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ナポリタカオの小ネタ劇場

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ナポリタカオの小ネタオリジナル作品をまとめたマガジンです。登場人物のN氏とは著者・ナポリタカオ本人のことです。
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#ペットとの暮らし

ガジローの本当の災難

※この話は前回から続いています。 ささやかなプレゼント亡くなったハチローになにかしてあげられることはないかと考えた妻は、妙案を思いついて夫に話した。 「明日、火葬場にもっていくっていってたわよね、奥さん」 「ああ」 「ダンボールでかわいい棺をつくってあげようかしら」 「犬用の棺桶なんていらないだろ。やめとけ、やめとけ」 「冷たい人ね、そういうわけにはいかないわよ」 棺桶をつくるにあたって、適当な大きさのダンボールを用意した妻。レースとたくさんの花をあしらった。 「棺の

ガジローの災難

ガジローがいない・・もしかして ある地方都市でささやかに小売業を営む60代の夫婦の話である。妻は午後から愛犬、ガジローの姿が見えないのが気になっていた。 「どこに行っちゃったのかしら。2階にいればいいんだけど……」 ガジローは来客が店の自動ドアを開けると脱走してしまい、行方をくらましてしまう習性がある。 店は大通りの四つ角にあるため、何キロも離れた場所を放浪したあげく、帰り道で車にはねられてしまい、うしろ足を手術したこともあった。 当日の夕方だった。妻は近所のマサルさ

猫と犬の抗争

本編は猫と帽子の創作コンテスト(えぴさん)において、「白ショートショート賞」を受賞しました。ありがとうございました。 侵入者の前に立ちはだかる者日本のある小さな町で暮らす、A家のニャー子(仮名)は夜遊びが好きだ。 だが、飼い主から夜8時から朝5時までは外出を禁止されているため、朝になって開放されると外へ飛び出して行く。 お気に入りは、となりのB家の納屋である。ところが、その納屋にたどり着く前に外で番犬が待ちかまえている。 今日もニャー子は忍び足でA家の茂みから、B家を