参照)。

ともあれ、価格もそれほど高くはないので、スペイサイド産のブレンデッドモルトを飲みたいというときには、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

美しい自然、サーモンフィッシングでも有名

ちなみにスペイサイドは、モルトウイスキーの産地はもちろんですが、サーモンフィッシングのメッカとしても有名です。

スペイ川にはアトランティック・サーモンが北海から登ってきます。水深のあるスペイ川ではアトランティック・サーモンは下流からとどまらずに遡上します。

そのため、出来るだけ長く水中に毛針を入れておくため、ラインを後ろに振り上げない独自の遠投技術「スペイ・キャスティング」が生まれました。

スコットランドでは川の所有権はその川流域の土地に付属していて、この地域にあるマッカラン蒸留所の敷地内にもスペイ川が流れています。

川の管理は地主が行っていて、釣り人は有料で貸し出しを受けます。マッカラン蒸留所の敷地内なら、マッカラン蒸留所に申し出るわけですね。

美しい自然も含めて観光地としても人気のスペイサイド。蒸留所のこだわりから生まれる風味の違いをご堪能くださいね。

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