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ナポリタカオの小ネタ劇場

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ナポリタカオの小ネタオリジナル作品をまとめたマガジンです。登場人物のN氏とは著者・ナポリタカオ本人のことです。
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#お酒

テーブルに乗った悪魔が起こした惨劇

洋風居酒屋で起こった悪魔の惨劇 N氏があの事件を聞いたのは、もう十以上年も前になる。 この話をしてくれた女性はいまだ独身だが、若くして部長職に出世したらしい。 その彼女から聞いた、新宿のある洋風居酒屋で起こった惨劇の一部始終である。彼女の言葉を借りて解説しよう。 「若い男が三人、テーブルで飲んでたのよ。年はまだ若かったの。20歳ちょっとかな。一人がだいぶ酔ってたんだけど、どうもその子が仕事のことかなんかで、ほかの二人にいろいろきびしく言われてたみたいなの。 そのうちに

突然、目の前を大名行列が横切るとき

社長の自虐ネタとはもう10年以上も前の冬の出来事である。だれに聞いてもあれ以来、こんな話を耳にすることはない。 コピーライターのN氏は広告関係の打ち合わせで、数人とプロダクションの社長である一升瓶太(仮名)に会った。当時、40歳前後に見えただろうか。 打ち合わせも終わり、一升が「まあ、一杯やりましょう」と言い出したので、メンバーはそのまま飲み屋に流れた。 最初はほがらかに仕事の話などをしていたのだが、 酒を飲むと一升はますます上手になり饒舌になり、自分のことを話し始めた

密室の高速バス・世代の断絶を実感した男

密室の高速バスに新展開。色めく叔父さん ※前回の記事から続いています。 N氏には乗客たちの心の声が聞こえてくる。がんばりなさい、叔父さん!もっと会話をスムーズに! これぞストックホルム症候群。しかし、響いてきたのは… 「山に藤の花がすごいなあ!ほら、あそこなんかすごいよ」 「……うん」 見たまんまじゃないか。ざっくりした風景批評。抽象的ボキャブラリー。思わず乗客たちも車窓を見るが、すごいというほど咲いていない……。 そして、また重い沈黙。まもなく、「次のサービスエリ