naoya hanaoka / HOTEL SHE,
現代アートに泊まる| BnA Alter Museum
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現代アートに泊まる| BnA Alter Museum

naoya hanaoka / HOTEL SHE,

ここ2年、ホテルの箱としての可能性を強く感じてきました。

寝るためのベッドとシャワーが最低限あればホテルのインフラとして機能はするけれど、レストランがただ食事を楽しむだけでなく夜景を楽しんだり交流の場として重宝されているように、ホテルもインフラを超えて”体験”の空間として成立するのでは...と思っています。

そんな中で、同じようなビジョンを持って運営されているホテルが京都にあると知って前から気になっていたのですが、有難いことに今回支配人の方にご招待頂いたので宿泊してきました。

ホテルの名前は「BnA Alter Museum」


ホテルなのに名前がホテルっぽくない。名前だけ見るとミュージアムっぽい。そりゃそうか。

近年国内でもアートホテルはたくさん増えている印象ですが、大きく分けて「アート併設のホテル」か「滞在型のアート作品」があると思っています。宿泊してみてわかったのはBnA Alter Museumは圧倒的に後者。

以前新潟にある光の館(世界的に有名な現代アーティスト:ジェームスタレル氏が大地の芸術祭の作品として作った滞在型アート作品)に泊まった時にひどく感動したのですが、BnA Alter Museumにはそれに類する体験がありました。(光の館の宿泊レポートはこちら)


今回宿泊したお部屋と、その他いくつかホテルスタッフさんのご好意でルームツアーをして頂いたので、その時の感動をありのままで伝えていければと思います。



ROOM 1003|D/R/M  EY∃ (BOREDOMS)

宿泊させて頂いたのはBnA Alter Museumで一番尖っている客室として紹介いただいた最上階の一室。

各客室には部屋番号と一緒に”作品タイトル”が付けられています。このお部屋のタイトルは『D/R/M』。お部屋のコンセプトについて公式サイトには以下のように記載されていました。

D/R/M(DotRecessesMeta、鼓膜=Drm、DotRooM)は耳の機能構造をベースに制作。
Door=耳介
入口通路=外耳道
通路角=鼓膜
角後通路=中耳
インナールーム(DotRooM)=内耳蝸牛
Recesses Room=蝸牛頂(Apex)
宿泊者自体が三半規管及び聴粒子であると仮定し
耳に手のひらを近づけ押し当てる過程での聴収とその後を
ホテル部屋に置換する試みにより
聴点の入れ子状移動やフィードバックを探る。


超ざっくりまとめると「客室全体が”耳”のような構造を模していて、音と光で耳の中に入り込んだような体験ができる」ということでしょうか。

BnA代表の田澤悠さんがTwitter上で解説いただいたのですが、BnA Alter Museumの中でもコンセプトが尖った客室らしい。


宿泊した感想としても、ホテルに泊まったというより、現代アートの美術館の中で一夜を過ごしたという表現の方がしっくりくるくらいでした。

客室内には3つの光と音のインスタレーションが実装されていて、1つ目と2つ目は初めの入室時のみ体験することができ、3つ目は滞在中いつでも体験することができます。

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客室のドアを開けた瞬間、激しい光の点滅と音で構成されたインスタレーションははじまる。モノクロフィルムの世界に入り込んだような感覚に。


眩い光の中を通り過ぎ、もう一つの暗闇の中で繰り広げられるインスタレーションを終えると(暗闇なので写真はなし)、ようやく寝室エリアに到着。

ホテルのハード面だけで言っても、鴨川の絶景と京都の山々を眺めるとても素敵なお部屋です。

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そして最後3つ目の作品はこのソファベッドの裏に隠されています。

実は、ソファの背もたれ部分が隠し扉になっていて、

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その裏には幻想的な世界が広がっているのです...(ぜひ動画で見て欲しい)


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上下左右に広がる青の世界。そして人の動きに応じて移り変わる360度から鳴り響くサウンド。

そして、扉を開けた瞬間からこの空間の中で30分間続くサウンドインスタレーションが始まります。

詳細は伏せますが、コンセプトである『宿泊者自体が三半規管及び聴粒子であると仮定し、耳に手のひらを近づけ押し当てる過程での聴収とその後をホテル部屋に置換する』という言葉に沿った体験を楽しめます。

最初はボーッと目の前に広がる美しさに身を任せて、まるで宇宙空間を浮遊するような感覚になっているのですが、徐々に不穏な空気が流れ出し...(もちろんホラー体験とかではないのですが、「え、ここホテルだけど大丈夫???」な感想になります笑)


...とにかく、ホテルの領域を超越した宿泊体験ができる、ということは間違いありません。



その他の客室も超個性的!

ホテルスタッフさんのご厚意で、いくつか他の客室も見学させていただいたので、特に印象的だった客室を紹介させていただきます。(全部で16種類あるので気になった方はぜひ公式サイトをチェックしてみてください。)


ROOM 702|1993(油野愛子)

1993年のラブホテルをコンセプトにした客室。最近仕事の関係で日本のラブホテルを調べまくっていたので、目の前の回転ベッド(風)や、いかしたネオン、シルバニアファミリーを固めて作られて彫刻などなどに大興奮してしまいました。ちなみに、ラブホテルは警察署の管轄になるため、デザインを真似るにも規制やハードルが高く、円形のベッドを置くだけでも許可どりが大変だったそう...。

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ROOM 303|鳥は池辺の青樹に宿し 魚は月下の青波に伏す(五条河原の模型楽園)(中野裕介/パラモデル)

世阿弥の能楽 『融(とおる)』とヘテロトピア(ユートピア、ディストピアに次ぐ第三の概念。現実世界の中に存在しながら独自のルールで回る”異世界”を指すらしい)をテーマに作られているお部屋。客室の中に、逆さ文字や反重力、朝と夜など相反する概念の象徴が点在しています。

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ROOM 901|ASITA_ROOM Mr. X の現な庭(Sai)

陰翳礼讃(電灯ではなく自然の中の明かり、また暗闇の中にこそ美しさはある、という日本古来の美意識)をテーマに照明設計がされている客室。作品名の通り、室内は架空の人物「Mr. X」のお部屋というコンセプトで彼が残した調度品が備え付けられている。天井には彼が夢の中でみる景色が、光と影で表現されています。

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外に出たくなくなる客室

客室を案内いただいている際に、BnA Alter Museumのスタッフさんが

「このホテルに宿泊されるお客様の中には京都観光をせずに、一日中客室の中で過ごされる方もいる」

とおっしゃっていました。

観光業やローカリズムの観点で言うと「いやいや街に出てお金を落としてくれよ...!」と言われるかもしれませんが、エッジの効いたコンテンツを有していればマイクロツーリズムの需要もありそうだし、何よりホテルが旅の目的地になっているのが凄いな...とただ脱帽してしまいました。

温泉とか眺望とか、そういった自然や文化資源がないからこそ、アートやアイデアによって戦いを挑んでいるのに純粋にシンパシーも感じましたし、自分たちも負けてられないなと、とっても刺激もいただきました。

いつもと違った京都旅行を楽しみたい方には、BnA Alter Museumはとてもおすすめのホテルですよ...!(できれば京都に2泊していただいて、もう1泊はぜひHOTEL SHE, KYOTOに泊まりにきてください〜〜)


...


👇 BnA Alter Museum 公式サイト


公式サイト予約時に【CAMP-Kyoto】のコードを入れていただくと、レイトチェックアウト😪・ワンドリンクサービス🍹がついてくるそうなので是非〜〜

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Creative Director & Planner of 泊まれる演劇 https://twitter.com/naoya_hanaoka