見出し画像

気になるリテールニュース

主に、Twitterにポストしている内容から、リテールだけを抜き出して気になるニュースを再編集しています。

1.amazonのPelotonパクリはフェイクだった騒動

amazonがフィットネスバイクのPelotonのバイクをパクったデザインの「Prime Bike」を販売する、というニュースが流れました。Pelotonのデザインからモニターを取り外したデザインで、オンラインフィットネスのKFSでもある「配信コンテンツ」は、自身のスマホやタブレットから見ろ。という、なかなか合理的なプロダクトで、価格も$500(約5.3万円)で、$1900(約20万円)するPelotonと比べれば、リーズナブルで、発表の後、Pelotonの株価も3%下落したとも言える影響力のあるリリースでした。

ただ、その翌日、amazonが製造元のEchelon Fitness(エシュロンフィットネス)と提携した事実は無い旨を発表し、amazon Primeからも除外することが判明。その後Echelonはリリースを取り消しただけで、何のコメントも発表していない。天下のamazonに何の断りも、契約関係も無く、コラボを発表するとは正気の沙汰ではありませんが、少なくとも市場は反応しました。

amazonがパクリブランドをPBとして出品していた例は散見されており、有名なのはスニーカーD2Cの「allbirds」のデザインをパクって販売してることでしょうか。元々が$100程度とリーズナブルなallbirdsのスニーカーデザインを、$45で販売して、allbirdsのCEOが「光栄だ」としながらも「パクるなら環境に優しい素材を使え」と苦言を呈した件です。

訴訟を起こしても、潤沢な資金で徹底的に戦う姿勢を見せてくるので、金欠スタートアップでは到底太刀打ちできない、という強引なマネーゲームに突入するのが一般的なので、今回のPelotonの株価下落も、そういう背景があったからでしょうか。※Pelotonは、9/24に株価下落の底をついた後、本日10/2まで上昇傾向。

2.テナント撤退と付加価値型ポップアップスペース

2020年1月~6月の出退店を合算すると、「1,140店舗」のテナントが純減していることがリゾーム社調べで発表されました。

コロナ影響で資金繰りが厳しく、単純に不採算店舗を切る、という決断をした小売企業もあれば、オンラインシフトに伴うリソース再配分(成長投資)のため、という理由もあるでしょう。前者はもはや後が無いし、後者は、これまでオンラインに手を付けてなかったのであれば、そう簡単にWEBの海で商売ができるわけでもなく、いずれにしろ、リアル偏重だった小売各社にはイバラの道が待っています

これまで、リアル小売不調と言われる中において、20年間のトレンドラインを見ると、地味にショッピングセンター(SC)数は増え続けてきました

画像1

出所:「SC白書2020」新規オープンSC数およびSC総数の推移

増え続けるSC数に対して、テナントが純減すると、「空洞化」が起こります。本来であれば、居抜きに新たなテナントを誘致するのがリーシング担当の主業務となりますが、ここまで一気に抜けてくると、手が回らないのが実情かと思います。

不動産としては、地面を転がして商売している以上、何としても稼働させなければいけません。そこでうまく提携していけるのが「スペースシェア」ビジネスです。固定テナントが入るまではポップアップスペースとして期間を区切った運用になりますが、そのポップアップをスペースマッチングプラットフォームに任せる、というアウトソーシングが増えてきています

また、今後のポップアップで主流になるのは、顧客動向や決済周りのデータを出店ブランドにフィードバックできる仕組みの導入でしょう。空洞化に伴い、ポップアップスペースが溢れてくるので、誘致するためには差別化が必要となり、場所貸し以上の付加価値が重要になってきます。

例えば、顧客データを提供したり、b8taや蔦屋家電+のような、「売らない店舗」を再現できるポップアップなどのニーズは高まっていますし、不動産も、ただハコを貸すだけでなく、そのハコの価値を、テナントと検証する取り組みも増えてくると予測されます。不動産側も、テナントの目的達成にコミットするようにならなければ生き残れない、ということです。

いずれにせよ「館が集客できないから空洞化している」という現実と向き合わなければ、いくらシステムを構築しても意味が無いのですが、例え点の話しでも、ポップアップ化されるスペースだけでも付加価値を出せる面白い。

3.小売・アパレル求人が対前▲25%~と減少傾向

日系人材サービス会社最大手のパーソルグループに属する、アパレル・ファッションに強い派遣紹介会社「クリーデンス」が、6月~8月の求人状況をリリース。

店長、販売職は、対前年▲38.2%と、2020年2月までは人手不足から求人過多だったものが急転直下。先述したテナント撤退・不採算店舗の撤退など、人材余りが顕著になってきており、求人が激減。

画像2

一方、EC・通販関連の求人数は減少しておらず、むしろプラスの状況。売場のオンラインシフトが戦略として定義され、EC売上増が叫ばれる中において、あまり増えていない、すなわち、人材に投資するのではなく、既存人員で何とかしろ、という無理難題をスタッフに押し付けている印象もありますが、全業種で買い手市場化に向かう中においては、増加というのは一つのトピック 。

画像3

減少する販売職から、EC関連職種への人材移動がフレキシブルになると、より付加価値を高められる気はするのですが、一方で、コロナ不況で企業側に遊びが無いので、「即戦力」を求める傾向に。

契約社員よりも正社員雇用ニーズが高まり、ポテンシャル採用よりも即戦力採用に舵を切られようとしています。結果、EC未経験の販売職人材が移動しづらい、というのが今の小売情勢でしょうか。ECに関する教育研修や、販売スキルを活かしたオンライン職種の形成など、小売の販売においても、古来からの接客販売以外の新たなモデルが必要な局面に入っています。

グラフ引用は、全てクリーデンスHPのコンテンツより


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?