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ナポリタカオの小ネタ劇場

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ナポリタカオの小ネタオリジナル作品をまとめたマガジンです。登場人物のN氏とは著者・ナポリタカオ本人のことです。
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#おじさん

スーパーマーケットのテロリスト

食料品とのソーシャルディスタンス数年前、世田谷区内のあるスーパー。 N氏は50歳前後に見えるオジサンが、自分の鼻をいじりながらどこかソワソワと歩いているのを目撃した。 遠慮せずにはっきり書けば、鼻クソをほじりながら歩いていたのだ。 彼はふと、自分の買い物カゴの中の食パンに目をやる。そして、何を思ったのか、急にUターンして食パン売り場へもどった。 イヤな予感はすぐに的中。オジサンは鼻クソをほじった右手で一度カゴに入れた食パンをもどし、別のメーカーの食パンを入れ直したのだ

カラオケボックスで暴走するオヤジ

持ち歌に起こった、露骨な嫌悪感先日、地元の小さなカラオケボックスがいつのまにか消えて駐車場になっていた。今やカラオケボックスに行く人も少なくなってしまったのだろうか。 これはカラオケボックス全盛時代のお話。ある意味ではいろんな人に思い当たる、カラオケあるあるかもしれない。 その夏、赤坂において、N氏も出席して十数人によるカラオケ大会が開催されていた。 全員が持ち歌を歌い狂ったわけだが、宴もたけなわというその時、事件は起きた。N氏が『朝日を見に行こうよ』を歌い終わったとき

包丁を持った男と遭遇!一対一の顛末

平日の真昼、包丁を持った男が訪ねてきたN氏は人生で一度だけ、包丁を持った男と遭遇したことがある。しかも、正真正銘、一対一で対峙したのだ。 とはいえ、今こうして記事を書いているのだから、命を取られたわけではない。そして、身体に何一つ傷がついたわけでもない。 それは、とある平日の昼間だった。コピーライターN氏は賃貸住宅の小部屋で、困り果てていた。 原稿の締め切り時間が迫っていた。なのに、最後のキャッチコピーがなかなか出ない。似たようなテーマの原稿が続くと、 キャッチコピーも

密室の高速バス・世代の断絶を実感した男

密室の高速バスに新展開。色めく叔父さん ※前回の記事から続いています。 N氏には乗客たちの心の声が聞こえてくる。がんばりなさい、叔父さん!もっと会話をスムーズに! これぞストックホルム症候群。しかし、響いてきたのは… 「山に藤の花がすごいなあ!ほら、あそこなんかすごいよ」 「……うん」 見たまんまじゃないか。ざっくりした風景批評。抽象的ボキャブラリー。思わず乗客たちも車窓を見るが、すごいというほど咲いていない……。 そして、また重い沈黙。まもなく、「次のサービスエリ

密室の高速バス・空回りの恐怖に脅える男!

高速バス車内で酒を飲む、気まずい二人これはコロナ流行前の高速バスにおける重大事件である。 N氏(著者ナポリ)は5月のゴールデンウィーク中、東京から東海地方へ向かう高速バスの中にいた。 車内はそこそこ混んでいる程度。その中に60代後半と30代前半くらいとおぼしき男性2人組はいた。 親しげな口調なので最初は親子かと思ったが、そうではなく二人はどうやら叔父と甥らしいことがわかった。 どういう事情なのかは知らないが、どうやら初めての二人旅らしい。最初から、ぎこちない雰囲気が漂